2022.3.29  目がぶよぶよ

眼科春シーズン開幕中です。

 

この時期、眼がかゆい・充血・しょぼしょぼ、・めやに…などの訴えで来院される患者さんが多くなります。

毎年スギ花粉症で受診される患者さんには、『昨年もこの時期でしたね~お久しぶりです』

毎年必ず、次年度からは初期療法を…とお伝えしているのですが、忘れてしまうのね~

スギ花粉飛散のピーク、つまり自分の症状がかなり強くなってから来院されます。

『かゆくならないと、なかなか眼科来る気にならないですよね~でも、来年は早めに治療したほうが楽に済みますよ~』

もちろん、院長の草の根啓蒙活動により、初期療法から来院される患者さんも増えてきましたが…

 

アレルギー性結膜炎は、花粉が原因で起こる季節性と、季節を問わない通年性があります。

季節性は、今まさにシーズンのスギ花粉。

続いて起こるヒノキ。

5月からのイネ科のカモガヤ。

秋のキク科のブタクサがあります。

北海道では、スギ花粉がない代わりに、シラカバ花粉があります(北海道出身の患者さんからの体験談)。

通年性はダニ・ハウスダストが主な原因ですが、犬・猫・ハムスターや鳥なども。

 

いずれにしろ原因を除去するか避けることが一番ですが、点眼治療も開始します。

 

かゆみが主ですが、強くなると充血・異物感・痛み(この場合かゆみの延長による痛み)・まぶたの腫れや荒れが起こります。

眼の裏を見れば、ひどいと、肉眼でもぶつぶつ(濾胞)があるのが分かります。

また、時に白眼がぶよぶよになることもあります。

強いアレルギー反応(多くは搔きすぎ)で、結膜(白目)が充血して水がたまり浮腫が起こった状態です。

眼が飛び出すんじゃないかと思うくらいの浮腫(白いぶよぶよの中に茶目)の場合は、びっくりされるのも無理はないと思います。

『元に戻りますか?』

『大丈夫です、一時的にアレルギー反応が強く出ただけですよ。目薬をしっかりさして、こすらないように』

抗アレルギー剤の点眼薬のほか、ひどい場合はステロイド剤の点眼薬も追加します。

ステロイドは、眼圧が上がる副作用もありますが、眼科医の管理の下で使用すれば、大変効果のある薬です。

 

加えて、外出から帰ったら、人口涙液で目の中に入った花粉を洗い流すのも有効です。

洗い流すのがポイント。

その後、処方された点眼薬を、指示通り、かゆくない時もさします。

 

目がぶよぶよ…の訴えで患者さんが一番多く来院されるのは、実は5月です。

春の遠足が、カモガヤ花粉シーズンと重なります。

カモガヤは、イネ科の雑草で、公園や道端に生えている丈の短い草です。

小学校低学年の子供の背丈位まで飛散するので、遠足から帰ってきたら目がぶよぶよ!で、びっくり!となります。

イネ科アレルギーの子供さんは要注意です。

 

院長もスギ花粉症です。

20年くらい前に初めて発症して以来、いつも鼻症状。

つらさ回避のため、初期療法開始しています。

先日、ラウンドにてマスクを外した途端、くしゃみ5連発。

マスクの効果は偉大です。

アレルギー抑制効果のあるコンタクトレンズを装用してプレイしたスギ花粉症の知人。

終了後の感想は『とても快適だった』

アレルギー症状の緩和と快適なゴルフ(その他屋外スポーツ)に、興味のある方はご相談ください。

 

 

 

カテゴリー:眼に関すること

2019.11.5 お茶はあちら…

秋は学校医にとって、就学時健診の季節です。

いつもの健診は、保健室で行いますが、就学時健診では、それぞれ教室が割り当てられます。

 

教室に入り椅子に座ると、担当の先生(男性)があいさつ。

『本日の記録係です。よろしくお願いします。あ、それからお茶はあちらです』

『あちら?』の方向を見ると、教室の隅の机の上に湯のみが乗ったお盆が。

用務員さんが、早めに持ってきて置いていったようです。

『今日はビュッフェなんですね~』と茶化す院長(オバサンならでは)。

傍にいたベテラン先生(女性)が気が付き、『すみませ~ん』と慌ててお盆を取りに行って、お茶を出してくれました。

 

『一応来客だから、お茶は直接お出ししないとね。客に取りに行かせるのではなくて』諭すように院長。

『た、大変失礼しました』(汗)

A先生は、どう見ても、息子たちと同世代。

聞くと、1年目だそう。

お茶出しなんかしたことないんだろうな~

男女雇用均等法の下でも、新米研修女医(院長)は、医局でお茶やコーヒーを出すこともあったし、流しに湯飲みやカップが積んであれば、洗っていたな~

教えられてやったわけでもなく…

やらなくても良かったのかもしれないけれど…

気が付かないのよね~きっと。

うちの息子も思いやられるわ~

 

 

就学時健診は、緊張する子供たちも多く、スムーズとは言い難いのですが、無事終了。

視力がB(0.9以下)の子は眼科で再検査を。

緊張で上手く検査できなかったのか、屈折異常などの原因があるのか、確認してくださいね~

その他、気になる所見があった場合は保護者に伝えます。

 

教職員や生徒は毎年変わりますが、小学校3校20年以上学校医をやっている院長としては、学校の生き字引みたいなもの。

そして、児童を見る眼差しも変わってきます。

小学生になるって、こんなに大きくなるんだわ~と、未就学児の息子たちの成長を思い描いていた頃。

中学生になるって…(中学校の学校医もやっています)と、小学生の息子たちがたくましくなるのを思い描いていた頃。。

息子たちが、その年齢も越してしまうと、生徒たちを慈しむ眼差しの院長です。

そして、今回、フレッシュな先生が記録係でついてくれて…息子たちを重ね合わせてしまいました。

 

『仕事がちっともはかどらなくて、毎日遅くまで残っています。同僚の先生たちから色々アドバイスいただけるので助かっていますが』

『最初は、どんな仕事でもみんなそうよ。まずは、目の前のことを確実にこなしていくこと。3年たてば、少し周りが見えてきますよ』

職業人として老婆心ながらアドバイス。

 

長男が小学1年生の時のある日の連絡ノート。

担任は、卒後3年目の若いB先生(男性)。

『〇(長男)君が、帰り際泣いていました。聞くと、今日(木曜日)は、お母さんが遅くしか帰って来ないからとのこと。

二人で色々話をしました。

お母さんも頑張っているから、〇君も強くなるよう私と約束しました』

長男就学と同時に大学院生になった院長。

休診日の木曜日は今までは、保育園の早いお迎え、母親と遊べる特別の日。

なのに、木曜日は朝早くから夜遅くまで大学なので、ずいぶん寂しかったようです。

今は、『母親なんてどうでも~』の長男ですが、泣いたことと先生に言われたことは覚えているそうです。

そして、母(院長)もそのことを励みに、大学院生活を両立させました。

 

一片の思い出になれる先生に。

A先生、応援しています。

若者、頑張れ!

カテゴリー:公センセの家族・恩師・友人など 公センセの日常の出来事

2019.7.30 見えるのに見えない

小3のAちゃんが、学校からの受診のお勧め用紙を持って来院しました。

視力検査の結果、両眼D、D。

Dは0.4指標が見えないということです。

半年前に当院受診時は、右1.2左1.2でした。

もう一度、視力検査をしてみても、右0.1左0.1です。

矯正眼鏡を入れても、視力は上がりません。

念のため、点眼薬を使って、隠れている遠視がないかの確認もしましたが、遠視・近視・乱視とも問題ありませんでした。

眼球自体の問題はありません。

 

こういう場合『心因性視力障害』を疑います。

目の心身症の一つです。

ストレスが原因で、目に何らかの症状が出ることがあるのです。

視力障害として現れることが多いですが、色覚異常(色の見え方が違う)や眼瞼痙攣、チックとして現れることもあります。

 

眼科医ですが、念入りにヒアリングをします。

家族構成、学校での様子・友人関係、習い事などなど。

保護者と院長がお話をし、患者さんの話はスタッフが聞くことが多いです。

大人にとっては些細なことでも、本人にとっては重大なことであることが多々あります。

家庭内の問題では、『お兄ちゃんだから、お姉ちゃんだから』と、我慢することが多い、上の子の患者さんが多いように思います。

学校では、クラス替えなどで、友人と離れた、新しい友人が出来ない、授業についていけないからつまらない…など。

習い事でびっしり放課後のスケジュールが埋まっていますが、本人は乗り気ではないものの、親の期待に応えようと頑張っている場合。

なぜかピアノの時だけ楽譜が読めなくなる…など。

 

 

また『メガネ願望』から、視力障害を起こすこともあります。

クラスの子がメガネをかけ始めた…兄姉がメガネをかけ始めた…など。

メガネ願望の視力障害に、トリック(眼科医のさじ加減)を使ったメガネを処方すると…

次回、出来たメガネでの視力はバッチリ!です。

自分好みの素敵なメガネを、褒めてあげると、とても嬉しそうです。

『どこも悪くないのに~何で~』と決して本人に言ってはいけません。

 

心因性視力障害では、日常生活は見えるから生活に危険は及ばないのですが、いざという時(例えば視力検査)には、見えないのです。

 

保護者と面談をして、ストレスの原因の解決に向けての対応策や、時には点眼を使いスキンシップを図ることを提案します。

低学年のうちなら、『ぎゅ~』と抱きしめるのも効果的です。

 

たくさんの見えない(視力の出ない)小さな患者さんに向き合ってきました。

ワーキングマザーとして、決して出来た母ではありません(院長)が、自戒も込めてお話ししています。

子供が可愛くない親なんていませんが、良かれと思ってしていることや、無意識な行動や発言が、子供を傷つけていることも少なくありません。

親も精いっぱい、子供も精いっぱい。

時に、繊細な子は、心身症になってしまうこともあるのです。

親が反省することも多々ありますが、自分を認めてあげることも大事です。

特に仕事を持っていると、何か子の問題が起こったとき、『愛情不足?手間かけ不足?』と自分(親)が不安になりがちです。

後から振り返ると、子からずいぶん試練を与えられたけど、乗り切った!と思える日が来ます。(←院長自身のことです)

かかわる時間が少なくても、『大好き!』というメッセージと、子供の話を傾聴・共感することが大事です。

 

『だから、大丈夫です。必ず見えるようになりますよ』とお伝えします。

 

Aちゃんは、骨折でしばらく体育や課外活動ができず、疎外感を持ってしまったようです。

メガネをかけて、みんなが褒めてくれたことで視力も改善。

骨折も治り、元気に活動できるようになったら、メガネをかけることを忘れることも。

 

眼科医ですが、時々、精神科的アプローチをすることもあるのです。

 

 

 

 

 

 

 

カテゴリー:クリニックに関すること 眼に関すること

2019.5.14 スポーツとコンタクト

最近、小学校高学年で、コンタクトレンズを希望される患者さんが増えています。

聞くと、サッカーや野球の少年チームに所属しているそうです。

普段、眼鏡は装用しているのですが、視野の広さ・曇りにくさ・接触時の安全性を考慮かつ競技成績アップを期待して相談に来られます。

低年齢なので、適切なレンズ選びから、ケアの仕方・度数変化への対応・眼障害の有無の確認など、保護者が心配して、眼科専門医を選んで受診していただけるのは幸いです。

 

スポーツと視力は確かに関係あります。

昔、同じ職場で仕事をしたことがある枝川医師(国立スポーツ科学センター客員研究員)の論文*から。

競技能力は両眼視力1.2のときを100%とすると、0.7では約8割、0.3では約6割に低下する。

ただし、アーチェリーのように標的を見る群は、低視力でもほとんど影響がありません。

一方、野球では、視力0.1だと0に近いのですが、0.5で50%、1.2で100%のパフォーマンスとなっています。

総じて、サッカー・テニス・卓球のような球技群は、視力向上によるパフォーマンスの向上がはっきりしています。

元々視力が良好な選手もいますのが、3330人のトップアスリートの約8割が視力(両眼)1.0以上でした。

矯正方法は9割がコンタクトレンズで、ほとんと使い捨てソフトコンタクトレンズでした。

 

優れたスポーツ選手が必ずしも良く見える目を持っているわけではありません。

また、良く見える目の選手が必ずしも優れた成績を残しているわけではありません。

しかし、パフォーマンスを上げることに、視力が大きく関わっているのは事実です。

 

スポーツ時に目から入った情報は、脳に送られ、脳からの信号が身体に伝わります。

その指示通り、身体が動きます。

鮮明で正確な情報を処理してどう対応したらよいか指令を出し、その通りに身体が動けば、最大のパフォーマンスが発揮できます。

 

運動音痴の院長の小学生時代。

ドッジボールは苦手な種目のひとつ。

 

ドッジボールが自分の方へ向かってくるという情報は目から脳に伝えられます(この時、低視力だと情報が不正確になります)。

ドッジボールが、どのくらいの速さと強さで、向かってくるのか。

対して、どのような体勢でボールに向かって受けたらいいのか。

これらを脳が瞬時に処理して、身体に指令を出します。

ドッジボールが得意な子は、目・脳・身体の連携が上手くできており、花形選手になれます。

 

院長はというと…

ボールが自分の方へ向かってくることは、わかりますが、『ボールを受けに行け』という指令よりも『怖い』の感情が勝ってしまい、『逃げろ』の指令となってしまいます。

しかも、情報処理(ボールが当たらないためには、どの程度の速さでどこへ逃げたらよいのか)が上手くできず、必ず当てられてしまうのでした。

 

もう少し、あの頃、球技に親しんでいたら…と、なかなか上手くならないゴルフをしながら思います。

学童期の球技への関わり具合は、球技スポーツの上達に大きく影響しますから(院長、時遅し)。

 

野球少年・サッカー少年の話を聞くと、『視力矯正して、もっと上手くなりたい!』という、熱い思いが。

初めてコンタクトレンズを入れて、フィッティングを確認しながら『どう?』

『すごい!良く見える!』

その笑顔に嬉しくなります。

パフォーマンスの更なる向上に眼科医も一役買います!

 

*:日本視能訓練士協会誌第44巻(2015)より引用

 

カテゴリー:公センセの想い 眼に関すること

2017.12.5 ふわふわ言葉

学校医の仕事は、主に、学校健診、就学時健診、保健委員会です。

保健委員会では、学校保健年間計画、定期健康診断結果、保健室の利用状況、環境保健姿勢検査、児童保健員会の活動、体力運動能力調査など、様々な報告がなされます。

院長は、眼科学校医なので、眼科検診の考察と最近のトピックスを述べます。

また、日本医師会認定健康スポーツ医なので、体力運動能力調査結果をもとに考察を述べます。

クリニック近隣の三校の学校医を20年(一校は新設で10年)しているので、学校の先生よりも、児童の変遷がよく分かっているつもりです。

10年近く前まで、市平均より劣っていたボール投げは、毎年指摘することで、学校の運動に取り入れられたのか、市平均を上回る学年も増えてきました。

近年気になるのは、市平均を下回る50メートル走です。

 

さて、児童保健委員会の取り組みとして、取り上げられたのは『ふわふわ言葉』

積極的に使うことによって、気持ちの良い生活を送りましょう、と。

昇降口前のホールに『ふわふわ言葉の木』があると聞き、どんな言葉が?と見に行くと…

『ありがとう』

『大丈夫?』『大丈夫だよ』

『頑張ってるね』『頑張って!』

『ファイト!』

『すごいね~』

『上手だね』

『神ってる!!』

『かっこいいね』

『負けるな』

『優しいね』

『すごい!』『さすが!』

などなど。

花形のカードに、一言書いている子もいれば、エピソードを書いている子も。

一人一人、一生懸命考えたのでしょう。

小学生って可愛い。

こんな言葉を使っていたら、優しさいっぱいになるね~

もう十分大人の院長も、子供たちを見習わねば。

 

息子たちもお世話になっていた小学校。

『ふわふわ言葉』を一生懸命考えていた時代も終わり、反抗期へ。

『ふわふわ言葉』は、どこへ行ったの?というくらい、罵詈雑言の嵐を迎えます。

長男の嵐が激しかったせいか、下に行くにつれて和らぎましたが、いつ嵐は止むのか?と自問した日々。

 

最近、話の流れで

長男『俺、結構母さんのこと好きかも』

(こんなに尽くしているのにその程度?)

まぁ、いいわ。

保育園の頃『世界で一番好きな人は?』と聞くと、間髪入れず『母さん!』って言ったよね。

その言葉、ずっと母の大切な宝物です。

 

 

 

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