2021.12.21 目薬コロコロ
『キャー!何やってるの!?』
オバサンの大きな声。
院長は、とある地方都市のホームに停車中の本駅発列車の横シート座席に座って本を広げたところ。
昼下がりの午後の車内は乗客もまばらです。
『何やってるの!』
みんなが一斉に向けた視線の先には…
オジサンのが太ももがホームと列車の隙間にスッポリ。
目が点…あっけにとられている間もなく、すぐに、男性数人がオジサンを引っ張り上げ始めました。
発車まで数分。
事なきを得、救助した男性たちも、取り囲む人たちもサーっとそれぞれの方向へ。
70代前後のオバサンは、大声で『この人(同年代オジサン)、バスで疲れちゃったんですよ~。どこか、席座らせてもらわないと』と、アピール。
乗降口付近の乗客は、さっと別の席へ。
オバサンが先に座り、オジサンが後に続きます。
二人は、それぞれ4泊5日分くらいのキャリーケースを持っていました。
どこかの旅行の帰り?
飛行機+バス旅行?
だとしたら、あの空港から?
オジサンは、左太ももをさすっています。
『何やってるの?』(と言われても…)大声で繰り返すオバサン。
()は院長のつぶやき
『痛いの?』(そりゃ、痛いでしょ)
『骨折したの?』(まさか、それはない。おそらく挫創)
無言で太ももをさするオジサン。
対面の席で、大きな声で詰問するオバサンに、院長も怒られている気分に。
恐らく、加齢により、足を上げる力、踏み込む力が弱くなり、歩幅が狭くなってはまってしまったのでは。
大事に至らなくて本当に良かったです。
オジサン普段から、つまづき易かったり、転びやすかったりするのかな…
点眼薬も転がります。
先日、ある患者さんから『出してもらった目薬が、すぐ転がってしまう』との声。
後発品(ジェネリック)の場合は、医師がメーカーを選択することは出来ないので、薬局に在庫がある薬を受け取ります。
見せてもらったのは、ジェネリック品。
確かに、円柱形なので、キャップもボトルも、転がりやすそうです。
先発品新製品が出るたび、院長はあらかじめ点眼してみます。
・透明か濁りか
・しみるか否か
・さらりかどろり(粘度)か
・点した後の充血ありか
・点した後のかすみありか
など、特徴ある点眼薬を処方する場合は、予め、伝えるようにしています。
自分の体験談も。
先発品が優れていると一概には言えませんが、各社、点眼薬のボトルにも患者さん目線で考えています。
キャップの形で採用されているのは、10角形のねじれ。
12角形だと円柱型と同じように転がってしまうそうです。
8角形以下のねじれだとバランスが悪くなるそうです。
また、点眼瓶の先に穴が開いているだけのように見えますが、メーカーによっては、開栓しやすい様に、らせんのねじれになっています。
ボトルの形も様々です。
市販の点眼薬は、おしゃれなデザインで、医師が処方する点眼薬に比べて固いものが多いです。
処方点眼薬は、患者さんが使用するという前提で設計されています。
3本の指で、持ちやすいよう、指との接着面が広く安定するようになっています。
扁平型だったり、胴体がくぼんだ型だったり。
そして、少ない力で正確に1滴点眼できるよう設計されています。
容器も機能と見た目を兼ね備えているデザインになっています。
人は老化し、機能も見た目も低下してきます。
自身で努力できることはし、デザインの低下を少しでも抑えていきたいと思うある日の出来事でした。
オジサンの挟まった太ももを案じつつ…
来週12/28は『公センセの部屋』はお休みします。
今年もありがとうございました。