5月21日 人工の網膜!? 視力改善に光

米国やドイツで臨床応用が始まっている、人工網膜の臨床試験(治験)が大阪大学の瓶井資弘病院教授らによって始められた。治験は「網膜色素変性症」の患者が対象となり、失明に近い状態の患者の目に電極を埋め込み治療する。
<人工網膜の仕組み>
①   眼鏡につけたカメラで撮り、腰にぶら下げた装置で映像を電気信号に変える。
②  信号は耳の後ろの装置を通じて、目の裏側に付けられた電極に伝わる。
③  目を介した信号を脳が感じ、目の前の光景となって現れる。
研究チームは1月末に1人目の患者に人工網膜を埋め込んだ。手術前は明暗を感じ取れるぐらいだったが、目の前の棒をつかみ、棒が動く向きもわかるようになった。
2015~16年度には企業やほかの大学とも協力し、10~15人程度を対象に本格的な治験を始める予定。安全性や治療効果を見極め、2018年ごろには厚生労働省の承認を得て、臨床応用の目処をつける考えだ。
網膜色素変性症は視覚を担う細胞を失う。患者数は国内で1万人以上と推定されていて、失明に近い状態から健康な人並みに視力を回復するのは難しいが、物の形がなんとなくわかれば生活がしやすくなる。
万能細胞のiPS細胞を使う再生医療と並び、目の難病患者が視力を取り戻す治療法として注目したい。

 (日経新聞 5月12日)

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