2021.3.2 グリーンにライトアップ
明日はひな祭り。
クリニックの受付には、院長と同い年ながら、年を取らない美しいお雛様とお内裏様が、患者さんをお迎えしています。
さて、来週3月7日から13日は、2021『世界緑内障週間』です。
日本緑内障学会では、緑内障の認知と啓発に向けて、2015年から各地のランドマークをグリーンにライトアップする「ライトアップ in グリーン運動」を、世界緑内障週間に合わせて展開してきました。
当初は、公共施設や大きな病院でしたが、今年は、一般の医療機関へも参加呼びかけがありました。
緑内障学会員の当院も参加表明。
3月7日から13日は、当院の花壇の木々がグリーンにライトアップされます。
当院の花壇のライトアップは、11月後半からクリスマスバージョンを、その後オーナメントを外して2月初旬まで実施しています。
花壇の花々は年中、季節に合わせてアレンジされています。
3月のイルミネーションは、特別な1週間です。
ライトアップ色のグリーンは、当然、緑内障の緑に起因します。
白内障は、かなり進行すると、瞳が白っぽく見えることから『白』がつくのだろうと想像できますが、緑内障の『緑』は?
なかなか、想像がつきません。
遡ること、紀元前4~5世紀頃に古代ギリシャのヒポクラテスがある目の病気を「地中海の海の色のように青くなり、やがて失明状態になる」と記述しています。
これは、急性緑内障発作の症状と考えられます。
隅角が狭い人が、突然、眼圧の急上昇をきたし、角膜が膨隆・浮腫を起こします。
その目を診察するときに、透明性を失った角膜を通して暗い眼底を見るので、目は青緑に見えたのではないかと考えられています。
西洋人の青い瞳がゆえの記述だと思われますが、描写はきれいだけれど、とっても怖い病気です。
急性緑内障発作は、現代でも発症します。
元々隅角(ぐうかく)が狭い人の隅角が閉塞することにより、急激に眼圧が上昇、眼痛・頭痛もひどく、失明することもあります。
遠視の強い人は、隅角が狭いことが多いので、要注意です。
眼科医による隅角検査で、発作が起こりやすいかどうかわかりますし、もし起こりやすい傾向があれば、対処法はあります。
隅角が狭かったり、閉塞していたりすると、禁忌となるお薬や検査があります。
さて、40歳以上の20人に1人が罹患しているとされる(多治見疫学調査)緑内障は、日本人の中途失明原因疾患の第1位となっています。
日本人の多くは、眼圧が正常範囲内で隅角が広い(前述の緑内障発作は起こさない)正常眼圧緑内障です。
40歳過ぎたら、緑内障の定期検診をお勧めします。
近視はリスクが高まるので、近視の強い人は40歳以下でも検査をお勧めします。
初期の自覚症状はほとんどないため、気付いた時の受診でかなり進行していた!という状態で見つかることもあります。
緑内障の診断技術や治療法の進歩により、早期(自覚症状がない時期)に発見し治療を継続すれば、失明に至る可能性は大幅に減ってきています。
治療はしつつも、視野・視力に自覚症状がないまま一生を送れるように!が、眼科医の目標です。
そんな思いの『ライトアップinグリーン運動』です。