3月15日 新薬で症状改善に期待!
視野がゆがんだり欠けたりして、失明の可能性もある“加齢黄斑変性”。
現在、一般的な治療では坑VEGFという新薬が効果を上げています。
<原因は?>
網膜の下にある色素上皮という細胞に不必要な血管が生え、網膜が押し上げられることで、目の奥に異常な膨らみができます。
それが、視力低下や物がゆがんで見える原因です。さらに症状が進行すると、網膜そのものもダメージを受け、視野が欠けるなどの症状が現れます。
<治療法は?>
麻酔をし、坑VEGF薬を眼球の内側に注射することで、不要な血管が増えるのを防ぎます。程度によっては、膨らみの部分もレーザーで取り除くこともあります。
坑VEGF薬による治療は、進行が止まるだけでなく、病気によって低下した視力が回復する例も多くみられ、革命的なものと考えられています。
しかし治療には、入院や毎月の通院、年に数回の注射が必要で、注射1回分が17万円程するなど、保険を適用しても高額な費用がかかるという面もあります。
<早期発見のために>
治療による効果が上がった理由の一つに、検査装置の進歩があげられます。
その装置は、光干渉断層計(OCT)と呼ばれ、網膜の様子を数マイクロメートルの解像度で見ることができます。自覚症状のない段階でも、異常な血管が生えていないか、網膜層が膨らみ始めていないかが分かります。
網膜が深刻なダメージを受けてしまってからでは、坑VEGF薬も効果はありません。
目が見えにくくなったら、老化によるものと自己判断せずに一度検査を受けることを
お勧めします。
また、近年ではiPS細胞(人工多能性幹細胞)による初の臨床研究が注目を集め、将来的に再生治療が効果をあげることも期待されていますが、一般的に導入するには20年はかかると言われています。
iPSの臨床研究を計画している先端医療センター病院は「治療を中断して来ることは絶対にしないように」と警告しています。
(朝日新聞 3月12日)