2017.10.3 ものもらう?
日曜日の夕方は『笑点』
先日の大喜利前の師匠方々のご挨拶。
『子供の頃、ものもらいが出来たときには、大塚池袋界隈では、隣のおばさんからおむすびをもらうんです。
しかも、普通にもらうんじゃなくて、便所の窓からもらうと治るって言うんです。
治りかけや、めっちゃくちゃお腹のすいているときには効果抜群です。
やってごらんなさい。
好楽です』(大体こんな感じ)
と、三遊亭好楽師匠。
思いもよらぬ眼科ネタに『へぇ~初耳』
眼科医が、よく遭遇する病気に『ものもらい』があります。
関西では『めばちこ』とも言うらしく、初めて聞いた時には『?』
さて『ものもらい』には、大きく分けて2種類あります。
『麦粒腫(ばくりゅうしゅ)』
瞼の細菌感染です。
一般に『ものもらい』と呼ばれているのは、麦粒腫です。
まつ毛の皮脂腺(ツァイス腺)や汗腺(モル腺)、瞼板腺(マイボーム腺)に感染が起こります。
局所的に赤くなったり、腫れたり、痛みを伴います。
時には膿むこともあります。
治療は、抗菌薬の点眼・軟膏です。内服薬を出すこともあります。
膿んでいる場合は、切開して膿を出します。
『霰粒腫(さんりゅうしゅ)』
瞼の縁にあるマイボーム腺の出口が詰まり、しこりが出来ます。
炎症を伴うと、痛みや腫れが見られます。
治療は、まず炎症を抑える点眼薬を使います。
しこりが小さければ、吸収されることが多いのですが、時には手術でしこりを摘出することもあります。
ものもらいの原因菌は、主に黄色ブドウ球菌で、皮膚や鼻の中などあらゆるところに存在しています。
細菌が、瞼にある毛穴や分泌腺に入って、炎症を起こします。
『感染しますか?』
ものもらいの人から感染することはありません。
『眼帯してもいいですか?』
する必要はありません。
むしろ眼帯をすることで、眼周囲が不潔になりやすいので、しない方がいいです。
おむすびのほかにも、地方によって伝わる色々な迷信があるようです。
昔、昔の、眼科医がほとんどいない時代のことでしょう。
現代においては…
痛み・腫れ・赤みなど、何らかの症状が出たら、眼科を受診しましょう。
状態に合わせて、お薬を処方します。
多くは、点眼薬で速やかに良くなりますが、症状によっては長引くこともあるので、完治するまで、きちんとかかりましょう。