2023.10.3 阿房バス
特別な意義があるわけでもないけれど、気になるだけの動機で出かける院長。
だから、お誘いに乗ってくれる物好きな人も周囲にはおらず…
今回も、ひとりで決行です。
阿房列車ならぬ、阿房バスの旅。
『日本一距離の長い路線バス』(奈良交通)。
紀伊半島を縦断するように、奈良県の大和八木駅から和歌山県の新宮間を走ります。
6時間32分!!の行程です。
バス停は168 !!
観光バスではなく路線バス。
地域の足です。
『日本一距離の長い路線バス』に乗るためにだけ出かけます。
いつもながら小忙しい旅になってしまう院長。
今回も日帰り完結です。
新宮駅から乗車となると、どうしても前泊が必要になります。
大和八木出発だと自宅から日帰り可能。
近鉄特急『ひのとり』で名古屋から大和八木まで。
こんな珍しいバスだから満席かも?は杞憂。
一番乗りで一番前(運転席後ろ)に座ったものの、見渡すと数人の乗客でした。
9時15分、バスは6時間半の行程を発車します。
約1時間後、五條バスセンターで10分のトイレ休憩。
ここまででも乗降客は入れ替わります(地元の人達)。
段々ローカル色が強くなり、いよいよ十津川村に入ります。
十津川村は奈良県の最南端に位置する、日本で最も大きな村です。
紀伊半島のほぼ真ん中に位置し面積は約672km²あり、奈良県の約1/5を占めています。
それゆえ、この路線のバス停のほとんどが十津川村内です。
十津川村だけで約3時間走ります。
運転手さんは、退避場所があるような狭い山道を運転しながら、観光案内もしてくれます。
川の歴史やダムの成り立ち・水害のことなども。
ぐんぐんと高くなる山の道路の横は、激しく大きな熊野川が流れます。
あちこちに水力発電ダムもあります。
約3時間後2度目の休憩は20分です。
このバス停すぐに日本有数のつり橋『谷瀬つり橋』があり、運転手さんから『良かったら渡ってみてください』と。
長さ297メートル高さ54メートル。
同時に渡るのは20名まで、という注意書きが。
ここに来て空中散歩をするとは…恐る恐る…下を見ると血の気が引きます。
定刻通り発車。
十津川温泉に、1時間後到着。
10分の停車の間に『良かったら足湯に浸かってみてください』と。
足湯に浸かったのは、3人。
オバサン(院長)と、若めのオジサン(40代半ばか?)2人。
恐らく、最終地まで通しで行くのはこの3人。
この大きな村に眼科はありません。
人口は3000人弱。
陸地続きでも医療資源の乏しい地域です。
仕事柄、やはり考えるのは地域医療のこと。
広い十津川村をどんどん下っていくと、和歌山県田辺市へ。
終点の新宮まで、残り約1時間です。
路線バスの旅も終盤に。
もう2駅で終点に…という時点で
『オクサン、押します?』
振り返ると、先ほどのオジサン達。
『は?オクサン(=奥さん)?』
押します?って何~?
『何を押すんですか?』
『終点で降車ボタン押すの、譲りますよ~』
終点は押さなくても必ず止まるから、普通押さないでしょ~!?
『押してくださって結構ですよ~』と譲ります。
『遠慮しなくていいです。せっかくだからどうぞ~』(全然遠慮していないけれど)
『では…』と『次は終点新宮駅です~』のアナウンスが流れるや否やピンポーン!
15時47分新宮駅着。
とうとう日本一長い路線バス完全乗車です。
記念乗車券をもらいます。(嬉しい)
帰りは、JR特急『南紀』で一路名古屋へ。
阿房バスの旅、最高でした!
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