2022.4.26  腫れた!も色々

先々週の休診日は、学会参加で1週間仕事。

先週は学校検診でまたまた1週間仕事。

開業医は自院での診療以外にも、イレギュラーな仕事が多々あります。

 

休日診療所の出務もそのひとつ。

最近は、医師会に入会せず開業する医師もありますが、医師会の役割として公的な地域医療への貢献があります。

名古屋市では、各区に休日診療所がありますが、内科以外に、より専門的な小児科・外科・耳鼻科・眼科は市の医師会館にのみ設置されています。

休日急病診療所は、あくまでも応急の診療なので、翌日近医に繋ぐまでの、お薬処方も原則1日分ということになっています。

 

久しぶりの出務。

市医師会館は都心にあるのですが、ふだん、講習や休日診療所の出務以外行かないエリアです。

都心だけあって、地下鉄を降りて職場に向かう途中、お店が変わっていたり、マンションが建っていたり…きょろきょろして退屈しません。

いつも早めに到着するように出るので、裏道の道草?も楽しみます。

 

今までと違うのは、入り口に発熱外来が設置されていること。

ガウンを着た看護師さんに頭を下げ、検温をして、眼科外来へ向かいます。

 

診察前には、細隙灯顕微鏡や倒像鏡(いずれも眼科の診療機器の基本)の操作の確認。

自身のクリニックのは、自分のお気に入りの最新・一流品(これだけ自慢させて~)で性能も使い勝手も良いのですが、休日診療所のは旧式・メーカーも違うので、慣れておきます。

今回は、どんな患者さんが来るのやら?

 

毎度多いのは、目が腫れた・痛い・赤いという訴えです。

腫れた…だけでも、色々病気はありますが、患者さんのその他の訴えやエピソードを聞き、診察することが大事です。

 

かゆみを伴う時にはアレルギー性結膜炎。

子どもの急患では上位を占めます。

今の時期だと、スギ花粉からヒノキ・カモガヤ花粉に花粉症は移ってきています。

また、犬や猫を触って急に腫れることもあります。

 

腫れて痛みを伴うのは、めんぼのことが多いです。

『前にもらった目薬をさしているけど治らない…』

『その時は何の病気でした?いつ出してもらいました?』

『めばちこで。1年位前かな?』

関西の人だ…

『関西出身ですよね?』

『はい、○○(関西地名)に住んでいました。わかります!?その時にもらった目薬です』

『めばちこって言われたからです。こちらでは、めんぼって言いますけど。目薬は、開封したら1か月なので、効かないですよ。新しく処方しますね』

点眼薬も生ものと同様、新鮮さが命(効力)です。

 

腫れて充血と目の痛みの患者さん。

痛くてコンタクトレンズ(CL)メインのクリニックに行ったら、ここでは治療できないから…と言われて来院。

角膜にヘルペスが入っていて、炎症も起こしています。

下まぶたから頬も腫れていて、なにやらヘルペスの発疹の始まりのよう。

すべてのCLメインのクリニックがよくないわけではありませんが、何か起こった時にトータルに診察・検査・治療をしてくれるかかりつけ医があると安心です。

今の状態、今後の展望(良い方向と悪い方向)をお話し、ヘルペスの薬を処方。

免疫力低下した時になりやすいと言うと、

『そうなんですよ。疲れてるんですよね~』

長距離通勤のこと、仕事の事など悩みどころ満載。

『今日はゆっくり休んで、明日通院できる眼科に必ず受診ですよ。目優先ですよ』と念押し。

 

問診・診断・治療・説明。

医師としてすることは同じですが、患者さんはみんな違うので全く同じではありません。

 

もう少し続きます。

次回5月10日に。

 

 

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2022.2.22 めんぼ・ものもらい・何?

目が腫れた、痛い…で来院される患者さんが多いのも、地域かかりつけ医の特徴。

 

まぶたの縁にある脂腺や汗腺に細菌感染が起こり、炎症を起こす病気を『麦粒腫(ばくりゅうしゅ)』と言います。

一般には『めんぼ』または『ものもらい』と言われます。

まだ顕微鏡で診察しても、発赤もはっきりしない程度から、まぶた全体が赤く腫れて触るだけで痛いという患者さんまで程度は様々です。

抗生物質の点眼薬をしっかり点せば多くは治ります。

ただし、化膿している場合は、切開して排膿します。

目(正確にはまぶたやまぶたの裏側)を切る!となると、子供の患者さんは大騒ぎとなりますので、何するんだろう?くらいの一連の流れでベッドの上に(もちろん保護者には説明)。

『ちょっとチクッとするからね~少し我慢してね~』と言いながら切開排膿、軟膏を入れて眼帯を。

『頑張ったね~』と褒めながら、保護者の元へ戻ってもらいます。

眼帯は頑張った証でもあり、付き添いの兄弟姉妹は、少し羨ましそうに(痛いのは嫌だけど)見ています。

 

まぶたの腫れは同じですが、しこりを伴うものは霰粒腫(さんりゅうしゅ)と言います。

まぶたの縁にあるマイボーム腺という脂腺に脂分がつまり、しこり(肉芽腫・にくげしゅ)が出来たものです。

しかし、細菌感染を起こすと、急性霰粒腫になり、麦粒腫と同様、腫れや赤み・痛みを生じるようになります。

しこりだけで来院される患者さんはほとんどありません。

痛みや赤みなどの自覚症状が出て来院されることが多いので、点眼治療をします。

小さいしこりは、時間の経過とともに吸収され目立たなくなってきます。

しこりだけが大きく残って、長期間引かない場合は、しこりを摘出する手術をすることもあります。

 

ところで『めんぼ』は、どうやら東海地方で多く使われているようです。

『めんぼ』表現使用率(全年齢層)は

1位 岐阜県51%

2位 愛知県48%

3位 三重県31%

院長は岐阜県出身で愛知県在住なので、普通に使っていましたが、全国区の言葉ではないようです。

 

『ものもらい』の語源は、物をもらうと治るという江戸時代の民間療法から。

目が腫れたとき、祖母(明治生まれ)と隣家に行って10円をもらった幼少時の記憶が。

今思えば、麦粒腫だったのでしょう。

民間療法とはいえ、点眼もせず治った記憶があるので、民間療法恐るべし。

もちろん、お勧めはしません。

 

以前、関西出身の患者さんから『めばちこ』と言われ、初耳。

方言色々です。

 

研修医の頃、めんぼ・ものもらいの外国人患者さんに、覚えた英単語『hordeolum(麦粒腫)』と説明したら『??』

『chalazion(霰粒腫)』ならわかるかと説明したらもっと『??』

どちらも医学用語。

一般的な styeと言えばよかったようです。

英語と言えども、医学用語まで知っているはずはないことに気づかなかった院長。

日本語だって、専門用語と一般表現とは違いますから。

そして、言葉も進化?しますし。

 

若い患者さんが、自分の眼の画像を見て

『まじ、キモイっすね』

『うあ~えぐいわ~』

自分では使わない若者言葉に苦笑しながら説明するオバサン院長です。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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