2月14日 目の難病に希望の「光」

慶応大学と名古屋工業大学などの研究チームは13日、光を当てることによって狙った神経細胞の活動を操作する「光遺伝学」という技術を使い、目の難病で失われた視覚を再生する遺伝子治療薬の臨床試験(治験)を始めたと発表した。6日に慶大病院で1例目の患者に投与した。光遺伝学の臨床応用は国内で初めてという。

治療薬は高い感度で光に反応するタンパク質「キメラロドプシン」をつくる遺伝子が入っている。

治験の対象は、「網膜色素変性症」。視野が徐々に狭まって視力が低下し、最終的には失明する場合もある。網膜をつくる複数層の神経細胞のうち、最も外側での光のセンサーの役割を果たす視細胞の機能が失われるのが原因。国内に約3万人の患者がいるとされる。

今回は失明状態の患者に投与した。1カ月たつと視細胞の内側に残っている神経細胞でタンパク質がつくられ、視細胞の代わりに光を検知することが期待される。今後、有効性と安全性を確認していく。治療法のない病気なので期待が高い。

2025.2.14中日新聞

2月14日 霊長類 危険察知で視覚発達か

ヘビが怖いのは、うろこのせいなんです。

人間やサルなどの霊長類は、ヘビのうろこに脅威を感じ、いち早く察知しているという研究結果を名古屋大学大学院の川合伸幸教授が発表した。

川合教授によると、ヘビを見たことのないサルや人間の幼児は、ヘビの写真を他の動物の写真よりも早く見つけることがこれまでの実験などでわかっていた。しかし、ヘビのどのような特徴に反応するのかは解明されておらず、うろこのほか、足のない細長い体や体の色などが要因として考えられていた。川合教授はうろこに着目し、本物のヘビを見たことのないニホンザル3匹を対象に実験。9枚の白黒写真から一枚だけ別の動物を選ばせた。8枚のイモリから1枚のヘビを選ぶ場合と、8枚のヘビから1枚のイモリを選ぶ場合を比べると8枚のイモリから1枚のヘビを選ぶ方が3匹とも見つける時間が早くなることがわかった。その差は全体の傾向としてわずか0.04~0.05秒程度だったが、ヘビ相手では「生死を分ける時間」になるという。さらに、イモリの体にヘビのうろこの画像を合成した白黒写真を使って同じ実験を実施。見つける早さを比べると、2匹はヘビを選んだ時間と同じで、1匹はそれよりも早くヘビのうろこをつけたイモリを見つけた。

川合教授は「ヘビの独特の動きや細長い形ではなく、うろこに対して敏感に反応していることが分かった」と分析。

 

「霊長類はいち早くヘビが察知できるよう、視覚を進化させてきたと考えられる」とし「野生の猿による農作物被害の防止に、うろこが役立てられるかもしれない」と期待を込める。

(中日新聞 2025年2月5日)

 

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