2021.9.7 赤毛のアンと緑内障
ステイホームが続くようになって、院長の読書熱も復活。
新刊も読みますが、児童文学や古典も気になるように。
さて、先日書店で見つけた『赤毛のアン』
何十年かぶりに、同じ訳者(改定あり)の文庫シリーズが目に留まりました。
もう一度読みたい!
いつか読もうと思っても、老眼・ドライアイに加え、集中力の欠如が起こりうる現実。
読むなら、今!
赤毛のアンシリーズは、『赤毛のアン』から始まって『アンの思い出の日々(上・下)』まで全12巻。
今では大人買いです。
『赤毛のアン』
孤児院のアンは、グリン・ゲイブルス(物語の場所)の独身のマシューとマリラ(兄妹)に引き取られます。
アンは11歳、マシュー60歳、マリラは50代。
美しい自然の中で、多くの人と関わりながら成長していくアンの物語です。
アンの年齢に近かった少女(院長)は、アンを中心に物語に夢中になっていましたが、いまやマシュー・マリラと同世代。
冷静になって様々な立場で読む自分がいます。
さて、このお話の中で、マリラは、度々頭痛を起こします(以下原文抜粋)。
『~頭痛のせいなんだよ。
近ごろ、しょっちゅう痛むのさ、眼の奥のあたりがね。
スペンサー先生は眼鏡のことばかりやかましく言いなさるけど、いくら眼鏡を変えてもちっともよくならないんだよ。
6月の末に島へ有名な眼科医が来るから、ぜひ見てもらいなさいと先生が言いなさるんだが、私もそうしなくてはなるまいと思うのさ。
読むのも縫うのも不自由でね。~』
『~あの眼科医が、明日、町にみえなさるから診てもらって来いと言いなすったんだよ。~
私の目に合ったメガネをつくってもらえばありがたいことだよ。~』
マリラは眼科医に診てもらいます。
『~もう読書も裁縫も、眼に負担がかかることは一切やめなさいって。
泣くのもよくないんだとさ。
それで先生のおっしゃる通りの眼鏡をかければ、これ以上悪くなるのは食い止められるし、頭痛も治まるだろうって。
そうしなければ、半年のうちに目が全く見えなくなるっていうんだよ。~』
少女(当時の院長)は気にも留めず読み進めたのに、眼科医(院長)の今、その部分で停止、考察。
マリラは、緑内障を患っていたのではないか…
緑内障には隅角が広い開放隅角緑内障と狭い閉塞隅角緑内障があります。
閉塞隅角の患者さんは、何かのはずみに、隅角がより狭くなると、眼圧が上がります。
遠視の人が多いです。
うつむいて作業をすることで(特に暗いところで)、隅角がより狭くなり、眼圧が上がります。
そこそこ上がると、眼が押されるような疲れ・痛みや眼精疲労、頭痛が起こります。
ただし、姿勢によって、改善されるので、眼から由来するとはなかなか気が付きません。
また、加齢により白内障になることで、隅角が狭くなりがちです。
何かの拍子で、隅角が閉塞してしまうと、急激な眼圧上昇と激しい眼痛・頭痛を起こします。
頭の病気かも?と思っていたら、眼の病気だったという『緑内障発作』です。
マリラは、中等度以上の遠視で、慢性閉塞隅角緑内障だったのではないか…というのが、院長の見立てです。
頭痛・眼精疲労など、小さな眼圧上昇を繰り返した結果だったのでは。
すでに、視野欠損(自覚の有無は別として)もあったのではないでしょうか。
現代だったら、マリラに手術を勧めます。
100年以上前、作者のモンゴメリは、どんな病気を想定して描写したのでしょうか?
赤毛のアンで、眼の病気に出会うとは…
1巻目にして、足踏みをしてしまった院長。
全巻制覇まで、ゆっくり読み進めていこうと思います。