2022.3.8 世界緑内障週間2022
緑内障診療ガイドライン第5版が届きました。
診療ガイドラインとは、エビデンス(科学的根拠)に基づいて最適と思われる治療法を指示する文書のことです。
2003年に初版が出版されて以来、5回目の改定。
医学全般、日々進歩しています。
眼科学もそう。
その中の緑内障診療についてもそう。
院長が初めて参加した全国的な学会は、緑内障学会。
私たち研修医は、一般講演の内容もほとんど理解できず???
大御所の先生たちの特別講演の内容も???
『なんか、難しい話ばかりだったね~』
『どうやって聞いた講演をまとめよう?』などなど。
メーカーの担当者さんが『大丈夫ですって。すぐに発表する側になりますよ』と、ご飯を食べながら励ましてくれました。
あんな難しいこと、わかるようになるの?出来るようになるの?と、見えない未来の中、先輩たちの指導を仰ぎながら日々緑内障診療。
いつの間にか、学会の内容も理解できるようになっていたのでした。
緑内障治療の原則は眼圧下降です。
まずは点眼、そしてレーザー、手術があります。
院長が研修医の頃、教授が好んで使用されていた点眼薬も、今ではほぼ消失。
代わって、様々な機序の新薬は開発されていますし、配合剤(2種類が1ボトルに入っている)も主流になってきました。
レーザー治療も、以前からありましたが、古い術式から新しい術式に変化しています。
また、手術も、大枠は変わっていませんが、派生して色々な術式が発表されています。
緑内障に対する考え方も変わってきました。
院長が眼科医になる以前は、緑内障は眼圧が高いことがスタンダードでした。
しかし、研修医の頃から、眼圧が正常な(基準値より低い)緑内障もある…と言うことが分かっていました。
今では『正常眼圧緑内障』ですが、当時は『低眼圧緑内障』と呼ばれていました。
日本人の多くは正常眼圧緑内障というのも、2000~2001年の多治見市疫学調査で分かったことです。
眼圧だけで判断できない。
視神経の変化、視野の変化、正確な眼圧測定が大事。
研修医の頃に叩き込まれました。
元々、眼科は、検査機械の多い科ですが、診断機器も著しく進化しています。
人間の眼ではわからない、眼の奥(網膜や神経)の様子をあらゆる方向から観察することが出来ます。
視野変化が起こる前の緑内障(前視野緑内障)という新しい病名も出来ました。
画像を用いての診断や説明は、今では緑内障診療に欠かせません。
もちろん、機器だけに頼るのではなく、あくまで眼科医としてのスキルあってのことです(自戒)。
今年の世界緑内障週間・ライトアップinグリーン運動のスローガンです
『早期発見・治療の継続・希望
あなたの目がずっと見えていますように
40歳を過ぎたら眼の定期検診を!』
日本の視覚障害の原因の第1位は緑内障(28.6%)です。
しかし、自覚の少ない初期・中期に発見され、治療すれば、不自由なく一生を過ごすことが出来ます。
40歳以上の約20人に1人は緑内障になっていると報告されています。
眼科検診で異常なければ安心。
もし緑内障と診断されても、眼科医と二人三脚で進行を抑えられるよう頑張りましょう!
当院も運動に参加しています。
3月6日から12日まで、花壇にグリーンライトが点灯します。