2022.6.28 納得いかない
学校検診の受診のお勧め用紙持参の患者さんの中には、毎年、眼科的にはどこも悪くないのに視力が出ない『心因性視力障害』があります。
何かしらのストレスで視力が出にくい状態になっています。
ストレス(家庭・学校・友人・習い事関係が多いように思います)の心当たりがあれば、軽減。
眼鏡をかけたい眼鏡願望の場合もあります。
患者さん(子供)へ寄り添い、
保護者からのヒアリング。
必ず視力が出てくるので焦らないことをお話しして、今まで以上に愛情を注いで関わってほしい旨を伝えます。
結構時間のかかることですが、励まし、経過を見ていくことで結論が出てきます。
ただし、1年近く変化がない場合は、心の専門科へ紹介することもあります。
先日はWEBで『心療眼科研究会』に参加しました。
この研究会に参加しようとしたきっかけは、既述の『心因性視力障害』です。
20年以上前のある学会での『心因性視力障害』の発表が非常に印象強く残りました。
心療眼科研究会は、今年で第15回ですが、以後テーマは変わりつつも、眼と心(精神)がテーマです。
さて、今回のキーワードは『白内障術後不適応』
白内障手術は、今や、スタンダードな安全な手術として確立しつつあります。
もちろん、患者さん個々にリスクファクターの有無・程度は違いますが、眼科医が一番先に習得する内眼手術です。
ですが、客観的には成功した手術(どの医師が見ても)なのに、予想外の見えずらさ・違和感・疼痛・羞明を長期に訴え、心身の不調に悩まされる患者さんがいることが分かってきました。
全白内障手術の数%ほどだそうですが。
実際には起こっていないことが原因と考えたり…
(眼内レンズが傾いているのでは?)
(眼内レンズの度が合っていないのでは?)
(手術中に痛みを感じたせいでは?)などなど疑惑と不安の嵐です。
手術後の過剰な期待(軽度白内障や軽度視力障害で施行)や、患者さんの認知のゆがみなどが可能性としては上げられますが、スパッとこれが原因でこの治療で…と単純には行かないようです。
このような患者さんは『心体症状症』という病名で、精神科的な治療も必要になる場合もあります。
しかし、その前に、眼科医は、患者さんに寄り添い、納得いくようにするようなアプローチに努める必要はあります。
他院で、白内障に限らず、手術後、色々と訴えの多い(自分で納得かない)患者さんは来院されます。
手術の出来(問題なし)と、患者さんの自覚は違うことも多々あることを実感します。
客観と主観の一致なら、とてもハッピーなのですが、現実は難しいです。
今回の特別講演は何と大学の同級生Kさん。
10年以上前に上京したのは知っていましたが、こんな所で遭遇するとは!
研究会の案内の演者を見て、Kさんだと確信。
卒業以来のズームでの再会(向こうからは見えてないけれど)。
KさんはT大病院で精神科医として活躍中。
ちょっとだけ年を取ったけれど(お互いさま)、変わらないわ~
偶然の繋がりに感謝し、同級生の活躍を誇りに思い、久々に便りを出した院長です。
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