現在、コンタクトレンズ使用者は日本で8人に1人となり、とても身近なものとなった。その始まりはおよそ60年前。初めて実用化に成功したのが、株式会社メニコンだ。
当初はプラスチック素材からレンズを削り出していて、捨てる部分も多く、1枚3万円近くの高級品とされていた。その後、型に溶液を流し込む製法により大量生産が可能になり、90年代には1日で使い捨てるタイプも登場した。
目の角膜が空気中の酸素を吸収することから、レンズ用の素材には酸素をよく通す素材が追求されている。開発された酸素透過性が高いレンズには、長期間の装用が可能なものもあるそうだ。
また、利用者のニーズに応え老眼や乱視用のレンズも開発している。近視用は装用中にレンズが回転しても問題とはならないが、老眼や乱視用では矯正の妨げとなる。
そのため、レンズの下側の厚みを増して重みで固定するといった、見た目ではわからないほどのナノレベルの加工が施されている。
その他、若者に人気のカラーコンタクトレンズも開発されるようになった。
カラーコンタクトレンズ、いわゆるカラコンは黒目の部分を青や茶色にしたり、大きく見せるレンズであるが、目へのトラブルが相次ぎ、3年前からはおしゃれ用のカラコンも薬事法の規制対象となった。同社の開発では安全性を最優先し、着色剤をレンズの中に閉じ込め、着色剤が溶け出すトラブルなどが生じないような研究をすすめている。
さらに将来的には、花粉症の患者にはレンズに薬を含ませ、少しずつかゆみを抑える成分が染み出す製品や、緑内障の原因となる高い眼圧を下げる薬の投与を促す製品など、視力矯正以外でも応用が期待されている。
(中日新聞 12月4日)