2024.12.3 人もワイン?!
11月第3木曜日はボジョレーヌーボー。
ボジョレーの新酒ワインの解禁日です。
20年以上前の大学院生の頃。
JRから金華山の岐阜城が見えると間もなく岐阜駅。
岐阜城は、懐かしさ(故郷)とともにエールをくれるシンボルでもあり。
木曜日は、大学病院の緑内障外来を担当し研究もして、ふらふらになりながら一目散に家に向かいました。
幼い子供たちは頑張って起きて待っています。
翌日は自院の診療です。
現在よりもずっとバタバタの毎日でしたが、それでも、大学院を経て医学博士を取得したときは感無量。
実際には、博士号取得後の恩恵よりも、博士号を取る過程で勉強・研究したことが大きな収穫となりました。
大学病院の緑内障外来は、進行した緑内障患者さんや、手術前後の患者さんなどでいっぱい。
クリニックでは経験しないような症例も多く経験。
これも眼科医として知識と経験の財産となっています。
そして、途切れることなく新しい知識を得ることもスムーズになっています。
最近、重症化する緑内障のタイプがわかってきました。
進行が速い患者さんとは…
1,高眼圧
開放隅角緑内障では、眼圧が1mmHg下降するごとに、進行リスクが10%減少。
正常眼圧緑内障では眼圧を30%下降により約8割が進行抑制された。
2.落屑(らくせつ)症候群
落屑とは、加齢により瞳孔周囲に付くふけのようなものです。
落屑緑内障は平均的には正常眼圧緑内障より進行が10倍速い。
3.睡眠時無呼吸症候群
眼圧が低くても進行しやすい(肥満・加齢・男性は発症要因となる)。
QOLが低下する患者さんとは…
1.中心視野障害がある
日本人に多い正常眼圧緑内障は中心視野障害を生じる頻度が高い。
強度近視の正常眼圧緑内障は早期から中心視野障害が生じやすい。
まだ20年前にはわかっていなかった知見です。
多くの症例・論文の積み重ねで新しいことが分かってきます。
さて、当時は今よりもボジョレーヌーボーの売り出しが盛んでした。
11月の第3木曜日の大学院の帰りには、必ずお勧めのワインを買って帰りました。
新酒だけあって、渋みもなくフレッシュ感があり、普段飲まない院長でも飲みやすかったです。
いつの間にか普段飲むようになった院長。
そしてボジョレーヌーボーも買わなくなりました。
好みは重くて渋みのある辛口赤ワイン。
ちなみに赤ワインは緑内障発症率を下げる傾向ありと言われています。
今日の一日に『お疲れ様!』
最近読んだ終活をテーマにした小説。
75歳の主人公が、高校1年生の時の憧れの女子に、終活と称し再会の機会を図ります。
再会した彼女は、初々しく清楚な女子高生はどこへやら、苦労の人生を経て同居の嫁の悪口を話しまくる婆になっていた、という始末。
親しい知人にその落胆を話します。
しかし落ち着いた先は…
『昔は、えぐみも渋みもなくて複雑さもないライトボディのワイン。
今のほうがずっと面白い。
意地も悪いし策士だけど、それが人間の複雑さになっていた。
まさにフルボディ』
なるほど。
楽しいことも悲しいことも、嬉しいこともつらいことも、たくさんの経験をすることによって、自分というワインが熟成されるのだと思えばこの先も乗り越えられそう。
目指せ、最高のフルボディ!です。
澱(おり)も溜まるくらいに!