10月4日 視覚障害に高額の遺伝子治療薬

この薬は、「ルクスターナ」1回分の薬の価格は約4960万円で、患者の両目に1回ずつ投与すると、1人あたり計約1億円になる。対象は、遺伝性の視覚障害「遺伝性網膜ジストロフィー」で、そのなかでも、目の奥にある網膜で光を感じるはたらきに関わる遺伝子「RPE65」
に変異のある患者。ルクスターナを目の奥に注射することで、正常なRPE65遺伝子を患者の網膜の細胞に入れて、光を感じる仕組みがはたらくようにする。ルクスターナは6月、厚生労働省の部会から製造販売の承認を受けた。国内治験の患者数が非常に少ないため、販売後、使用したすべての患者での安全性や有効性を調べることや、十分な知識と経験がある医師が使うことなどの条件がついた。超高額薬のため、効果が見込めない人にまで使ってしまうと、国の医療財政へ負担は必要以上に大きくなる。目の前の患者に使うべきかどうかの見極めが重要になる。遺伝性の病気のため、本人や家族への適切な遺伝子カウンセリングができる体制も求められる。
日本網膜硝子体学会は保険適応に先立つ7月、ルクスターナの適正使用指針を公表。その後、指針にもとづいて、東京医療センターと、神戸アイセンター病院の2施設がこの薬を扱える医療機関として認められた。
全員に効果がみられるとは限らないので、過大な期待は禁物だ。本当に効果がある方に対して、適切な使い方をしていく必要がある」と話している。

2023.9.27朝日新聞

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