2月5日 「瞽女」心打たれ唄い継ぐ

かつて、盲目の女性旅芸人が三味線を片手に全国を唄い歩く「瞽女」の文化があった。

担い手は減り続け、最後の一人とされる小林ハルさんが亡くなって20年。

独特の文化を受け継ごうと、やはり全盲の広沢里枝子さんが各地で唄を披露している。

「瞽女」が活躍したのは、福祉制度が十分に確立していない時代。

「瞽女」は目の見える「手引き」の女性によって2、3人で娯楽の少ない農村漁村を巡り唄(長い歌で30分以上あり発生も独特)を披露して金や米といった生活の糧得た。

女性の視覚障害者が自立するには限られた選択肢しかなく想像できないくらい過酷だった。

ただ、今も社会に出るのは簡単なことではなく、広沢さん自身も目が見えないことを理由に就職を断られたり女性の障害者は重複の差別を受け、抑圧や不条理は今もある。

それでも、社会全体や当事者、みんなで少しずつ切り開いて楽しい唄はとことん楽しく、悲しい唄はとことん悲しく。生きるために受け継いだ唄を通して「瞽女」の生き方を伝えられたと前を向く。

(中日新聞 2025年2月3日)

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