2019.5.14 スポーツとコンタクト
最近、小学校高学年で、コンタクトレンズを希望される患者さんが増えています。
聞くと、サッカーや野球の少年チームに所属しているそうです。
普段、眼鏡は装用しているのですが、視野の広さ・曇りにくさ・接触時の安全性を考慮かつ競技成績アップを期待して相談に来られます。
低年齢なので、適切なレンズ選びから、ケアの仕方・度数変化への対応・眼障害の有無の確認など、保護者が心配して、眼科専門医を選んで受診していただけるのは幸いです。
スポーツと視力は確かに関係あります。
昔、同じ職場で仕事をしたことがある枝川医師(国立スポーツ科学センター客員研究員)の論文*から。
競技能力は両眼視力1.2のときを100%とすると、0.7では約8割、0.3では約6割に低下する。
ただし、アーチェリーのように標的を見る群は、低視力でもほとんど影響がありません。
一方、野球では、視力0.1だと0に近いのですが、0.5で50%、1.2で100%のパフォーマンスとなっています。
総じて、サッカー・テニス・卓球のような球技群は、視力向上によるパフォーマンスの向上がはっきりしています。
元々視力が良好な選手もいますのが、3330人のトップアスリートの約8割が視力(両眼)1.0以上でした。
矯正方法は9割がコンタクトレンズで、ほとんと使い捨てソフトコンタクトレンズでした。
優れたスポーツ選手が必ずしも良く見える目を持っているわけではありません。
また、良く見える目の選手が必ずしも優れた成績を残しているわけではありません。
しかし、パフォーマンスを上げることに、視力が大きく関わっているのは事実です。
スポーツ時に目から入った情報は、脳に送られ、脳からの信号が身体に伝わります。
その指示通り、身体が動きます。
鮮明で正確な情報を処理してどう対応したらよいか指令を出し、その通りに身体が動けば、最大のパフォーマンスが発揮できます。
運動音痴の院長の小学生時代。
ドッジボールは苦手な種目のひとつ。
ドッジボールが自分の方へ向かってくるという情報は目から脳に伝えられます(この時、低視力だと情報が不正確になります)。
ドッジボールが、どのくらいの速さと強さで、向かってくるのか。
対して、どのような体勢でボールに向かって受けたらいいのか。
これらを脳が瞬時に処理して、身体に指令を出します。
ドッジボールが得意な子は、目・脳・身体の連携が上手くできており、花形選手になれます。
院長はというと…
ボールが自分の方へ向かってくることは、わかりますが、『ボールを受けに行け』という指令よりも『怖い』の感情が勝ってしまい、『逃げろ』の指令となってしまいます。
しかも、情報処理(ボールが当たらないためには、どの程度の速さでどこへ逃げたらよいのか)が上手くできず、必ず当てられてしまうのでした。
もう少し、あの頃、球技に親しんでいたら…と、なかなか上手くならないゴルフをしながら思います。
学童期の球技への関わり具合は、球技スポーツの上達に大きく影響しますから(院長、時遅し)。
野球少年・サッカー少年の話を聞くと、『視力矯正して、もっと上手くなりたい!』という、熱い思いが。
初めてコンタクトレンズを入れて、フィッティングを確認しながら『どう?』
『すごい!良く見える!』
その笑顔に嬉しくなります。
パフォーマンスの更なる向上に眼科医も一役買います!
*:日本視能訓練士協会誌第44巻(2015)より引用