2019.2.19 運動と緑内障

眼科雑誌を読んでいると、難解な論文も多くありますが、今回はとっつきやすいタイトルを見つけました。

 

『身体活動量と緑内障の進行速度が関係している』

 

巷の健康本なら、『運動で緑内障は治る!』などと、過激なタイトルで発売されそうです。

しかし、これは、眼科医愛読の由緒正しい眼科雑誌『日本の眼科』

信ぴょう性のない過激な表現は、誰も口にしません(書きません)。

 

海外の数々の論文が引用され、上記の結論が見出しとなった、非常に信頼性のある(医学雑誌なので当然ですが)ダイジェスト版でした。

 

いくつかを紹介すると…

1:健常人において、最大心拍数の70%55%40%のランニング15分後の眼圧は、ランニング前の眼圧から、最大心拍数70%が一番眼圧が下がり、40%でもわずかに低下した。

運動強度と眼圧下降には関連がある。

2:緑内障患者24名を対象に、1週間に30分以上の運動を習慣化しているか否かで、運動を習慣化しているグループは、過去3年間の視野進行が少なかった。

3:60~80代の緑内障患者141名において、1日1000歩歩数が増加するごとに、視野障害の進行速度は緩やかになった。

他にも、マウスで、60分の水泳ぎで、網膜の神経細胞死が抑制された論文もあります。

 

現時点で、視野障害の改善は難しいですが、運動は視野進行の抑制効果はあるようです。

 

緑内障の治療は、まずは眼圧を下げること。

点眼薬を、きちんと点すことが一番です。

1日1回の目薬でも1か月で使い切る、おおよその目安です。

緑内障は、進行する病気です。

良くなることは難しいですが、視野や眼圧に変わりないなら効いている(落ち着いている)証拠です。

 

病気については、巷で色々な情報が溢れています。

信ぴょう性のある出処かどうか?

『自分に一番合うのは何か?』は、目の前の主治医が一番あなたを知ってアドバイスできる立場にいます。

院長もお役に立てるよう、最新知識を脳内に上書き保存すべく、勉強・勉強。

 

 

 

 

カテゴリー:クリニックに関すること 眼に関すること

2018.10.16 臨床眼科学会2018

臨床眼科学会に参加してきました。

目という小さな球体ながら、眼科の学会だけで、部位別(角膜とか網膜とか)病気別(白内障とか緑内障とか)診断・治療・研究など細分化されているのですが、今回は最大規模な学会です。

会場は、東京国際フォーラムに加え、年々規模が大きくなったためかJPタワーも。

 

東京駅から会場に行く途中には、はとバス乗り場。

ツアーを楽しみ人たちが、たくさん並んでいます。

知人と上京して、はとバスの『ホテルの夕食とニューハーフショー』ツアーに参加したことを思い出します。

はとバスでなかったら、足を踏み入れることのない世界でした。

また、乗りたいな~(つい、パンフレットをもらってきました)

 

当たり前ですが、会場は、眼科医・眼科医・眼科医…

エスカレーターにゆっくり乗る二人組の女性は、明らかに80歳越えです。

その年になっても、学会に行き、勉強する女医。

つまりは、まだ現役?

感服しました。

 

一方、ベビーカーを引いた若い女医さんも。

最近は、大きな学会では、託児室が臨時に開設されます。

第1号が出来た時に、院長も、息子を預けて参加したことを思い出しました。

あの時は、ベビーカーでなく、おんぶ紐で来たな~

ホテルの部屋にも、ベビーベッドを置いてもらって。

産後1週間で復帰・現在に至るオバサン女医(院長)が、心の中でエールを送ります。

 

たくさんの演題や講演があるので、予め、自分で聴講プログラムを作り、広い会場を移動します。

最近は、ポスター展示は、パソコンで見ることが出来、効率もアップしました。

学会の短い期間で、インプットされる量は相当なものです。

帰って、整理して、アウトプット出来るようにせねば。

 

書籍コーナーにも立ち寄ります。

名古屋にも大きな書店はあるのですが、眼科関連だけで何十冊という規模は、学会場だけです。

今回、医学書籍なのに、衝撃的なタイトルだった本は『7年前の常識は現在の非常識 眼科診療の最新標準』という本。

『私、大丈夫かしら?』不安になって、買ったばかりの本を、休憩椅子に座って読み始めます。

しばらく読み始めたところで、『変遷も今の常識も知っていることだった~良かった!』

かと言って、安心は出来ません。

専門分野や、関心の強い分野ではないところは、要確認です。

もし、7年間眼科医を休んでいたら、この本のタイトル通りなのかな?

 

医師の働き方の問題が話題になっています。

女医の育休・子育てとの両立など、働き方改革も進んでいますが、日進月歩の医療の世界。

子育て中も、勉強は休まず、少しでも医療に関わり続けてほしいと思います。

『女医』(医師)って、華やかではなく、『気力・体力・知力』あって当然の、地味・地道な職業ですから(私見)。

私も、80歳相当の女医さんたちを目標にします!

 

学会は、非日常の世界で、たくさんの刺激を受ける絶好の機会。

また、日常診療頑張ります。

 

■学会に関する過去の記事はこちら

日本臨床眼科学会2017

光栄です

日本臨床眼科学会

 

 

 

 

 

 

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2018.6.12  6月7日は緑内障?

「この味がいいね」と君が言ったから七月六日はサラダ記念日

大好きな俵万智さんの短歌です(今から30年前の作品)。

 

さて、6月7日は緑内障を考える日だそうです。

6(ろく)7(な)から、緑内障って無理がありますが…

そういう理由か、先週は、緑内障の勉強会がいくつか。

 

現在、失明原因の第1位は、緑内障で、全体の約30%を占めます。

高齢化に従い、2000年での緑内障の有病率は5%(20人に1人)だったのが、2017年には6.1%と増加。

2050年(32年後)には、7.2%(約14人に1人)と、どんどん患者さんは増加する予想です。

 

他の病気で眼科を受診したときに、緑内障が見つかる患者さんは、かなりの割合です。

最近は、健康診断で指摘されることも多くなりました。

自分で、見え方がおかしいと自覚して、眼科を受診する頃には、かなり進行していることが多いのです。

 

加齢変化で、視神経の数は減少しますが、それよりも早い速度で減少するのが、緑内障です。

ある一定以上、減少すれば、視野欠損が起こります。

この視野欠損も、中期以降でないと、自覚がないことがほとんどです。

初期・中期・後期の病期別のほかに、新たに前視野緑内障(視野に出ていないが、緑内障の兆候あり)の概念も出てきています。

 

『一生涯、患者さんが、社会生活に影響を及ぼさないようには、どうしたらよいか』

『いかに患者さんが、病気を自覚して治療を継続できるか』

そのために、勉強して、還元できるよう、常々眼科医は励んでいます。

 

週末は、泊まりで勉強会。

知人の都合がつかず、夕食は一人で食べることに。

一人で外食でも構わないのですが、今回は、一度やってみたかった『部屋めし・部屋飲み』

コンビニをはしごして、サラダ・メイン・デザート・おつまみ・適量の酒類とフルコース?でゲット。

雑音なく(ホテルでテレビは付けないのが常)、本をぺらぺらめくりながら、好きなものを食べて飲んで…

気が楽~

良い気分に浸りました。

 

翌朝は、ランニング(ウエア、シューズ持参)。

降りそうで降らない曇り空の、お台場を1時間。

海が近いせいか、風が強い。

高層ビル群と、海の匂いにギャップを感じます。

海浜公園からは、レインボーブリッジの向こうに東京タワーを見つけ、感激。

 

6月7日、新聞には、緑内障啓発の広告が出ていました。

少しでも浸透し、緑内障に興味を持ってもらえますように。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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