2月14日 目の難病に希望の「光」
慶応大学と名古屋工業大学などの研究チームは13日、光を当てることによって狙った神経細胞の活動を操作する「光遺伝学」という技術を使い、目の難病で失われた視覚を再生する遺伝子治療薬の臨床試験(治験)を始めたと発表した。6日に慶大病院で1例目の患者に投与した。光遺伝学の臨床応用は国内で初めてという。
治療薬は高い感度で光に反応するタンパク質「キメラロドプシン」をつくる遺伝子が入っている。
治験の対象は、「網膜色素変性症」。視野が徐々に狭まって視力が低下し、最終的には失明する場合もある。網膜をつくる複数層の神経細胞のうち、最も外側での光のセンサーの役割を果たす視細胞の機能が失われるのが原因。国内に約3万人の患者がいるとされる。
今回は失明状態の患者に投与した。1カ月たつと視細胞の内側に残っている神経細胞でタンパク質がつくられ、視細胞の代わりに光を検知することが期待される。今後、有効性と安全性を確認していく。治療法のない病気なので期待が高い。
2025.2.14中日新聞