1月18日 近視の人には知ってほしい、「病的近視」

40歳以上の日本人の、約4割は近視とされる。ありふれた異常で軽く考えがちだが、眼球が変形する「病的近視」というのが存在し、侮れない。

 

近視とは、眼球が前後方向に伸びているために、網膜に像を結ばなくなっている状態。

「病的近視」では、眼球の形が伸びるだけでなく、いびつに変形し、一部が出っ張ったようになっている。

 

近視だけならメガネをかければよいが、病的近視の問題は視力ではない。

眼球のゆがみがだんだん大きくなると、網膜や視神経が傷つき、網膜剝離や緑内障、その他の合併症を引き起こす。最悪のケースでは失明もあり得るのだ。

 

病的近視の多くは幼少期に発症するが、はじめは近視以外の症状があらわれず、気が付きにくい。何十年と時間をかけて進行し、大人になってから気がつく。

ただし最近の研究で、病的近視の患者には子どもの頃から眼底に兆候が表れていることもわかってきた。

緑内障に関しても、早期に発見できれば目薬によってある程度の進行防止を期待できる。

 

一度傷つくと元には戻らない視神経。早くに発見し、定期的に継続して検査することが何より重要だ。子どものうちからリスクを認識し、眼科を定期受診するのが望ましい。

メガネの度数で、マイナス8以下の人は罹患の可能性もある。

ためらわず、ぜひお近くの眼科医へ。

                             (1月15日 日経新聞)

1月16日 iPS細胞で再び目に光?

理化学研究所の万代道子副プロジェクトリーダーらは、光を感じる視細胞をiPS細胞から育て、「網膜色素変性症」のモデルマウスに移植する実験で、光を感じられるようにすることに成功した。

 

視細胞が死滅していく難病、「網膜色素変性症」には有効な治療法がなく、視力低下や視野の狭まりが起きる。

 

実験では、視細胞を移植したモデルマウスのうち、4割が光を感知。

移植した視細胞と、マウスがもともと持つ網膜の神経細胞との間で情報をやり取りし、脳まで伝わっていたことがわかった。

 

失った“光を感じる機能”を、iPS細胞で回復できるというのが確認できたのは、これが初めてだという。

                             (1月11日 日経新聞)

1月13日 さぁ伴走 息を合わせて

昨年のリオデジャネイロ・パラリンピック陸上女子マラソン(視力障害)で、男女2人の伴走者と走り、銀メダルを獲得した道下美里さんをご存知ですか?

道下さんは、「信頼できる伴走者と巡り合えなければ、最高のパフォーマンスは出せない」と話しました。

 

ランナーと伴走者はロープを持って走ることが多く、フォームを崩さぬよう伴走者が気を配り、足は二人三脚の要領で合わせます。伴走者の最大の役割は、ランナーの安全確保です。曲がり角、段差、坂道など周囲の状況を伝え、視覚障害のあるランナーの進路を誘導します。

 

伴走者になるために必要な資格はありませんが、初心者には各地で開かれている伴走者らの練習会があり、伴走者を必要としているランナーと出会う機会にもなります。

ランナーのペースやレベルは様々で、伴走者には必ずしも高い走力が求められるわけではありません。

求められるのは、ランナーが必要としている事を話し合い、信頼関係を構築していく事。

 

ダブルスのプレイのように、一緒に完走できる時の喜びは格別。

「人助けと身構えず、楽しむ感覚を忘れないで欲しい。」と道下さんは話します。

伴走を体験すると、1人で走るのとは違った世界が見られるかもしれません。

 

(1月9日 朝日新聞)

12月16日 コンタクトレンズは安全に

コンタクトレンズを選ぶ時、何を基準に選んでいますか?

安全性、着け心地、それとも価格?

 

近年は装用感がよく、高い酸素透過性を持ち、長時間つけていられるソフトレンズが登場。特に使い捨てタイプは主流になっていて、眼科医も積極的にすすめます。

でも、過信は禁物です。

 

時間を守らず長時間装用すれば、結膜炎や傷を引き起こしやすくなります。

傷ができていても、レンズが包帯のように傷を保護して痛みを感じにくく、知らぬまに傷が深くなっているということも…。そこに細菌感染が起こると重篤な疾患をもたらします。

アレルギー体質の人では、レンズの素材に反応を起こし、どのメーカーも使えなくなってしまうケースも存在するのです。

角膜の内側にあるとても大切な細胞は、一度障害を受けて数が少なくなると、もとの数には戻りません。

 

コンタクトを使うなら、少なくても3か月に一度は眼科受診をしましょう!

 

                             12月10日(日経新聞)

11月26日 「白杖=全盲じゃない」理解訴え

「白杖持つ人って見えないんじゃないの。詐欺じゃね?」

「席を譲ったのにスマホいじってた」

電車内でスマートフォンを見ていたときなどに、このような言葉が聞こえてきたという視覚障害者は少なくない。

「“白杖を携えるのは全盲の人”という誤解から、筋違いの批難や疑問視をされることがある。」と、弱視などの視覚障害者がストラップや漫画を用いて理解を求めるなど声を上げ始めている。

 

全盲でなくても、視野の欠損や視力の低下で白杖を必要とする視覚障害者は多く、スマホは文字の拡大・読み上げ・白文字への反転など、わずかに見える人にとって便利な機能が多い。

道路交通法でも、「目が見ない者に準ずる者を含む」と明記のうえ、全盲でない視覚障害者にも白杖の携行か盲導犬による歩行を義務付けている。

 

神奈川県秦野市の渡辺敏之さんが作る、キャラクター『はくたん』のストラップには、「白杖=全盲とは限りません」の文字。自身も視覚障害をもっており、「正しい知識を柔らかい雰囲気で伝えたい」と手作りで販売を始めた。売れ数はすでに300個。

売上の一部は支援団体に寄付していて利益は出ないが、「関心をもってもらえれば」と語る。

これに感銘を受けた大阪市の山川恵子さんも、“全盲ではない視覚障害者”としての実体験を漫画で紹介。主人公は遮光眼鏡をかけ白杖をもったパンダの『よっかちゃん』。来月からは渡辺さんとのコラボでストラップ販売を予定している。

 

(11月22日 朝日新聞)

11月25日 まつげのおしゃれは健康に

顔の印象を左右するまつげ。量や長さで悩む女性も多いのでは?

長くてふさふさしたまつげは目の輪郭を強調し、大きく立体的に見えるため憧れますよね。

化粧品やつけまつげ、エクステなど様々なアイテムが登場した分、目もとの美容に関する健康トラブルも増えています。

 

例えば、人工毛を自分のまつげに貼りつけるまつげエクステによるもの。接着剤による刺激で目が充血する、アレルギーで目が腫れるなど、施術を受けた半数近くに何かしらのトラブルが起きているそうです。まつげの健康のためには何もしないことが一番です。

 

ただし一方で、まつげが極端に失われてしまったり、細く薄くなったり、短くなったりする症状に悩む人もいます。睫毛貧毛症と呼ばれる病気で、抗がん剤による副作用や、円形脱毛症、アレルギーによるものなど原因は様々です。

 

貧毛症について2014年3月に治療薬が発売され、皮膚科を中心に眼科でも処方されています。健康保険は使えず全額自費診療で、1瓶(5ml)が約2万円。この薬の成分は、眼圧を下げる効果があり、もともとは緑内障の目薬として開発されました。そのためまつげを伸ばすため使い続けると眼圧などに影響が出る場合があり、使用中は緑内障だと適切に診断されなくなることがあります。また、一部の人はまぶたが黒ずむ症状が出ることも。

 

貧毛症でなくても、まつげをもっと伸ばしたいなどと美容目的に使う女性もいます。自費診療とはいえ、健康を害するのは良くないです。リスクがあることを知り、異変を感じたら早めに医療機関を受診しましょう。

 

(日本経済新聞 11月19日)

11月14日 人工知能で早期発見

目の底の病気を早期発見するために、名古屋市立大と情報システム会社「クレスコ」が人工知能(AI)を使った画像診断システムを開発した。

80%以上の確率で診断に成功し、人間ドッグなどの検診での利用をめざしているという。

 

AIが診断するのは「光干渉断層計(OCT)」と呼ばれる網膜の中心を撮影した画像。

自覚症状がなくても、老廃物が溜まっていたり、異常な血管が生えたりしないかなど病気の初期段階がわかるという。

 

300人の両目のOCT画像1200枚を使い、そのうち1100枚には、20年以上の臨床経験を持つ医師の判断をつけ、AIに学習させた。

残り100枚の画像をAIに判断させ、1枚につき可能性の高い診断名を5つ挙げさせた。

1番目に挙げた診断名が医師と診断と合致したのは83%、2番目までに合致したものを加えると90%だった。残り10%は症例数が少ない病気だったという。

 

OCTはすでに普及しているが、画像の診断には専門的な知識と経験が必要だ。

人間ドックでOCT検査とAIによる診断を導入すれば、早期発見、早期治療につながる。

 

(中日新聞 11月12日)

11月14日 ボノボも40代で老眼に!

「ボノボ」とは、チンパンジーに近いサルの仲間のこと。

アフリカ中部の森林に生息し、体形や行動はチンパンジーとよく似ています。

 

チンパンジーも老眼があるという説はこれまでにもありましたが、科学的なデータが示されたのは初めてのことです。

京都大霊長類研究所のグループは、野生のボノボが仲間の毛についた寄生虫を取る毛づくろいに着目しました。

 

「近い方がやりやすく、目と指先の長さは一番近くの見やすい距離になっている」と考え、11歳から45歳の14頭が毛づくろいをしている時の目から指先までの距離を測りました。

その結果、35歳までは目から10センチ前後で毛づくろいをしていましたが、その後は急に遠くなり、40代では20~40センチ以上離れていたそうです。

 

ヒトでも焦点が合って見える最も近い距離の平均は、35歳ごろまでは10センチ程度ですが、45歳では30センチ程度になります。

 

寿命が長い分、ボノボやチンパンジーより老化が遅いと考えられてきましたが、目に関してはそうとは限らないそうです。

人とボノボの老眼の進み方はほぼ同じなんですね。

(中日新聞 11月11日)

11月9日 普及に期待!視覚障害者も囲碁

普及に期待!視覚障害者も囲碁

 

今月三日、名古屋盲学校で囲碁教室が開かれました。主催は日本視覚障害者囲碁協会の代表理事でアマ四段の、柿島光晴さん(東京都)。

 

視覚障害者の囲碁は東京や大阪では盛んに行われており、愛知県内での普及はこれからというところ。

この日初めて囲碁に触れる児童や生徒たちはみな、「面白い」と夢中。どんどん前かがみに。

 

碁盤は、30年以上前に考案された碁盤を全盲の柿島さんが3年前に改良したもの。

プラスチック製で、盤面にひかれた線の部分が出っ張っています。碁石の裏には溝があり、そこにはめ込んで対局。黒の碁石には突起があって、盤面を乱さずに手触りで状況把握できます。

 

「面白かった。またやりたい。」と話す生徒たち。

愛知県内には協力的なプロ棋士が在住するなど、環境は悪くないといいます。特製の囲碁盤なら、健常者とも対等に勝負が可能。普及が進み、ぜひ県内からプロ棋士が誕生して欲しいものですね。

(11月4日 中日新聞)

11月8日 動く診療室!

皆さん 「ビジョンバン」をご存知ですか?

ビジョンバンとは、眼科の検査機器を搭載して各地を回る車両のことです。

2005年、超大型ハリケーン「カトリーナ」に襲われた米国南部の被災者の眼科診療を目的に作られました。

 

東日本大震災の発生直後の11年4月に米国の善意により日本に空輸され、被災して眼科を受診できない人やメガネを失った人に医療を提供しました。

フットワークよく、困った人の近くに駆けつける機能が評価され、米国に車両を帰した後の13年3月には、宮城県の復興予算で国産ビジョンバンの第一号も作られました。

 

これまでの検診回数は計98回で、受診者数は延べ5060人。

高いレベルの検査が可能で、手術以外はすべての診療ができる、まさに「動く眼科診察室」なんです。

 

今後は、被災地だけでなく、医療機関が少ない内陸の山間地などに活動を広げ、過疎地の眼科検診充実に活かしていくそうです。

 

(日本経済新聞 11月1日)

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