8月25日 音を頼りにホームラン!? 「静かな甲子園」始まる
20日から岡崎市で、目が不自由な盲学校の生徒らによる全国盲学校野球大会が始まる。今年で30回目のこの大会は全国9地区の代表チームが出場する。
愛知からは県立岡崎盲学校(同市)と県立名古屋盲学校(名古屋市千種区)の連合チームが出場し、地元での優勝を目指す。
岡崎市内のグラウンドで連合チームによる練習試合。投手がハンドボールの球を打者に向かって転がす。打者が空振りし、捕手の手に収まるまで、選手らは黙って見守った。目が不自由な選手にとって打撃も守備も、地面を転がるボールのかすかな音が頼り。プレーの間は、周囲は静かにしていなければならない。そのため、大会は「静かな甲子園」とも呼ばれている。
チームには岡崎盲学校から10人、名古屋盲学校から5人が参加。矯正しても視力が低いなどの弱視の選手と、全く見えない全盲の選手がいる。年齢は14~44歳と幅広い。
チーム最年長で捕手を務めるのは、岡崎盲学校高等部専攻科2年の河東さん。以前はトラックの運転手をしていたが、5年ほど前に急性網膜壊死(えし)と診断され、右目が見えなくなり、左目の視力は0・03。今は手に職をつけようと盲学校でマッサージなどの勉強をしている。
岡崎盲学校と名古屋盲学校は普段は別々に練習し、チームの結成も2か月前。距離や時間の面で集まれる機会があまりないだけに、選手たちがどれだけ親密になれるかということを課題にしていた。しかし、5回ほどの合同練習を通し、「練習をしているうちに徐々に打ち解けてきた」という声もメンバーからあがっている。
予選リーグは20日。メンバーは、「歴史ある大会に出られてうれしい。出場する以上、優勝を目指したい」と意気込む。
(朝日新聞 8月19日)