2018.4.17 前視野緑内障

日本人の中途失明の原因第1位の緑内障。

眼圧によって神経が圧迫・障害され、視野が欠けていく病気です。

日本人では、眼圧が正常範囲内でも、視神経が障害を受け、発症する『正常眼圧緑内障』が主を占めています。

(一般には正常の圧でも、その人にとっては高いので障害を受ける)

疫学調査では、40歳以上で約20人に1人が緑内障であることが分かりました(2004年)。

 

緑内障分野の検査技術の進歩は著しく、最近は『前視野緑内障』という概念も出てきました。

 

『視野の前の緑内障?』

眼圧で視神経が圧迫され傷つくと、視神経につながる網膜(目の底)神経線維の厚みも薄くなります。

この時点で、視野検査で異常が出ていない状態が『前視野緑内障』です。

視野に出る前の(いわゆる)緑内障の前兆。

そのまま、神経の障害が進行すると、視野が欠け、緑内障となります。

 

人間ドッグで緑内障の疑いを指摘され来院される場合もあれば、普段の診療で(例えば、結膜炎とかコンタクトレンズ処方とか)検査して発見されることもあります。

網膜の神経の厚みを測る光干渉断層計(OCT)、視野計など検査機器の普及・精度アップにより、早い段階の状態をつかむことが出来るようになりました。

 

『必ず緑内障になるの?』

と聞かれれば『NO』です。

眼圧、家族歴、年齢、視神経の状態などを考慮して、すぐに緑内障に準じた治療(点眼薬)をするか、経過観察にするかを決めます。

定期的な眼圧や視野のチェックをしながら、経過をみていきます。

変化があるかないかを、きちんと見ていくことが大事です。

患者さんにとっては、まったく自覚症状もないのですが、きちんと通院することで、緑内障に移行したとしても、治療効果は高いです。

 

緑内障は中途失明率の高い病気ではありますが、『緑内障=失明』ではありません。

 

二人三脚で患者さんの治療のお手伝いができる、息の長~い眼科医でありたいと思っています。

もう20年以上のお付き合いになる患者さんも。

院長とともに歳を重ねていきましょう。

 

 

 

 

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2018.3.13  R-1グランプリ

一人芸(ピン芸人)で誰が一番面白いかを決める大会『R-1グランプリ』

タイトルのRは本来『落語』を意味しているそうですが、今は落語に限らず『とにかく面白い一人芸』ならOKのようです。

 

新喜劇は好きですが、漫談には疎い方。

しかし、『盲目のR-1王者』『ほぼ盲目のR-1勝者』『弱視の芸人R-1日本一』などというニュースの見出しに、職業柄、気になってしまった院長です。

 

王者の濱田祐太郎さんとは、誰?

 

吉本興業所属の28歳の芸人さんです。

視覚特別支援学校を卒業。

吉本総合芸能学院(NSC)35期。

同期は、ゆりやんレトリィバァ。

 

両眼では全く見えないわけではない(左全盲、右明暗のみ判別のよう)ので、眼科的には、盲目ではなく『弱視』になります。

しかし、生活するには、不十分な視力であり、本人も白杖を使って生活、舞台へも立たれています。

 

視力障害の原因は『先天性緑内障』とのこと。

高い眼圧によって眼球が拡大し、流涙や羞明、眼瞼けいれん、角膜(黒目)の濁り、牛眼(黒目が大きくなる)などの症状が現れます。

手術が第1選択です。

適切な治療をしても、視力障害を伴うことが多く、生涯にわたって検査・治療が必要です。

 

患者さんはほとんど赤ちゃんなので、検査・手術は、催眠剤や全身麻酔下で行います。

第1子を産んで、大学病院復帰したときには、そういう小さな患者さんに我が子を重ねて、胸が痛みました。

 

さて、グランプリの漫談動画を見ると…

例えば、冷たいコーヒーが欲しかったのに、自販機で押して出てきたのは、熱いおしるこだった!

この暑いのに~。

でも、意外といけた。

 

駅の階段の数まで教えてくれた親切なおばちゃんが、言われた段数上がったところで『間違えた。あと5段あったわ』

(視覚障碍者の)自分にとって、その誤差は大きいけれど、おばちゃんは『サプライズや』

 

などなど、自分の視覚障害体験を基にした自虐ネタがほとんどです。

 

笑いに引き込まれつつ、眼科医としては『そうよね~』と共感と学びでした。

一般のお客さんからしたら、笑いつつも『(障害を)笑っていいの?』という思いがよぎったり、視覚障害の現実を『そうなんだ』と認識したり、と少々複雑かもしれません。

 

しかし、漫談は間違いなく面白い!

濱田さんが、笑いのバリアフリーを実現してくれることを期待しています。

 

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2017.11.7 人間ドッグ

人間ドッグを受けてきました。

毎年恒例です。

1年に1回受けておけば、もし今年何かあっても前回から1年の変化、見つかっても早期のはず。

 

医師会お勧めのスタンダードコースを。

 

脳ドッグは先日済ませたので、本日はなし。

 

検尿・血圧・脈・身長・体重・血液検査

便潜血・子宮がん検診

 

眼科検査は、視力(ドッグ用に一番見える眼鏡で)・眼圧(空気がプシュッと目に当たります。苦手な人が多い)・眼底写真。

 

眼科医としては、人間ドッグで眼底写真は、ぜひ受けていただきたいです。

緑内障は40歳以上で17人に一人。

『視神経乳頭陥凹拡大』とか、『網膜神経線維欠損』が出た場合は、『緑内障』疑いということ。

速やかに眼科で精査を受けましょう。

 

聴力・肺活量

胸部レントゲン

心電図・動脈硬化の検査

肝胆膵のエコー

 

苦手第2位のマンモグラフィー(乳がんは日本人女性の癌罹患率の1位です)

1年に1回乳房への拷問かと思うくらい、ぎりぎりまで上下、左右に挟まれ撮影されます。

小乳房の自分でも十分痛いので、大きなバストなら痛みはもっと強いかも。

『痛くないですか?』の技師さんの問いに『大丈夫です』と答えつつ、『早く撮り終わって~』と念じます。

よくぞここまで平らに乳房が…技師さんの腕でしょう。

 

最後に苦手第1位の胃カメラです。

造影検査は、初めてのバリウムで気持ち悪くなって以来、恐怖心が。

代わりに胃カメラを受けています。

昨年からは経鼻です。

経口の時、カメラを飲み込むのに一苦労。

人より反射が強いようで『うぇ~うぇ~』看護師さんのお世話になりっ放し。

経鼻になってから、少し楽になりました。

『最初にカメラの通りやすい方の鼻を知っておくとよい』という知人のアドバイスに従い、昨年の経験から右で依頼。

胃カメラよりは楽ですが、やはり喉を通る時は、看護師さんにティッシュをもらい、背中をさすってもらい…という有様。

 

今年の人間ドックも無事終了。

ドッグの後に何を食べるか考えるのは楽しみです。

『パスタいいな~』と入ったお店のランチメニューに『1日10食限定ハンバーグ』

『やっぱり、肉よね~』

『デザートも美味しそう。朝から食べてないから気にしなくていいよね~』

お腹も満足。

 

結果が楽しみ?でもあり、不安でもあります。

 

1年に1回は身体をチェックする機会を作りましょう!

 

 

 

 

 

 

 

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2017.10.17 日本臨床眼科学会2017

東京駅を出た途端。

『寒っ!』

東京国際フォーラムまで徒歩で5~6分。

雨の降る中、傘をさして、震えながら会場へ。

この日の東京は11月中旬の気温だったそうで、なるほど…冷えました。

 

眼科最大の学会。

最新の発表や、シンポジウム、講習会などに参加することが出来ます。

また、最新の機械展示も見ることが出来ます。

 

今回気になったのは、ヘッドマウント視野計です。

通常、視野検査は、暗室で、非検査眼を遮蔽(しゃへい)して、片眼ずつ行います。

新しく開発された視野計は、ヘルメットとゴーグルを合わせたような被り型です。

重量約1.6キロなので、高齢者では、検者が補正や補助をする必要があるものの、ベッドの上でも検査可能です。

持ち運びが出来る・短時間で終了・暗室でなくても検査可能なことから、往診でも視野検査が可能になるかもしれません。

緑内障を経過観察する上で、世界的標準モデルの視野計(当院も全てこの視野計です)との比較検討の発表もあり、新しい視野計の有用性も認められていました。

『往診にも使えるし、高齢の方にも良さそう』

まだ、大学病院クラスでも複数の施設にしか設置されていないとのこと。

気になる価格は…十分考えないといけない価格。

自分の「欲しいものリスト」に入れて、もう少し様子見かな~と、展示場を後に。

 

 

さて、今回のお楽しみは、息子との再会。

若者はいない、しっとりとしたお店を予約。

カップルはいるが、母息子の組み合わせは、一組のみ。

『息子とデートが出来るなんてね~』嬉しくてたまらない母(私)。

家では寡黙な息子ですが、落ち着いた雰囲気の中で、色々と話してくれました。

『すごく楽しかった。ありがとう。身体に気をつけてね~。そうそう、これ持ってって』

『何?』

手渡した大きな紙袋。

 

当日、早起きして、息子が普段食べられそうにない手料理をいくつか。

鶏手羽元の煮物、里芋の煮っころがし、煮卵、茹でた枝豆など、タッパーに小分けし、保冷剤を添付。

果物なんて買わないだろうからと、りんごにみかん、柿にキウイと、数個ずつ。

実家から送られてきた、ナスやピーマン、ししとうなど数種。

田舎者と思われないように、取っておいたブランドの紙袋の底を補強し、傍からは大きな荷物程度に抑えました。

『よくもまあ、こんなに持ってきたね~』あきれ顔の息子。

『そんなこと言わずに。名古屋から持ってきたんだから』

『まぁね~。じゃあね!』

後ろ姿をじっと見送った母(私)でした。

 

ホテルに戻ってしばらくして、『着いた。ありがとう』のライン。

早速スタンプ(絵)で返信。

胸キュンキュンの東京の夜でした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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