2023.11.28 出来ない事=しないこと?
今日は往診日。
スタッフは介助兼ドライバーです。
『あれ!?給油ランプが点灯してますけど…』
『では先に給油しましょう』
ガソリンスタンドでタッチパネルを押すのは院長の仕事。
給油口を開けてガソリンを入れるのはスタッフの仕事。
自分で給油…院長の出来ない(しない)事のひとつです。
給油計が停止し、スタッフが無事ノズルを抜いたのを確認する院長。
店員さんが給油をし、窓ガラスを拭いて、ゴミまで捨ててくれた時代がありました。
息子たちが保育園児の頃、園児のお母さんがガソリンスタンドで働いていて、給油の担当になると『○○ちゃんのママだ!』(知っている人を見つけると嬉しくなる年頃)と懐かしい思い出も…
いつの間にか、アメリカナイズ・コスト削減のため、セルフ式が広がり、今では周辺では全く見かけません。
さて、そんなセルフ式が導入され始めた頃。
ひと月に1~2人程度『ガソリンが目に入った!』と駆け込んでくる患者さんが。
待合室から診察室までガソリンの臭いが充満します。
聞けば…
給油口にノズルがきちんと入っていないままレバーを引いたら、ガソリンが吹き出した。
満タンのガソリンの給油口からノズルが外れて吹き出した。
などなど。
目の中に大量に入っていなくても、ガソリンは刺激性なので痛くてたまりません。
大量の生理食塩水で洗浄。
白目(結膜)や茶目(角膜)に炎症がないかを確認し、場合によっては薬を処方。
当時、院長はまだ有人スタンドを利用していたので、『恐怖のセルフ式』とインプット。
給油は自分でしない!と決意。
それから幾年月。
息子たちも運転をするようになり、セルフ式が当たり前の時代に。
それでも一貫して自分で給油出来ない(しない)院長です。
眼科には、ガソリン以外にも、何かの液体が目に入った患者さんが来られます。
掃除中の洗剤・漂白剤。
シャンプー・ボディソープ。
パーマ(まつ毛パーマが意外に多い)液・毛染め液。
新型コロナ流行以降は、アルコールスプレーも多くなりました。
目の中に薬剤が入った場合、その薬剤の性質・濃度・時間によって症状は大きく異なります。
また、酸性とアルカリ性では、アルカリ性の方が悪化することが多いです。
酸性薬剤としては、漂白剤が知られていますが、その他、酸性洗剤や実験等で使用する塩酸・硫酸があります。
酸は組織への透過性(粘膜に入り込む力)が低いので、障害は表層に留まることが多いです。
アルカリ性薬剤としては、アルカリ性洗剤・パーマ液・毛染め液・生石灰・セメントなどです。
アルカリは組織への透過性が高いので、時間が経つと目の奥(深層)までひどい障害を起こします。
昔は、運動場のライン引きに石灰が使われており、アルカリ外傷の代表例でした。
今の子は石灰なんて知らないかも…
目に何か入ったら、まず大量の水(水道水で可)で目を洗い流しましょう。
目安は10分以上。
眼科では、視力や目に異常がないかを確認します。
勤務医時代は、悲惨な結末になる症例も経験しました。
眼科医ゆえに、目にリスクがありそうなことは回避する傾向があります。
セルフ式の給油。
気になるまつ毛パーマも。
意外に小心者の院長です。
どちらもずっと出来ない(しない)だろうな…