6月21日 イメージより目の保護を…
五月下旬、強い日差しの下、少年硬式野球チーム「名古屋リトル」の小中学生たちがキャッチボールで汗を流した。目には黒いサングラス。
今春から着用を勧めている野道輝夫監督は、「以前から安全を考えて、かけた方がいいと思っていた。ほかの指導者にも勧めています」と話す。
野道さんによると、野球におけるサングラスの効用は二つある。一つは紫外線。
金沢医科大の佐々木洋教授が2010年に香川県内の中学生320人の目の状態を部活動ごとに調査したところ、紫外線によって白目が黄色くなる「瞼裂斑(けんれつはん)」の初期症状が、野球部員の61.5%(屋内部活動の2倍ほど)に見られた。佐々木教授は「紫外線は白内障や翼状片の原因となる。子どものころから対策が必要」と指摘する。
もう一つはボールから目を保護すること。ボールが直撃すれば眼底骨折や失明の危険もある。相手チームの外野手が太陽光で打球を見失い、ボールが顔面に直撃したのを見て自分のチームで着用を決めたという野道さん。「特に今の子は外遊びが少ないからか、ボールを目で追えない子が多くて危険」とも話す。
高校・大学、社会人、プロは以前からサングラス着用が認められており、夏に開催される全日本中学野球選手権大会でも、今年から野手全員の着用を認めた。
日本リトルリーグ野球協会も数年前、「プレーに必要ならサングラス着用を認める」と規約に明記。以前はイメージが良くないとの考えがあり規約で禁止していたが、今は子どもの安全を考慮している。
規約で認められてからも「相手に失礼」などの意見はあるが、話す時には外すようにするなどけが予防の観点からの柔軟な指導が求められそうだ。
(6月17日 中日新聞)