7月12日 全盲プロレスラー 28日誕生

全盲のプロレスラーが今月デビューする。10代で両目の視力を失った大舘(おおや)裕太さん(39)は、幼少期からの夢をかなえるために、昨年石川から移住し、名古屋市内のプロレス団体の練習生として技を磨いてきた。今月28日、今池ガスホール(名古屋市千種区)である興行「愛プロレス博2024」で初めて公式戦に臨む。

広島県福山市出身で、生後間もなく「網膜芽細胞腫(もうまくがさいぼうしゅ)」という目の癌が見つかり、右目は義眼となり、左目もほとんど見えない状態で成長した。それでもテレビでかすかに見たプロレスに憧れ、柔道を習い、高校生で地元のリングに上がった。だが同時期に左も視力を失い、「自分で夢にふたをしてしまった」と振り返る。

成人後はマッサージ師として生計を立て、32歳で結婚・一児の父になった。子どもの教育のために石川県加賀市で暮らしていたが、「好きなことに挑戦する姿を息子に見せたい」と、プロレス再挑戦を考えるようになった。初めての公式戦では、「あきらめなければ夢はかなうと観客に伝えたい」と意気込んでいる。

(中日新聞 2024年7月11日)

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