2022.9.27 切れたほうが良い

スーパーや家電量販店のテーマソングは、覚えやすい歌詞とリズムで体にしみ込んでいきます。

産業医の職場であるスーパーの店内に流れる音楽も、職場に足を踏み入れる前から脳内に流れてきます。

 

今日も少し前に到着。

事務所に行く前に、『お買い得品はないかな~見つけものはないかな~』などと、お客であり、巡視もする産業医です。

 

安全衛生委員会では、床の水漏れの指摘があり、業者の手配をすることになりました。

会終了後、床を見ながら歩くと、修繕してある個所がいくつか。

就業前のお客気分の巡視では、気が付きませんでした。

まだまだ甘い…(自分)

床の水濡れでは、昨年、担当店で、お客さんが滑った事例が。

以後、台車にも、すぐ対応できるタオルを設置することになり、全店実施になったとのこと。

ヒヤリハットの事例報告とその対策がセットになり、良い効果を生み出しています。

 

 

毎月、全店の労働災害ニュースも配られます。

幸い、今月も担当する店舗では労災事故は発生せず。

全体では、今月も転倒が多くを占めています。

滑ったり、つまずいたり、踏み外したり。

 

次が切創です。

パン作業場で、安全ガードを使用せずスライサーを使用し切創。

こういう事例を聞くと、医師と言えども、ぞっ~とする院長です。

実際に、後から巡視して確認します。

こういうことね~と納得、スタッフさんに注意喚起。

 

野菜果物を切る包丁も注意です。

昨年、かぼちゃ包丁を新しくしてもらったのですが…

店長『包丁、よく切れてる?』

スタッフ『いい感じです。ときどき研いでいますし』

産業医(院長)『砥石でですか!?』

スタッフ『そんな大変なこと出来ませんよ。電動研ぎ機です』

店長『切れる包丁より、切れない包丁のほうが事故が起こり易いですからね』

スイカ、かぼちゃ、白菜での切創事故が多いようです。

 

 

先日、我が家にやってきた甥っ子。

甥『公さん、包丁見せてもらってもいいですか?』

院長『どうして?』

甥『ぼく、包丁研ぐのが趣味なんで…』

いつも使っている包丁を3本(最近買ったペティナイフとパン切包丁以外)出します。

甥『料理してます?』

院長『毎日料理してますよ!』

甥『相当切れ味が悪いですね~よくこんなんで料理してましたね~』

確かに、最後に研いだのはいつ?っていうくらい昔。

加えて、スパッと切れる包丁は怖いと思っていました。

メスは、スパッと切れないといけないし、スパッと切ることに何の躊躇もない院長ですが…(プライベートでは怖い)

 

リュックから砥石を出して、ベランダで水を流しながら作業すること数十分。

甥『研ぎ終わりました!』

院長『ありがとう!』

甥『切れ味、全然違うと思いますよ』

トマトをスライスしたらスパッ!キャベツの千切り、サクサク。

料理の腕が上がったようです。

包丁の切れ味って大きい。

店長の『切れる包丁より、切れない包丁のほうが事故が起こり易いですからね』が響きます。

甥のTくん、ありがとうね~

 

 

今月は台風シーズン。

台風接近時に売れるもの・売れないもの、台風通過後に売れるもの・売れないものリストについて、資料を元に店長から説明。

売れるものは、発注量・陳列方法に注意。

売れない物はロス注意。

物品リストだけでなく、その理由も書いてあるので、勉強になります。

お刺身、台風接近時に食べたいと思わないよね~

墓花は、台風接近時に墓参りに行かないもんね~などなど。

 

 

今回も、仕事ですが、新しく珍しい(院長にとって)ことをget。

スーパーの音楽は、職場を出てもしばらく続きます。

駅までの帰り道は♪♪♪。

行きも帰りも♪♪♪。

恐るべし、スーパーのテーマソング。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

カテゴリー:公センセの家族・恩師・友人など 産業医

2022.8.9  仕事が回りません

『8月は上半期で一番忙しい時期です』

産業医を担当しているスーパーの店長さん。

土用の丑から始まり、夏休みのレジャーやお盆の集まりなど、お客さんの購買力がアップ。

スーパーの売り上げもアップを狙います。

『忙しい時、余裕のない時に労働災害は起こりやすくなります』

 

コロナ禍と繁忙期が重なり、残業時間も増えているようです。

各部門とも新規アルバイトやパートさんを指導し、仕事を任せられるように…とお願いする店長さんは、自分(院長)の姿が被ります。

 

安全衛生委員会は、会社側(産業医もこちら側)と労働者側の何人かのメンバーで構成されています。

 

惣菜部門より出たのは『暑いです!』

当然、火を使い調理をするので、巡視していても室内温度はかなり上がっています。

加えて、総菜部門に隣接する壁面に室外機が設置されているので、さらに室温上昇です。

『こまめに水分を摂ってください』産業医(院長)。

『室外機は移動できないですよね~』(と、店長さんを見る)

後は…

『ちょっと触っていいですか?』

制服の生地が化繊です。

自宅用ではないので、火傷予防にも長袖着用が望ましいのですが、これでは暑いわ~

『惣菜部門だけでも、化繊から綿100%に出来ないでしょうか?会社全体の問題になるかもしれませんが…』と、店長さんに提案を依頼(報告書も提出)。

 

各部門から、気になる事を挙げてもらいます。

 

安全衛生委員会の後は、いつもの巡視。

巡視時も、スタッフに何か気になる事がないか尋ねるようにしています。

 

『品出しで腰が痛くなるんです~』と、パートのオバサン(以下パートさん)。

『しゃがんで持ち上げるようにすると良いですよ』産業医のオバサン(院長)(以下産業医)。

『そんなことしてたら、仕事が回りませんよ』(パートさん)

回る仕組みを考えないと。

腰にやさしい運搬の仕方を定着させないといけないわ~

『まあ、コルセットしてるからまだましですけどね』(パートさん)

『コルセットで腰の負担は減るけれど、腹筋と背筋を鍛えると良いですよ』(産業医)

『朝から晩まで仕事して、家帰ったら、またやることだらけだから、そんな暇ないですよ』(パートさん)

オバサン(産業医・院長)アドバイスするも、オバサン(パートさん)手強し。

自身は腹筋・背筋を鍛えてから腰痛とは無縁になったのですが、普及活動は困難を極めそう…

スポーツ医の立場からも…腰痛予防だけでなく、腹筋背筋を鍛えると姿勢がよくなります(若見せ効果もあると思う)。

まずは、自重の腹筋を1回から。

慣れてきたら、負荷をかけたり、腹筋の部位に分けてトレーニングしたり…(メニュー色々実行中)

 

さて…『そんなことしてたら、仕事が回りませんよ』のセリフ、当院でも時々聞きます。

サンダーなどの研磨で鉄紛が目に刺さり来院されます。

すごく早いスピードで目に飛入するので、一瞬の出来事です。

院長は、専用の針やドリルで丁寧に鉄粉や錆(数日経つと錆が出る)を削り取ります。

『保護眼鏡付けてましたか?』の質問に、

『そんなことしてたら、仕事が回りませんよ』と答える患者さんの多いこと。

職場のマニュアルは、労働災害を回避し安全に仕事をするための指南書なので、守りましょう。

 

店長さんと巡視中に、鮮魚コーナーで。

『刺身は、厚すぎても薄すぎてもダメで、ちょうどいい厚さがあるんです。そういうことも研修受けるんですよ』

なるほどなるほど。

水産部門Aさん(安全衛生委員)作のお造りはお値打ちで美味しそう…

買って帰ろっと。

そんな余裕も出てきた産業医です。

 

 

 

 

 

 

カテゴリー:クリニックに関すること 産業医

2022.3.22  春色の~

『春色の汽車に乗って海に連れて行ってよ~』(赤いスイートピー)

陽気なある午後、思わず口ずさんだ曲。

この歌が流行ったころは、まだ乙女の院長。

おねだりしたら叶えてくれる誰かがいつか現れるかも!?と甘い歌声を聞きながら夢見がちに思ったものです。

あれから〇十年。

今や、何処に行くのも一人で行けるし、何なら連れて行ってあげますよ!のスタンス。

 

今日は、職場(産業医)のスーパーに。

駅から職場までは、口ずさむのにふさわしい長閑さがあります。

 

今月から新店長。

店長は1~2年程度で異動があり、しかも、各部署100人超のスタッフを把握しなければいけないのでなかなか大変です。

 

安全衛生委員会に出席です。

各部署のヒヤリハットと対応策。

例えば…

 

*水産部門では、氷水だけが滑る原因と思われているけれど、魚脂も滑る原因となっている

→早急に床の塗り直しをすることに。

 

*冷凍ケース下の霜や水濡れ予防のタオルが敷いてあるが、タオルの裾を客のつま先で踏んでしまい転倒の恐れがある

→吸い取り専用のソックス(absorbed sock)を導入

(本当は冷蔵ケースを買い直せばいいのですが、予算上、先延ばし)

 

*雨天時の床の水濡れの掃除が遅いと転倒の恐れがある

→気が付いたらすぐ拭く

→広範囲の場合は、足元注意の標識(増設)を立て、グリーンキーパー(清掃業者)に連絡

 

*惣菜で使用した廃棄油脂を1週間貯めておく屋外の貯留庫(その後産廃業者に)周囲の油のべたつきが多く転倒の恐れあり。

→貯留庫周辺に人工芝を敷いた

 

*有事に備えて避難経路の拡大

→商品の陳列方法を考えて、通路をさらに拡大(元々かなり広い店内で通路も広々なのですが)。

出入り口付近のカート置き場の見直し。

 

などなど。

 

『以上で、本日の安全衛生委員会を終わります』新店長。

ちょっと、ちょっと…

『店長さん、私からもちょっといいですか?』

『あっ、先生!どうぞ。お願いします』

私(産業医)、忘れられてた?

今回、男性スタッフばかりの出席だったから、紅一点(公だけに…)で目立っていたはずなのに!?

それとも、前職場の産業医(男性)は無口だったのか?

今日の会議で気づいた点、巡視等で気が付いた点、昨今の新型コロナウイルス予防の話など手短に発言します。

 

院長は、産業医や学校医を兼務していますが、委員会では、必ず発言するようにしています。

『特にありません』と答えるのは、職務を全うしていないようで、気が引けます。

毎回、何か変化はあるはずで、事実(問題点)と解決法(改善法)をセットで考えるようにしています。

 

新しい店長さんやスタッフと一緒に、良い職場環境作りのお手伝いが出来たらと思います。

 

 

駅までの帰り道、陽気に誘われて回り道をしてみました。

途中で、ウナギの寝床みたいな駐車場の奥にパン屋さんが。

そろそろとドアを開けると『いらっしゃいませ!』の若夫婦の声。

クリーパンをひとつ購入。

駅のベンチで、おやつタイム。

春色のクリームが優しい。

小さなお楽しみ(変化)に満足し帰路につきました。

 

 

 

 

カテゴリー:公センセの想い 産業医

2021.9.28 契約更新

学校医は、学校保健委員会や就学時保健委員会など、年に何回かある委員会に出席します。

必ず校医として発言の場が設けられるので、意見や見解を述べます。

 

さて、産業医は安全衛生委員会の出席があります。

安全衛生委員会とは、その事業場における衛生に関する問題について関係者が話し合いをする場のこと。

労働安全衛生法に基づき、常時100名以上の労働者を使用する規模の事業場で、月1回以上開催することになっています。

 

担当するスーパーでは、委員長は店長さんです。

安全管理者・衛生管理者・メンタルヘルス推進担当者・産業医が会社側のメンバー。

労働者側からも何人か参加します。

水産部門・畜産部門・農産部門・総菜部門…など、各部門ごとに。

 

嘱託産業医の院長は、毎回出席は難しいので、その時は前回の議事録を見て、店長さんに質問します。

スーパーという職場柄、スタッフの皆さんは、エプロンや長靴・コックシューズのままで委員会に駆け付けます。

全店舗の労働災害の報告が人事部から毎月入って来るので、その報告から始まります。

 

毎月、スーパーで多いのは転倒事故です。

高齢の従業員の転倒が多くなると、ケガも重症化しやすくなり、休業も長期化しやすくなります。

転倒の主な原因は、滑り・つまづき・踏み外し。

 

水産部門の水・氷や総菜部門の油など、スーパーは滑る場所が多いので注意が必要です。

アイスクリーム搬入時に床が濡れてしまい、高齢のお客さんが転倒してしまったという事例も。

濡れ・汚れを見たらすぐ清掃を。

あわせて、お客さん(主に子供)が、店内でする嘔吐することも結構あるそうなので、迅速な処理を。

冬場はノロウイルスにも注意ですが、『汚物処理ツールボックス』と言う専用キット(初めて知った!)があるので、手順通りに使用すれば良さそうです。

買った商品(大物)を忘れるお客さんにも驚きましたが、店内嘔吐事故?多数発生にも驚き。

 

以前の巡視で指摘した切れの鈍くなったかぼちゃカッターは新しくなりましたが、他店での巻きずしカッターでの切創事例を聞くと、鋭利すぎも怖い。

気を付けて取り扱ってほしいものです。

労災事故は極力起こりませんように。

 

食品を扱うので、作業場の温度管理も重要です。

冷蔵庫や冷凍庫から商品や材料を取り出す際には、事前に作業場を冷却しておくことは、毎回、店長さんが繰り返し言うことです。

一般家庭なら、冷蔵庫からエアコンの効いていない室内に出して調理、と言うことはよくあります(院長も)。

しかし、職場では、たとえ少しの時間でも、まず作業場を冷やしておくことが徹底されます。

食中毒の発生は致命的なので。

 

店内はいつもひんやりしています。

売り場は24度。

しかし、揚げ物作業場では27度にもなります。

火傷しないように、長袖長ズボンキャップなので、まめな水分補給を勧めます。

一方、水産作業場は18度。

制服だけでは、体の芯まで冷えてしまうので、支給のインナーを着用しての作業です。

同じスーパー内でも、かなりの環境差があり、個々の健康を維持しながら、作業を効率に進めるために勘考しています。

 

院長も産業医として、意見を求められます。

初出務の時は、ドキドキしていましたが、だんだん概要が分かってきたこともあり、この職場が好きになっています。

 

『次回は〇月〇日でいいですか?』

『はい、大丈夫です。伺います』

 

あれ?1年契約だったのでは?

どうやら本部から契約更新してもらえたようです。

産業医の成長物語?は続きます…

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