2021.4.6 頭を打ったら?
久しぶりに、映画を見てきました。
『ミナリ』
2021年アカデミー賞6部門にノミネートされた映画です。
1980年代、移民韓国人一家が、職と住居を転々としながら、定住地を求めてアメリカ南部にやってきます。
広大な土地で農業をして成功したいという夢に対し、現実は大変厳しく、様々な困難が襲いかかります。
絶望するも這い上がり…を繰り返し、一生懸命生きる移民一家。
派手さはないものの、余韻が残る映画でした。
その後、もう少し韓国人主役で見たいと思い検索。
最初にヒットしたのは『冬のソナタ』
2002年に韓国で、2003年に日本で放映されたテレビドラマです。
主人公のペ・ヨンジュン(ヨン様)に日本女性も熱中し、韓流ブームの走りと言われています。
が、ヨン様の顔は知っていても、当時は全く興味がなく、ドラマも見たことがありませんでした。
試しに…と、ネット配信で視聴してみると…
ハマりました。
ヨン様に。
ヨン様の笑顔に。
ストーリーは恋愛もので、あり得ない設定の連続です(院長、やや冷めた目で見ています)。
しかし、集中して全20話を見ようとするので、常にヨン様が脳裏に浮かび、ことあるごとにドラマの切ないバックミュージックが流れる日々。
セリフが割とゆっくりなのと、会話に同じ単語が出てくるので、字幕と合わせて、なるほど~
名前の後に付けるナとかヤとかは、親しい間柄で呼ぶ。
アラッソ=わかった
キオク=記憶(日本と同じ音) などなど。
小学生の時に、英語の単語(机とか鉛筆とか)を少しだけ覚えたときの嬉しさに似ています。
さて、クライマックス。
ジュンサン(ヨン様)は、ある日、室内で倒れて病院に運ばれます。
検査の結果、医師から、慢性硬膜下血腫で、血液が眼球を圧迫している危険な状態だと告げられます。
以前の事故で頭を打ったことが原因で。
このあたりから、ストーリーから外れて眼科医として突っ込みたくなった院長です。
『時々目がかすむのも…?』ジュンサン
『おそらく、眼球を圧迫しているのでしょう』医師
『手術すれば治るのですか?』ジュンサン
『手術したとしても、失明などの後遺症が出るでしょう』医師
そして、予断を許さない状態にも関わらず、アメリカへ渡航し手術を受けます。
数年後、帰国したジュンサンは、失明していました。
『慢性硬膜下血腫』は、高齢者に多く、覚えていないような軽度の打撲を数か月前に起こし、脳の外側に血がたまる病気です。
頭が痛いとか、ぼんやりする、手足がしびれる、物忘れをするなどの症状がゆっくりと現れ、進行します。
手術は血種(血のたまり)を除去すればよく、術後成績も良好です。
失明って…あり得ない!
一方、脳腫瘍では、原発性・転移性とも視神経を圧迫し、残念ながら失明に至ることもあります。
また、眼単独の腫瘍もあります。
視力という機能を残すことは大前提ですが、生命に関わる場合、眼球・視神経などの部分的なものより、生命を優先させることもあります。
病院勤務時代は、両眼とも眼腫瘍で摘出した患者さんや、乳がんの脳転移で失明した患者さんなどなど、悲しい思い出もたくさんあります。
最後のシーンで、失明したジュンサンを演じるヨン様。
家の中は、壁をたどり歩数を数えて進む…歩き方をしています。
外出時は白杖なしでいいの?
視覚障害者用補装具適合判定医師である院長としては、気になる点色々…
約20年遅れての冬ソナ。
若かりしヨン様をたっぷり堪能しました。