2020.12.15 片方だけ悪くなる!?
初診の21歳Bさん。
主訴は『片目がどんどん悪くなってきて、見えなくなった』
3年前、初めてコンタクトレンズを装用開始。
その後は、ネットで購入していました。
若いので、近視進行の可能性はあります。
同じ度数を注文するのですが、しばらくして見えにくくなると、(自己判断で)より強い度数のコンタクトレンズを購入していました。
そのうち、左眼だけが、同じように上げてもすっきりせず、どんどん度数アップで注文・購入。
それでもコンタクトレンズですっきりしないどころか、見にくくなり、遂には見えなくなるのでは?と怖くなり、受診と言うわけです。
まず、患者さんのお話を聞いて…
検査のデータを確認。
左は乱視がかなり強いのですが、近視と乱視を換算すると、左右差はほぼありません。
ですが、持参のコンタクトレンズの度数は、左は右の倍近く。
左眼の矯正視力も0.6。
片眼の視力低下を起こす病気はたくさんあります。
内科的な病気の有無や、年齢などなどによっても特徴的な眼科の病気はあります。
それらを診察しながら、スクリーニングして絞っていきます。
患者さんからのお話と検査データで予想した通り…
左角膜(眼球の一番前です)には、多数のキズとめくれ(びらん)・濁りが出ていました。
光は、透明な角膜を通してまっすぐに入り、水晶体・硝子体を通って網膜に到達します。
光が入る一番最初の角膜の表面が傷などで凸凹していたり、濁っていると、乱反射したり、途中で光が入っていかなくなったりします。
眼圧や、目の奥には異常がなかったので、原因も治療方針も決定です。
若い世代(10~20代前半)は、近視の進行が起こりやすいので、1年単位(場合により半年単位)でコンタクトレンズの度数を上げることがあります。
何年も同じ度数で使用できることは、多くありません。
そのため、眼科の定期検診では、見え方だけでなく、屈折度(近視・乱視の程度)を測ったり、目の状態を眼科医が確認します。
近視の変化だけなら、度数を上げればいいのですが、そうでない他の要因の場合もあります。
今回のBさんの場合も、本人は単純に近視が進んだと考えたのでしょう。
しかし、左眼のキズがあることも気づかず(コンタクトユーザーは角膜知覚が鈍麻するので、非装用者より自覚が乏しいこと多し)、治療することもせずに、コンタクトレンズを装用し続けることで、ますますキズが広がり…
繰り返しのキズで、角膜に濁りも出て…
しかも、どんどん強い度数にすることで、調節力の過剰な負担も起こっていたと思います。
Bさんは、見えなくなるのではないか…と心配されていましたが、きちんと点眼をして、きちんと定期的に受診。
若いだけあって、治療の反応も良く、最後は、乱視が残るものの、矯正視力は1.2に回復しました。
『きちんと治ったから、左は乱視用にはなるけれど、コンタクトレンズ使っても大丈夫ですよ』
『よかった~もう、ネットで買うのはやめます。合わせてください』
ネットでコンタクトレンズは購入できますが、ユーザーの目の状態を診てくれませんし、責任も持ってくれません。
院長は、当院でコンタクトを処方する患者さんの眼全般(コンタクトのことだけじゃなく)を請け負う姿勢で診察しています。
眼科医から『安心』印を押されてコンタクトレンズを安全に使いましょう。