診療案内
緑内障
緑内障Q&A
(第26回 日本緑内障学会 市民公開講座 H27.9.13開催 より)
- 緑内障は遺伝しますか?
- 遺伝子に影響することは認められていますが、
近親者に緑内障の方がいらっしゃるからといって必ずしも自分が緑内障になるとは限りません。
特に成人になってから発病するタイプの緑内障に関しては、ほとんど心配ないと言われています。
逆に、近親者に緑内障の方がみえるということで、検査を受け早期発見となった例もあります。
- 毎回たくさんの検査をします。特に視野の検査は苦痛です。
- 検査技術が進んだことにより、以前よりも検査時間は短くなってきています。
基本的に医師は、視野検査の結果をもって進行状況を判断しています。
ただし、寝たきりであるなどの理由で視野検査が困難な場合は、 眼圧などの変動で判断することもあります。
- PCの利用は緑内障の悪化につながりますか?
- 直接的には影響しませんが、うつむき姿勢によって眼圧が高くなる可能性はあります。
また、瞬きが少なくなることでドライアイの症状が出ることがあるので、 乾きを感じるようであれば人工涙液の使用をお勧めしています。
- 点眼液が何種類もあり点眼が大変です。手術を受けたほうがいいのでは?
- 最近では、複数の点眼液の成分が一つになった配合点眼液もあります。
現在、緑内障の手術の成功率は80%と言われていて、以前より技術も進歩しています。
しかし、一度行うと元には戻せず、重大な合併症が出ることもあります。
今後は新しい術式が可能となることが見込まれますが、点眼治療が可能なうちは、 面倒でも点眼を続けた方が結果的によいと思います。
- 点眼液の副作用で眼が充血するのが嫌ですが、主治医に言いにくいです。
- 副作用など、嫌なことがあれば遠慮なく相談をしましょう。
眼圧の変動、症状など医学的な根拠をもって、点眼液の変更なども判断していきます。
患者と医師は対等であることが、最終的に治療にもつながっていくと考えます。
- ジェネリック(後発医薬品)の点眼液は大丈夫でしょうか?
- 現在、日本では80%の医薬品にジェネリックがあります。
アメリカの場合は、すべての成分において全く同じものが販売されています。
しかし日本の場合、主成分以外は先発品と違っているものがあるもの事実です。
判断基準としては、ジェネリックに変えた後で眼圧が下がらないようであれば元の点眼液に戻すべきです。
- 医師に大丈夫と言われていますが、やはり失明しないか不安です。
- 中期までは、医師の指示通りに点眼をし、定期的に通院をすることで失明まで進行することはありません。 中心部だけしか視野が残っていないような場合でも、点眼治療、定期的な通院を前提に、視野検査の結果などから、 五年ほど進行状況を把握していけば、失明を防ぐことは十分に可能であると言えます。
緑内障はどんな病気?
緑内障は、視神経と視野に特徴的な変化が生じる病気で、眼圧上昇が重要な原因となります。 視神経障害と視野障害は徐々に進行していき、回復させることはできません。 ただし、眼圧を十分に下げることで進行を抑えることはできます。
眼圧とは?
眼圧とは、簡単にいうと「目の硬さ」です。 眼圧が一定に保たれていることにより、眼球の形を維持することができます。 何らかの原因で、眼圧が上昇すると視神経を傷つけてしまいます。
意外に多い緑内障予備軍
一般市民を対象にした疫学調査(多治見スタディ実施)によると、 緑内障の方は、40歳以上の人の17人に1人の割合であることがわかりました。 これほど緑内障の方がありふれているのにも関わらず、治療を受けている人はわずか2割ほどの方です。 あとの8割の人は、未発見のまま放置されています。
緑内障の多いタイプは初期には自覚症状がほとんどないため、 症状が出ていても気づかないことが多く、 気付いたときにはかなり進んでいることも少なくありません。
早期の検査で発見できる緑内障
緑内障を発見するためには、40歳を過ぎたら、定期的に眼の検診を受けましょう。 視力・眼圧・細隙灯(眼の前方部分)、眼底(視神経を含む眼の奥)検査、 視野検査と視神経の画像検査などから、緑内障の有無を診断します。 また、疑わしい場合(グレーゾーン)も見つかります。
一回の診察で緑内障と診断できますか?
ある程度進行した緑内障では、一度の診察で診断することは可能です。 しかし、初期の緑内障では診断が難しい場合もあります。 また、緑内障と診断しても、今後の治療方針を決めるため、 何回かしっかり検査をして、患者様の基本データが揃ってから点眼治療などの治療開始とします。 その間、急速に進行することはないので、点眼前こそ正確なデータが必要となります。
緑内障の治療方法
特殊なタイプの緑内障の場合を除けば、点眼治療で眼圧を下げることが第一選択となります。 いずれにしろ緑内障は慢性疾患なので、長期にわたり点眼薬を使用していくことになります。 点眼薬で思うように効果が出ない、もしくは進行が激しい場合は、レーザーや手術も選択されます。
最近の緑内障の診断・治療の進歩は著しく、緑内障=失明ではありません。 早期発見、早期治療によって寿命をまっとうするまで視機能を保つことが出来る病気です。 悩まず、一緒に治療していきましょう。