7月31日 核白内障 温暖化で倍増
地球温暖化が進むと、白内障の一種で視界が茶色くなる「核白内障」の65歳以上での発症が、都市部で2040年に最大2倍になる可能性があるとのシュミレーション結果を、名古屋工業大学などがまとめた。発症を抑えるには紫外線対策が有効とされてきたが、平田晃正教授は「特に50代以上は暑さ対策を一層強化する必要がある」と指摘している。
白内障は目のレンズの役割を担う「水晶体」が濁る病気で、加齢とともに水晶体の修復機能が衰え、白内障の発症リスクが高まり、80代での発症率はほぼ100%とされている。
平田教授らは、これまでに熱中症のリスクを予想する技術を確立してきた。今回、白内障を専門にする金沢医科大学の佐々木洋主任教授が調査した中国やタンザニアの熱帯地域の数千人のデータを分析した結果、熱帯に住む人や高齢の人は水晶体の温度が高くなりやすく、1年間に累積した暑さによる負荷は、熱帯では温帯の4倍に上がり、核白内障や熱中症のリスクが高かった。さらに核白内障の発症の要因の内訳は、熱が5割・紫外線が3割で、紫外線より暑さが影響を及ぼすことが分かった。
平田教授は国際的な気象予測などから、温暖化が進むと2040年の平均気温は地球全体で2度、愛知や東京などの都市部は1.6度上昇すると推測。シュミレーションの結果、今より5歳程度早く発症することになるという。
また佐々木主任教授によると、熱中症を患って体温が40度以上になると、水晶体の温度も同程度に上昇する可能性があり、「目の温度が0.5度上がるだけで核白内障になるリスクはかなり高くなる。温暖化で患者は増えるだろう」と警鐘を鳴らす。
(中日新聞 2024年7月31日)