5月21日 デジタル画面凝視 近視リスク

スマートフォンやタブレットなどデジタル機器が身近になる中、子どもの視力の低下傾向が続いている。

文部科学省の2022年度学校保健統計調査によると、裸眼視力1.0未満の小学生は37.88%、中学生は61.23%で、いずれも過去最多。

国立成育医療研究センター眼科医員によると、スマホ画面など近くの物ばかり凝視する生活が続くと、眼軸(眼球の奥行き)が過度に伸びて遠くの物にピントが合わなくなる。この状態を「近視」と言い、体の成長に伴って眼軸が伸びている学齢期に進行しやすい。大半は眼鏡やコンタクトレンズで矯正できるが、強度近視と呼ばれる状態になると網膜剥離などのリスクが高まる。近視が進むと基本的に元には戻らないため、普段から近くを見すぎないようにすることが大切である。

子どもがスマホやタブレットを利用する際は、目と画面の間を30センチ以上離し、30分に1回は6メートル先を20秒以上見るように心掛けるとよい。

また、デジタル機器の画面から出るブルーライトをカットする眼鏡の着用を子どもに勧める動きもあるが、日本眼科学会などは推奨する根拠はないとしている。

 

朝日新聞 令和6年5月18日

5月1日 繰り出すパンチ 心の目で

名古屋発祥の障害者スポーツがある。視覚障害者が、鈴の音だけを頼りに相手の位置を確かめ、「心の目」でパンチを繰り出す「ブラインドボクシング」だ。誕生して10年余り、競技は普及の途上だが、視覚障害のある人たちの「希望」に育ちつつある。

通常のボクシングと違い、両者は打ち合わない。視覚障害者はアイマスクをして、鈴付きのひもを首にかけたトレーナーにパンチを打ち込んだり、あらかじめ決められた形でパンチを防御したりする。

1ラウンドは2分。相手を倒すことが目的ではない。フットワーク、パンチの有効性、パンチのコンビネーション、防御姿勢、ファイティングスピリッツの五つの採点基準により優劣をつけ、勝敗を競う。

昨年5月から練習会に参加している東郷町の織田永嗣さんは、元プロボクサーで、22年暮れに緑内障で失明の恐れがあると診断された。両眼を手術し、左眼は8%、右眼は24%しか見えなくなった。車の運転もできなくなり、ジムにも通えなくなった。「もう何もできない」失意のどん底にあった織田さんを救ったのがブラインドボクシングだった。歩行訓練先で知り、練習会に参加した。

いまは白い杖をつかないと歩けないが、約2時間の練習中はアイマスクをつけ、音だけを頼りにパンチを繰り出し続ける。

織田さんは、「ブラインドボクシングが希望の光となった。すべてが新鮮。思い切り体を動かし、汗をかけるのはうれしい」と声を弾ませる。

競技は2011年に生まれた。名古屋市出身で、一般社団法人ブラインドボクシング協会名誉会長の佐野雅人さんが「すべての人にボクシングを楽しむ機会を」と考案した。

佐野さんは、「人間の体のすばらしさは、五感のひとつが損なわれても他の感覚によってその障害をカバーできる点だ。ブラインドボクシングを通じて、新たな可能性に気づき、自立と社会参加を促進してもらいたい」と語る。

織田さんは「日本一という新たな目標ができた。将来はパラリンピックの競技になればうれしい」と話す。

中日新聞2024.4.30

4月23日 目光らせます 自動車盗!

昭和署は、防犯効果があるとされる「目」のイラストを使った防犯プレートを、昭和区内の高校生や大学生のデザインで作った。

公共施設や公園の駐輪場に提示し、増加傾向にある自転車盗などの抑制を図る。デザインは、こちらを見つめる二つ目のイラストに「警戒区域」の文字を添えてプレートに仕上げた。

区内での自転車盗は今年1~2月、前年同期比14件増の31件を認知。侵入盗の認知も7件で、前年同期の倍以上となっている。署では、見られているという意識から犯罪抑制効果が実証されている目のイラストを使ったプレートの制作を企画し、管内の学生にデザインを依頼した。

署ではお披露目式があり、実際にイラストを描いた桜花学園高校3年生のイラスト部の八木さんは「監視している目を意識して、威圧的な目になるようにした」と説明し、南山大人文学部3年で美術部の松尾さんは「自分の目を鏡で見ながら描いた。犯罪の抑止になれば」と期待した。柴田学署長は「犯罪に対して地域の目がしっかり監視していることを訴えたい」と話した。2種類計200枚を鶴舞公園や区役所の駐輪場、区内のコミュニティーセンターに順次掲示する。

中日新聞2024.4.21

 

3月22日 視覚障害者とマイナ保険証-リスクばかりで利便性ゼロー

愛知障害者協議会(略称:愛視協)は、結成以来五十五年間、視覚障害者の生活と権利を守り高めるために活動を続けてきました。

愛知障害者協議会会長の大塚強氏はマイナンバーカードのリスクがいかに重大かをお話ししています。まず、障害のない方であっても、マイナンバーカードの紐づけに失敗したら、あるいは盗まれたら、たくさんの個人情報がのぞき見られ、奪われてしまいます。その上障害者の場合、障害の種類・程度・交付年月日・利用している福祉制度など、高度な個人情報が記録されています。福祉用具の売り込みにもってこいの情報が満載です。また女性の場合は性犯罪のターゲットにされますし、男性であっても空き巣、強盗のターゲットにされるでしょう。また以下のようなリスクも障害者にはと大塚氏は語っています。

<マイナカードのリスク>

  • 覚障害者にはカードリーダーが使えず、マイナ保険証をかざす場所が分からない
  • タッチパネルで暗証番号か顔認証かを選ぶボタンが見えない
  • 暗証番号が押せない
  • 「開示に同意する」「同意しない」のボタンが押せない

上記だけでなく、障害者医療費助成や後期高齢者医療費・難病指定医療費助成など、自治体独自で行っている制度の情報は組み込まれていないので、これまで通り人のいる窓口を利用するしかない状態です。

また、視覚障害者は運転免許証が取れないため、本人確認の際は、身障者手帳と健康保険証を合わせて提示してきました。政府は当面、マイナ保険証を作らない人には資格確認書を発行すると説明していますが、資格確認証が本人確認書類として認められるのか、とても不安です。

マイナンバーカード以外にも、障害者にとっては医療機関の受診でも困ることがあります。例えば、同行者がいるとき、私にではなく同行者に説明されるのも不本意です。障害者ひとり一人、求める合理的配慮は違いますから、マニュアル化するのではなく、その都度本人の思いを聞いてください。と大塚氏は語っています。

我々医療機関も「心と心が通い合う医療現場」を目指していけたらと思っています。

第2285号 愛知保険医新聞

2月27日 小学生のほぼ半数が花粉症

花粉症シーズンの本格到来を前に、ロート製薬が7千人超の親を対象とするアンケート結果を公表した。0~16才の子どもの42.6%、小学生ではほぼ半数が花粉症を実感しており、勉強集中できないなど日常生活への影響もみられた。
専門家は生活環境の変化に加え、親の花粉症発症率の高さも要因としている。
現在小学生の子どもの花粉症の平均発症年齢は5.8歳で、症状は鼻水、目のかゆみ、くしゃみの順に多かった。24.9%が「授業など勉強に集中できない」と答え「夜眠れない」
「外で遊びを楽しめない」も目立った。
日本医大耳鼻咽喉科の大久保公裕教授は、子どもが外で遊ぶ頻度が低くなって細菌に触れる機会が減り、花粉に免疫反応を起こしていると分析している。

中日新聞2024.2.24

2月26日 花粉症対策 今年も万全に

飛び始めは2月初めと早かったが、大量飛散だった昨年より量が少ないとみられる地域が多いという。ただ、昨年並みか多いと予想される地域もあるので地元の情報をチェックしてほしい。
花粉を防ぐ方法として、マスク・眼鏡の効果が高い。しかし、意外と実行されていないのが実情だ。特にコンタクトレンズを使う人が眼鏡に切り替えられていないことが多い。ゴーグルではない普通の眼鏡で十分なので着けてほしい。
最も効果的なのは毎日飲み薬と点鼻薬を併用すること。しかし、点鼻薬は症状がひどいときだけなど誤った使い方をする人が後を絶たない。
正しく使っても1、2割の人は症状が改善しない。そうした重症患者にとって頼れる味方となるのが、19年にスギ花粉症にも保険適用となった抗体治療薬「オマリズマブ(商品名・ゾレア)」だ。現在文案がネットで公開中のガイドライン改訂版も重症者への使用を強く推奨する。ただし処方できる患者には厳しい要件があり、実施する医療機関も限られてくる。

<スギ花粉を防ぐ方法>
・花粉情報に注意する
・飛散量が多い時は外出を控える。外出時はマスク、眼鏡を着用
・表面が、けば立った毛織物などのコートは避ける
・帰宅時、衣服や髪をよく払う。洗顔、うがいをし、鼻をかむ
・飛散量が多い時は窓や戸を閉める。換気時の窓は小さく開け、短時間で
・飛散量が多い時の布団や洗濯物の外干しは避ける
・シーツ、布団カバーは週1回以上洗濯する

中日新聞2024.2.20

 

2月20日 自分らしさ光る義眼

磁気センサーで緑や赤に光ったり、ブラックライトで瞳の中の文字が光ったりする独創的な義眼を作る女性が名古屋市にいる。「義眼アーティスト」として活動するリブさん(29)。自身でデザインした義眼を身に着けることで、幼少期に右目を失明したつらい過去を乗り越え、自分らしさを表現しながら生きている。
医療用の樹脂などを使って自作する技術を磨き、2023年に装着できるレベルになった。一からデザインした自作の義眼は現在8個である。

中日新聞2024.2.20

2月20日 失われた光再び認識へ ~目の難病 治療のカギを握るタンパク質~

国内で緑内障に次いで失明の原因となる難病「網膜色素変性症」の治療薬の開発で、※1タンパク質「ロドプシン」が貢献している。
網膜色素変性症は厚生労働省の指定難病で、視野が徐々に挟まる病気である。
4千~8千人に1人が発症し、約3万人の患者がいるとされる。目の奥にある網膜をつくる複数層の神経細胞のうち、最も外側で光を受け止める「視細胞」の機能が失われるのが原因だ。
ロドプシンは光を受けることで働くタンパク質。「動物型」と「微生物型」に大別でき、計1万1千種類以上あるといわれる。これまで、微生物型の一種の遺伝子を組み込んだウイルスを残った内側の細胞に注射し、光を再び認識させる研究が進んできた。ただ晴天の明るい場所でしか見えず、室内では見えない課題があった。
動物型は光の感度が高いが、網膜で機能させるのが難しい。微生物型は感度が低いが網膜で機能させやすい。双方の長所を組み合わせたい考えだ。24年度の治験を目指す。

※1:名古屋工業大の神取秀樹特別教授が研究してきた治療薬

中日新聞2024年

2月5日 障害者配慮 私立大でも義務化

障害者への合理的な配慮(障害者が社会生活を営む上で必要な対応)を民間事業者にも義務づける改正障害者差別解消法が4月に施行され、私立大にも障害者への配慮や支援が国立・公立大と同様に求められようになる。それに先立って、桜花学園大(愛知県豊明市)の学芸学部英語科には昨年4月初めて全盲・20代女性が入学した。大学も受け入れの環境を整える中、「中学校の英語の先生になりたい」と勉学に励み、ここまでの約10ヶ月間、充実した大学生活を送っている。

独立行政法人日本学生支援機構が全国1,176校の大学などを対象に行った調査によると、障害のある人の在籍数は、22年度が4万9,672人で、06年度の10倍に増えている。視覚障害者の学生は823人で、このうち視覚による学習が難しいとされる「盲」は141人。

4月の改正法施行では、従来は障害者への合理的な配慮が「努力義務」だった民間事業者も、「義務」となる。これまで私立大では、障害者を受け入れる取り組みに差があるなどと指摘されていたが、今後は国立、公立大と同様に、費用や人手がかかりすぎない範囲で可能な配慮や支援、環境整備が求められる。

中日新聞2024.2.3

12月4日 デジタル端末 指導に工夫

子どもの視力低下が止まらない。裸眼視力1.0未満の小中高生の割合は過去最多。文科省は、学習端末を使う際は30分に1回は目を離すことを訴えるリーフレットを配布している。「三つの20」を紹介する紙芝居を県内の幼稚園と保育園に贈った。「画面を20分見たら20秒、20フィート(約6メートル)先を見る」というもので、幼少期からの定着を狙う。新型コロナウイルス禍でオンライン授業やスマホ、ゲームの時間が長くなり、世界的に近視の子どもが増えたと指摘。近視は緑内障などのリスクが高まるとし、予防には目の休憩と外遊びが効果的という。

 

2023.11.29 中日新聞

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