2月18日 仲間に出会い、積極的に生きる

網膜の機能低下によって、視野が狭くなったり、視力が低下する網膜色素変性症。
この病気と向き合う人を支える日本網膜色素変性症協会(略称JRPS)についてご紹介します。

東京の品川区に本部があるこの協会は、「クオリティー・オブ・ライフ(生活の質=QOL)の確立」を目的にしており、目が悪くても自立して前向きに、自分らしく生きることをサポートしようと立ち上がりました。病気のことを分かりやすく解説した資料や漫画、拡大読書器をはじめとする生活支援機器も置いてあります。

 ここには、網膜色素変性症の症状が進んだ人が多く所属していますが、元気で積極的な人ばかりです。
20年前にこの病気が分かり、さらにその後がんであることも発覚した監事の小林正志さん(64)。病気のために、経営していた工場をたたまざるおえなくなりました。
しかし、JRPSに関わったことで 「人の輪の中にいるのがうれしい。少しでも人の役に立てるならもっとうれしい」と、現在では近くの小学校で将棋を教え、長年愛好する硬式テニスのコートにも立つほどです。
「仲間は全国にいるので心強い。毎日が充実しています」と話すのは、会長の金井国利さん(67)。携帯電話の音声ガイドと白杖(はくじょう)を頼りに、全国各地の支部にも出かけることもしばしば。

現在35の支部があり、会員が約4000人のJRPSは、1994年5月に発足しました。
JRPSが掲げるもう一つのモットー、「治療法の確立」。
網膜色素変性症は、原因が特定できず治療法も確立していない病気です。この現状で、研究などに懸命に取り組む医師たちを支援するため、JRPSは「もうまく基金」と呼ぶNPO法人を立ち上げ、支援者から寄付金を集めています。

網膜色素変性症という病気自体、現在でも認知度はさほど高くありませんが、JRPSはこの病気があまり知られていない頃から、地道な活動を続けてきた頼もしい応援団なのです。

 (日本経済新聞 2月9日)

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