2019.5.7 今度は大阪で暗闇
GWの一日、大阪で開催されている『ダイアログ・イン・ザ・ダーク』に参加してきました。
『暗闇での対話』と言う通り、あるテーマに沿って、真っ暗闇の中で何かを体験する試みです。
今回のテーマは『ガーデニング・イン・ザ・ダーク』です。
参加メンバーは、院長(私)を含め女性5名。
『アテンド』と称し先導してくれる人は、視覚障碍者のグッチーさん。
さて、アテンド曰く純度100%の暗闇の世界に入る前に、3つの使用するものを伝えられます。
一つは『白杖』(一種の触覚)
鉛筆持ちで握ります。
次に『手と足』(触覚)
物に触れる場合は、まず、手の甲で。
それから、掌や指先を使うのが基本(危険防止)。
最後に『声』(聴覚)
自分が動くとき、位置を示すときに声を発すること、また、相手の行動や位置を知るには、重要です。
それ以外にも、『嗅覚』『味覚』も働かせてくださいね~と。
照度が徐々に低くなって、やがて真っ暗になります。
『ひゃあ~』『真っ暗や~』
ここで、名前だけの自己紹介。
以後、声だけで、その人を判断することになります。
引き戸を開けて、白杖で地面を触ると、ゴツゴツしています。
見えてたら、下さえ向かず、気にも留めません。
『なんやと思います?』
『コンクリート?』『レンガ?』
『では、しゃがんで触ってみましょう』
そろりそろりと、しゃがんで触ると『ん?レンガ?』
『正解です』(視覚障碍者は視覚以外と結びつけて学習・記憶するそうです)
そこから、上がり框へ。
靴を脱ぐのも、『隣が誰々さんで』と、声や身体を触ったりして確認して、おおよその場所を把握してからです(靴を脱いだ行為はしても、脱いだ靴がちゃんとあるかも確認できない。靴下も)
壁をつたいながら、声を掛け合いながら、肩や背中に触れながら、隣の部屋に移ります。
そこは、縁側。
庭先には、花壇があり、土が盛ってあります(触覚で)。
サラサラの土を触り、ホクホクの匂いを嗅いだのはいつ以来?
ガーデニングの始まりです。
植木鉢が順に渡され、そこに軽石を入れます。
量は、見えないので、一掴みくらいの指示通りに。
そこに土を。
今度は、植木鉢の高さより指関節2つ分下くらいまで。
種は2種類。
グッチーさんが種の入った缶を2種振ります。
『シャ~、さらさらさら~』
一つ目は、かなり小さな種のよう。
二つ目も、一つ目よりは大きいけれど、まだまだ小さい種であることは音から想像できます。
『なんやと思います?』
朝顔やヒマワリみたいな大きな種ではなさそう…
好きな方のタネ(院長は二つめ)を暗闇の中で植木鉢にまいて、土をかぶせます。
種まき終了。
その後、芝生に寝転がり、その感触を楽しみながら、お茶とお菓子をいただきます。
個包装のお菓子は、舌に載せて味わって、初めて『おせんべい』だと判明。
『しょうゆ味の2枚入りのあのお菓子かな?』と、触感と匂いも駆使して想像。
お茶も、声を掛け合い、身体を触り、手渡しして、上手く飲めました。
少しくつろいだ後は、また、壁を伝い、靴を履き、白杖を使って『さようなら』
わずかな時間でしたが、暗闇の中で、見知らぬ5人とアテンドのグッチーさん、やべっちさん(家でもてなす係)がとても近い距離になったのでした。
『僕たちの世界、ちょっとはわかっていただけましたか?』
こうした一連の体験を通して、光のある世界に戻ってくると、視覚からの情報がいかに多い(情報入力の87%)ことか!と再確認します。
健常者は、五感のうち、ほとんどを視覚に頼り、学習も判断もしていますが、その実、視覚による先入観や偏見も多いのだと反省。
たまには目を閉じて、聴覚(7%)、触覚(3%)、嗅覚(2%)、味覚(1%)もう少し、意識して使ってみようと思いました。
院長のまいた種はラディッシュでした。
一つ目のはルッコラでした。
ちゃんと収穫できるよう五感を使って育ててみます。