2021.10.12 目の愛護デー
10月10日は体育の日と、今も連想する昭和世代の院長ですが、目の愛護デーでもあります。
10/10を縦に並べると眉毛と目に見えるからです。
愛護デーにちなみ、眼の健康について。
子どもの視力は悪化傾向にあります。
学校での視力検査で、裸眼視力1.0未満の学生は年々増加。
2020年度では小学生約30%、中学生約60%、高校生では約70%弱の割合です。
もっとも、1.0以上だからと言って、遠視や乱視が隠れているかもしれませんし、近視なのに頑張って裸眼視力を出している場合もあるので、ひとつの目安です。
片眼だけが視力不良の場合も、気づかないことが多いので、『受診のお勧め』をもらったら必ず眼科受診してください。
近視は、近くにピントが合いやすく、遠くがすっきり見えない状態です。
近視進行につれ、眼球の奥行(眼軸長)も長くなり、強度近視の眼球はラグビーボールのような形状です(ふつうは球状)。
遠視は、遠くが見やすいのではなく、遠くも近くもピント合わせをしないと見えない目です。
近くを見るときのほうが、ピント合わせの力を大きく使うので、近用作業(読書や勉強)に疲れたり飽きやすいこともあります。
遠視の程度によっては、裸眼視力がよくても、眼鏡装用を勧めます。
乱視は、茶目(角膜)の縦と横のカーブが違っていて、ピントの距離が合う距離が違っている目です。
ほとんどの人は、多少なりとも乱視があります。
患者さんが自己申告で、『私、乱視があるんです』と言われる場合も、問題になる程度とそうでない微小な乱視と様々です。
眼科的に問題になるのは、乱視を入れないと矯正視力が出ない場合。
一般に角膜はほぼ円形をしていますが、乱視が強いと楕円のイメージです。
弱視は、視力が育っていない眼の状態を言います。
生直後の赤ちゃんは、まだ視力がほとんどなく、その後周囲の刺激を受けて、視力が発達します。
3歳児健診、就学時健診は節目の検査です。
健診で受診を勧められたら、必ず来院してください。
早く発見することで、視力の成長は可能です。
タイムリミットは8~9歳なので、弱視治療の有効期間は限られています。
学童期には、近視と診断されることが多いのですが、原因は『遺伝』と『環境』です。
強度の近視は、眼軸長が伸びている(ラグビーボール状)ので、身長と同様、遺伝によるものは大きいです。
眼軸長は成長により伸びますが、伸び率に差があります。
また、近年は、端末による近用作業(PC、タブレット、スマホ、ゲーム)が増え、屋外活動が減る傾向にあるため、環境要因も大きくなっています。
実際、昨年のコロナ渦での一斉休校期間に、子供の近視は、ずいぶん進行しました。
20/20/20ルール。
20分端末を見たら20秒以上20フィート(約6メートル)遠くを見ましょう。
明るい部屋で作業をしましょう。
目が乾燥しないよう、意識して瞬きをしましょう。
寝る前には、見ないように。
睡眠リズムの乱れになります。
太陽光での屋外活動も有効です。
学校の休み時間や体育だけで十分時間は確保できます。
強い日射しでなくても有効です。
近視の研究は、近年どんどん新しい知見が報告されてきています。
近視が強くなるに従い、網膜剥離、緑内障になりやすくなります。
強度近視だと、近視のない人に比べて、網膜剥離は22倍、緑内障は14倍の発症率です。
学校医として、地域のかかりつけ医として、診ていた子供さんたちも、もう立派な成人。
そのお子さんたちがやってきます。
デジタル端末で何でも調べられる昨今。
眼も心も不安になりやすいから、目の前の眼科医に聞いてくださいね。