2025.3 .25  頑張っても…

『色覚検査希望』で来院した大学生のX君。

現在は、小学校中学校で任意の色覚検査のお知らせを出しています。

院長子供時代は小学4年生で全員色覚検査を受けました。

今では、任意、希望者のみです。

 

まず、診察室で色覚検査を希望する理由を聞きます。

X君は某鉄道会社の説明会にて、簡易検査で異常ありと指摘されたそうです。

 

眼には赤・緑・青を感じる視神経細胞があります。

この三色の見分け方が弱い場合、色覚異常とされます。

赤と緑が同色に見える場合は非常に少ないです。

(昔、院長の愛読少女漫画では、色覚異常はこのように描写されていました)

例えば暗めの赤と暗めの緑など、同じ色でも色自体の明度や周辺の明るさによって見分けが困難になることがあります。

つまり似たような色の仲間に見えてしまいます。

学校や眼科で行う色覚検査は、まず異常の有無です(疑い含む)。

更に色相配列検査をし、タイプを分けます。

ここまでで、色覚異常の診断と説明は出来ますが、程度を判定する(希望なら)には、特別な機器がある病院を紹介します。

 

色覚異常が分かったところで治療法はありません。

まずは、今まで日常生活に支障を感じたことがないか。

あるならどんな状況で?

自分の色の特性を理解し、気を付けるべきこと(迷ったら明るいところで見る。この色とこの色の組み合わせは注意。触ったり周囲の状況もみて色間違いを防ぐなど)を話します。

一般に日常生活に大きな支障がある人は稀です。

自動車運転免許も取得可能です。

 

職業の選択は以前よりもかなり門戸が広がりました。

これは、院長よりももっと先輩眼科医たちの働きかけの賜物です。

しかし、鉄道運転士やデザイン・色に関わる仕事はまだまだ門戸が閉ざされています。

 

X君は運転士希望でした。

『頑張ってもなれないんですね…』

色覚異常について説明しましたが、励ましも届かないくらい落胆していました。

運転士にはなれなくても、きっとX君に合う仕事があるはず。

そう願わずにいられません。

 

色覚異常は男子の約20人に1人、女子の約500人に1人です。

色覚異常の生徒の約半数は、検査を受けるまで自覚がありません(日本眼科医会調査)。

異常のタイプや程度により、一部の仕事に支障を来たすことがあります。

進路を決める前に、自身の色覚特性を知っておいた方がいいでしょう。

 

学校で受け忘れても眼科でいつでも受けることが出来ます。

先天性の場合、一生変わらないので、検査は一度診断も一度です。

 

この年になると、頑張ってもできないことがいかに多いか知っています。

頑張る前に身体特性(色覚も含む)や知的能力で不可能なこともたくさんあります。

努力で補える範囲の自分の強みで生きていくしかない、と思います。

もっと違う可能性もあるのでは?などと自分探しをした若い頃。

それでも一つのこと(眼科医)を休まず(三男出産前日まで診療、出産1週間後から再開今に至る)続けてキャリアを積み上げてきました。

地域医療のかかりつけ医として少しは貢献できていることを願います。

 

どんな仕事も社会に貢献しています。

X君ももがいて悩んで、きっと自分に合った職業が見つかることを期待しています。

 

色覚検査は随時行っています。

自分の特性を知り、その上で頑張れば掴めるもの(仕事・職業)は必ずあります!

先入観に囚われない

 

こちらもご覧ください

2025.3.18 死は幸せなこと?!  in メキシコ

2024.5.14  校医のトリセツ

2020.11.24 加齢と色覚

2017.5.30 2017学校検診

2016.3.22 学校検診の変更

2015.7.21 色覚検査見直し

 

 

 

カテゴリー:クリニックに関すること 公センセの想い 眼に関すること

2020.11.24 加齢と色覚

先月東京で開催予定の臨床眼科学会はWEBで開催。

約1か月にわたり、14会場4日分の講演を視聴することができます。

 

最近は、高齢化に伴い、人生100年時代に備えるべくの眼科的話題も。

 

一般に『色覚異常』(今は、色の特性ともいう)は、生まれつき網膜(もうまく・目の奥)の視細胞の錐体(すいたい)3種類のうち、どれかがうまく機能していない状態を言います。

世間一般では、赤と緑の区別がつかない、わからないという俗説ですが、実際には、そのような重症型はほとんどありません。

院長も医学を学ぶまで、色覚異常とはそういうものだと思っていました。

小学生の頃に読んだ少女漫画で、ヒロインの好きになった相手が色覚異常(赤と緑を間違う)で結婚をゆるされない…子供に遺伝してしまうから産めない…という悲しい恋のお話を読んだ記憶があります。

その時、初めて色覚異常という言葉を知ったのでした。

医学の勉強をしなければ、いまだに、先入観があるかもしれません。

 

先天性の色覚異常のほとんどの人は、自覚がないまま、支障なく生活しています。

生まれつきで、進行することはありません。

学校の色覚検査をで見つかっても、色の見分け方による注意事項を説明すれば、別段困ることはありません。

また、学校では、誤認識しやすい色の配慮をしてくれます。

ただし、少ないのですが進学制限や職業制限もありますので、自分の特性を知っておくことも大事です。

 

さて、色覚異常は、先天性なので、自分には関係ない…と思う人がほとんどですが、後天的(後から起こる)色覚異常もあります。

網膜や視神経の病気、脳の病気・心因性など、原因は様々です。

病気により起こり、左右眼で程度が違うこと(先天性は両眼同じ)や、自覚があることが後天性の特徴です。

 

白内障も後天性の色覚異常を起こすとして話題になってきています。

加齢性白内障(俗にいう白内障)は特別な病気ではなく、しわと同じように加齢で発症する病気です。

 

白内障が進行してくると、少し黄色味がかったサングラスをかけているように感じます(程度により違いあり)。

また、加齢により、瞳孔が小さくなり、光が入りにくくなるので、若年者より暗く感じます。

スマホの画面の明るさを、院長と息子たちのを比べると歴然。

よくこんな暗い画面で見えるね~と驚き、自身の加齢を感じます。

逆に、息子たちからは、まぶしくないの?と聞かれます。

まだ白内障発症とまではいかないまでも、水晶体(すいしょうたい)の濁りは少しずつですが進んでいることを実感します。

 

気が付かずに、日常生活に支障をきたすようになると要注意です。

例えば、紺と黒の靴下を間違える。

シャツの黄ばみに気付かない。

階段の一番下の境目が(暗くて)分からず、踏み外して転倒。

予防法としては、明るいところで確認する癖を。

階段は、電気を明るくしたり、一番下の段に、目立つテープを貼ると予防になります。

また、ガスの炎の一番先の高熱の部分の青色が見にくくなり、思ったより炎の高さを短く感じ、着火事故につながることもあります。

 

後天性の色覚異常(色の見え方の変化)は、進行します。

原因は様々ですので、色の見え方に変化を感じたら、眼科医にご相談ください。

 

最近、内側が黒布地のバッグは避けるようにしている院長。

狭く暗い空間では、取り出したいものをすぐ出せず、ぐずぐずしてしまいがち。

 

暗い環境・小さな対象物・くすんだ色は間違いを起こしやすくなります。

すべての色覚異常に気を付けるポイントです。

 

が、せっかちなオバサン(院長)も気を付けないといけません。

カテゴリー:眼に関すること
  • カテゴリー

  • 最近のエントリー

  • カレンダー

    2025年4月
     123456
    78910111213
    14151617181920
    21222324252627
    282930  
  • アーカイブ

  • タグ

先頭に戻る