2021.7.27 朝から見とれる

休日の朝、何やら活気ある若い衆の声。

カンカン、ガチャン、金属音が聞こえます。

何事?

ベランダから身を乗り出すと、近所のマンションの足場の解体でした。

ふた月ほど、修繕工事なのか、黒い網で覆われていたマンション。

住人は、毎日さぞかし暗いだろうね~

ちっとも工事が終わらない様子に、時々我が家の食卓に上る話題でした。

 

マンションは5階建て。

上から下まで7人のとび職人が、金属の棒や板を順々に手渡しし、下げていきます。

『ハイよ!』

『オーライ!』

『ヘーイ!』

聞こえてきた声は、手渡し時の掛け言葉。

命綱なしで、軽快にテンポよく作業が進んでいきます。

一番下まで降りてきた棒や板は、数本または数枚重ねて運び出す人がいます。

機械仕掛けの人形みたい!

見事な連携プレーは、一連の無駄のない美しい連続の動き。

思わず見とれてしまう院長です。

 

気が付くと20分余り。

見ると、マンション傍にも、見上げている人が。

あの人もきっと感動して、つい見てしまったのね~

 

足場の組み立ては、とび職の主要な作業内容の一つです。

足場の組み立て解体作業には、労働安全衛生法に基づいた特別教育を受けた者しか従事できません。

また、5メートル以上の足場の組み立て解体作業には、足場組み立て等作業主任者を選任しないといけません。

建設業の死亡労働災害の原因第一位は転落ですが、足場からの転落が多いのが特徴です。

 

産業医の勉強をして、かじった知識です。

建設業の産業医になったら、またまた、もっと勉強することがありそうです。

 

世の中には、たくさん仕事があって、どれも、適正と訓練を要します。

とび職の人たちの掛け声と一連の動きが美しいのも、熟練の技だからこそ。

 

 

どの仕事も、熟練されてくると、一連の動き・所作が美しくなります。

医師も、経験により、診療手順や手術手技は、無駄がなくなって洗練されていきます。

 

まだ慣れていないひよこスタッフが、眼底写真を左眼→右眼で送信してくることがあります。

電子カルテ上の並び方の違いだけですが、眼科医(院長)としては、右眼→左眼で送信、添付するよう伝えます。

カルテの画像の並びも整列されていると美しい。

病名も、屈折(目の前面)から奥に向かって付けていく。

そういうこだわりが、どの仕事も熟練していくにつれ、確立され、正確な仕事につながるのだと思います。

 

約1日かかって、マンションの全容が現れました。

住人のほとんどは、足場解体のとび職人には無関心のはず。

人生初のとび職メドレーを目の当たりにした院長。

何か得した気分。

そして、とび職人さんに改めてリスペクトした次第です。

どんな仕事も、必要とされている。

小さなことだけど、コツコツと。

院長の信条です。

カテゴリー:公センセの想い 公センセの日常の出来事 産業医
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