2020.6.2 高齢ドライバーの運転行動

某医療雑誌に『高齢ドライバーと医療』の特集。

 

ふだん、眼科医として、高齢患者さんと接することが多いのですが、必ず『運転していますか?』と尋ねるようにしています。

裸眼視力が悪くても、矯正視力(メガネ視力)が出るなら、眼鏡の使用を勧めたり…

矯正視力も出なければ、原因を見つけ、手術で回復できそうな病気なら手術を勧め…

手術で回復できそうにない病気であれば、運転をしない方が良いと告げ…

視力は良くても、視野の狭い・見にくい部分がある患者さんには、気を付けるポイントをアドバイスし…

 

加えて、名古屋市の『もの忘れ検診』(65歳以上対象)も実施しています。

 

高齢者事故には特徴があるそうです。

 

『運転行動に必要な情報の意味を読み取り、判断決定する情報処理に時間がかかる』ので

『複雑な状況下で、迅速な行動が要求されるとき』に問題が生じます。

結果、交差点での事故・右折事故が多いことに。

 

また、加齢による目の能力低下は、身体的には一番影響する要因です。

『動体視力の低下』(例・急な変化を捉えられない)

『暗順応の低下』(例・トンネルに入ったときに目が慣れない)

『幻惑の増大』(例・対向車のヘッドライトにくらむ)

 

さらに、過去の経験に固執し、自分の技能の衰えを受け入れず、若い時のままだと信じて運転する人もいます。

 

しかし、こういうマイナス面をカバーするために…

『自分には運転適性上の欠陥がある』と自覚した(これが大事!)高齢ドライバーば、それを回避しようと『補償的運転行動』をとるそうです。

 

具体的には…

70歳以上の80%以上の運転時間帯は昼間(9時から17時)。

→昼間より低下する夜間視力、ヘッドライトの眩しさや、暗所の見落としでの事故を回避。

 

同90%以上の運転エリアは、居住市町村と隣接市町村のみ。

→近場の慣れた道路なら、危険個所も熟知しており、事故を回避。

 

1週間の走行距離は、40歳代以下の半分以下。

→走行距離が短ければ、事故に遭遇する機会を回避。

 

高齢の患者さんの運転状況を聞いても、確かに、多くの人が上記のような運転行動をしています。

 

自分の能力低下を素直に受け入れられる高齢者は、柔軟性が高く安全に自動車を運転できる可能性が高いそうです。

 

そして院長も気づくと、少しずつ『補償的運転行動』が始まっていました。

脳機能も身体機能も運転特性も特別衰えているわけではありません。

それでも20代の頃よりずっと慎重に、落ち着いて運転するようになりました。

良い意味で、自分の運転技能を客観的に見られているのだと思います。

若い時、どうしてあんなに高速道路を飛ばしたんだろう?

追い越し車線ばかり走っていたんだろう?

渋滞だからって、なんでイライラしたんだろう?などなど。

お陰で?ゴールドカードが続いています。

 

自主返納の患者さんも増えてきました。

名古屋市は、公共交通機関も整備されています。

地下鉄やバスを使ってこそ、行きやすい場所もたくさんあります(当院もバス停横です)。

運転を辞めて、新しい発見や感動が見つかるチャンスが増えるかも!?と思うのもいいですね。

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2020.5.26 ステイホームで見すぎちゃう

院長のスマホは、週の始めに、先週のスマホ総視聴時間を知らせてくれます(元々そういう設定?)。

ステイホームになってから、スマホだけでなく、タブレットやPCを見る時間の増えたこと、増えたこと。

 

さて、しばらくぶりに来院される子供の患者さん。

『家でゲームしかすることなかった』『外で遊ぶの禁止だったから』『課題より、ゲームの方に行ってしまう』『ステイホームだと見すぎちゃう』

『そうよね~家の中じゃ、ゲームくらいだもんね~。でも、前回より少し近視進んでいますね』と院長。

『やっぱりそうですか。学校休校を良いことに、一日中ゲームでした』とお母さん。

 

生まれたての赤ちゃんは、ほとんど見えません。

しかし、1歳で約0.2に、2歳で約0.4に視力が発達します。

3歳になるまでに急速に視力は発達し、3歳時健診前後では約1.0になります(月齢個人差有り)。

就学前には約1.0~1.2に発達します。

視力だけでなく、眼球運動やピント合わせも急速に発達していきます。

何気なくしている『見たいものにきちんとピントを合わせる(調節)』『見たい方向に目を動かす』『見続ける(固視)』『細かい字を追って読む(追視)』も、目の発達過程で獲得するもの。

更に『たくさんの刺激の中から自分の見たいものを選択して見る(音もそうですね)』『微妙な、物の立体感がわかる』などもそうです。

身体を動かすことで、目との協調運動も高まります。

例えば、屋外で鬼ごっこをしたら、遠くの広い範囲を確認したり、鬼との距離を確認したりと、視覚と身体全体を使います。

 

ところが、スマホ・タブレット・PCなどを操作している時は、ほとんど身体を動かしません。

画面との距離も、一般の読書距離(30センチ)より短く、20~25センチ(もっと短い距離の人も)に固定されています。

ピント合わせも常に同じ距離のままです。

眼球運動も、小さな画面の範囲のみ。

 

近視の人は、多くが遺伝的要素によります。

しかし、最近では、近視人口が世界的に急増化していて、環境の関りも大きいとされています。

姿勢が悪く、対象物との距離が30センチ未満だと、近視が進行することが報告されています。

小さいうちから近くの物だけを見る習慣になると、姿勢も悪くなり、何でも近づけて作業をするようになってしまいます。

また、長時間の近くを見続けることは、近視進行を早めることも報告されています。

最近では、太陽に含まれるバイオレット光が近視進行を抑えることがわかってきました。

1日2時間以上、屋外で遊ぶと、親が近視でも近視発症率が抑制されたという報告もあります。

散歩でも、公園でのんびり(その間、スマホなどは禁です)でも、バイオレット光は十分に浴びられます。

 

早く学校が始まって、外で思い切り遊べるといいね!

 

今年度の学校健診はコロナの影響で、例年よりも実施時期がずれます。

担当の眼科健診は、学校再開後、出来るだけ早い時期に行う予定でいますが、もし、それまでにご心配なことがあれば、ぜひご相談ください。

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2020.5.19 ひょっとこ顔に!?

ある晩、右眼が『すーすー』

角膜に傷でも付いたかな?

最近は、飛沫感染予防にコンタクトでなく眼鏡にしているけど…

角膜保護剤の点眼をしておこう(眼科医ならでは自己診断治療)。

翌日も『すーすー』が続きます。

まぁ、若い人より回復力は遅いから…

 

と、その日の夕食時、唇の内側右寄りを2回噛んでしまいました。

『加齢で口の中の肉がたるんできた?』

 

翌朝、相変わらず右目は『すーすー』

洗面所でうがいをしようと、水を含んだら唇の右側から漏れます。

食後のコーヒーも気を付けて飲まないと漏れてしまいます。

唇の裏を確認し、腫れが原因?

 

診療後、長年連れ添うスタッフから『先生、右目、腫れてません?』

マスク姿なのに、よく気が付くわね~。

ものもらいや結膜炎はありません。

細隙灯顕微鏡で写真を撮ってもらうと、角膜に横方向の細かい傷が。

 

仕事終了後、鏡の前で自分の顔をしっかり観察。

このところ、マスク姿を良いことに、目元だけの簡単メイクだったので、顔をじっくり観察することも少なくなっていました。

もしや…と思い『あ・い・う・え・お』と大きく鏡の前で声に出して言ってみます。

やはり…

顔の動きが明らかに左右違います。

右の口角が上がらないので、『う・お』は顕著に左右差が。

右目は腫れているのではなく。右眉毛が上がらない(下がっている)ので相対的に右瞼も下がり腫れぼったく見えます。

両眼をつむってみると、右眼はしっかり閉じず隙間が出来ます。

この隙間に一致しての角膜の傷でした。

いずれの症状も、顔面神経支配の顔面の筋肉が上手く動かないからです。

 

『大変!顔面神経麻痺になっちゃた!』

『どれ、どれ~』と家人。

顔面神経麻痺の患者さんを診断するときのルーティンを妻(私)にもして、『確かに、顔面神経麻痺だね~』

『耳痛くない?』発疹はなし。

『ヘルペスは出ていないみたいだね。もう一度、あいうえお、やってみて』

『あ・い・う・え・お』

『ホントに、ひょっとこ顔だね~』

同業者ならではの言葉に、納得。

『ひょっとこ』は火吹き竹で火を吹く顔が、顔面神経麻痺のようだと言われています。

 

声を聞きつけて、息子が。

『すごい!実物、初めて見たわ!もう一回やって。すげぇ、すげぇ。もう一回!』

『あ・い・う・え・お』

赤ちゃんを喜ばすように、何回もやってみせる愚母(私)。

『一生忘れんわ』と、息子。

 

顔面神経は脳から発し、側頭骨の中の顔面神経管を通り、顔面に分布しています。

多いのは顔面神経管の炎症(ヘルペス感染のほか、疲労・ストレスなど)による、『ベル麻痺』と言われるものです。

他に、骨折などの外傷・脳腫瘍や耳下腺腫瘍が原因となることもあります。

 

幸い頭蓋内は異常なし。

ヘルペスの所見もなく、ステロイドと神経賦活剤の内服となりました。

『日本酒飲みますか?』と受診先の先生。

繊細な味を舌先で味わう日本酒を嗜む場合、舌先も顔面神経支配なので、違いに気づくそうです。

『3か月で8割は治癒しますから』

常識的なことを言われても、『ということは、2割は治らない?このままだったら、どうしよう?』と、急に患者サイドでまだ起こりえないことを考えてしまします。

顔面神経麻痺でしっかり閉瞼できず、角膜障害のひどい患者さんを多く見てきました。

『どうしよう?』

 

しっかり服薬。

激しい運動を休んで、ゆっくりとした生活を。

鏡の前で『あ・い・う・え・お』リピート。

1週間単位で徐々に改善。

 

マスクのお陰で人には気付かれず、約1か月で完治。

完治したからこそですが、良い体験でした。

今も毎日『あ・い・う・え・お』確認の院長です。

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2020.5.12 WEBで学会

3月初め、4月の日本眼科学会総会は会場開催中止、WEB開催に変更となりました。

その後、5月、6月、7月の他の学会も全てWEB開催となり、現地の会場へ足を運ぶ必要はなくなりました。

参加登録費は必要ですが。

 

さて、初めてのWEB学会。

日本眼科学会総会は、秋の臨床眼科学会と並ぶ2大眼科学会です。

今回は東京で開催予定でした。

 

厚みのあるプログラムはいつものように送られてきます。

その後、開催間近になると、ログインIDとパスワードが送られてきます。

 

当初の学会開催時期より約2週間遅れで配信開始となりました。

 

パソコンの前に座り、ログインして、視聴ページに到着します。

日付、会場、演目などで検索すると、該当するプログラムが出てくるので、そこをクリックすれば視聴できます。

スライドを次へ次へとめくっていくのですが、音声付きのもあります。

演者の顔は見えません。

質疑応答もありません。

しかし、自分のペースで、スライドを進めたり、戻すこともできます。

集中力が続かなくなると、一旦休止することもできます。

また、リアル学会では、同時刻に一つの会場でしか聞くことが出来ないのですが、WEBでは同時刻の他の演目も視聴することが出来ます。

視聴期間は2週間(先日もう1週間延期決定)。

特別講演、指名講演、シンポジウム、教育セミナー、日曜日特別講演、外国人招聘講演に加え、一般演題が513題。

GWは、自宅でWEB学会→集中力低下し休憩→WEB学会。

休憩の方が長くなってしまいがちでしたが、かなりの演目を視聴することが出来ました。

 

勉強できたのは良い、見返しも可能、時間とお金の節約(休診・代診・交通費・宿泊費など)。

 

でも…いつものような高揚感がありません。

 

大きな学会は、『行くぞ!』と気合の入るイベントです。

限られた時間の中で、いかに自分にとって聴きたい題目に集中し、多くの知識を得るか。

少しだけ合間にお楽しみを入れるのもコツです(今回はホテルで朝ごはん女子会の予定でした)。

大いに勉強し、興奮し、リフレッシュし帰名。

が、いつものパターン。

 

WEB学会で通常より多くの演題を視聴出来ました。

でも、自宅で…ということからか、緊張感ゼロ。

服も普段着以下だし…(学会へは気合を入れて装います)。

誰もいないので、飲食物持ち込み自由だし…(会場では禁止です)。

臨場感ゼロ…が一番の欠点。

 

今後どっちに向かうのかしら???

 

WEB学会とは別に、先日、病診連携先の病院の勉強会がZoomを通して開催されました。

ビデオ会議システムは初の院長(私)。

病院の会議室、東京の演者の部屋、別の演者の部屋と3会場からの中継でした。

参加者は、自分の映像を付けても切ってもOK。

開始は20時過ぎだったので、院長は普段着に。

敢えて?間違えて?自分の映像を映している参加者は、視聴者に映るので『〇先生ってああいうTシャツ好みなのね』とか『〇先生の居間なのかな~』なんて思ったり。

『あくびしてる』とか、『何かお疲れモードみたい』とか表情の観察をしたり。

それでも、質疑応答も出来、リアルタイムで、会場に行かずして講演を聞けたことは有意義でした。

1時間半くらいならZoom歓迎です(院長私見)。

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2020.4.28 Let’s exercise! 運動しよう!

*2001にワープしています*

 

この数年間、妊娠出産育児と慌ただしい毎日で、運動どころではありませんでした。

しかし、三男の夜間数時間おきの授乳がなくなり、寝不足で診療せねばならなかった時期も過ぎると、運動不足を意識し始めました。

開業医&3児の母としての体力と健康は、特別なことをしなくてもキープしてきましたが、今後も維持するには、意識的な『運動・体力作り』が必要と思った次第です。

 

手っ取り早いのは、ウォーキングです。

扇川沿いの歩道はウォーキングに最適。

しかし、我が家の場合、仕事以外で一人で外に出ることは困難な状況です。

子供たち(保育園児)が絶対ついてくるからです(母大好き)。

ウォーキングではなく、母と子のお散歩タイム(これはこれで幸せな時間です)になってしまいます。

体力作りには…ということで、ウォーキングは没に。

 

本格的となれば、スポーツクラブです。

ちょうどクリニックから車で5分くらいの所にジムがあります。

ただ、仕事柄、そこそこ顔が知られてしまっています(地元開業医なので)。

会員であるスタッフは、良く患者さんに出会うと言います。

運動姿を見られ、汗をかいて化粧の落ちた顔を見られ、再び着替えてメイクをした(している)顔を見られ…

想像しただけで億劫になり、入会する気が失せてしまいました。

遠方のジムは、顔見知りがいないものの、昼休みに家事をする時間も必要なので、諦めざるを得ない状況です。

 

で、そういえば…

と、思い出したのが、納戸に放ったままになっていた夫のエアロバイクでした。

早速、居間に運んでもらい、新しいシューズも購入しました。

 

居間にエアロバイク?

ついこの前までは、子供用のプレイジムや、乗り物が置いてあったので、それがエアロバイクに置き変わっただけ。

と思えば、それ程違和感もないような…?(元々雑多な居間です)

 

いつ時間を捻出するか?

誰にも邪魔されず、すっぴんでもいい時間。

朝型の私は、いつもより30分早起きをすることにしました。

5時半起床。

 

初日、定時起床、30分間エアロバイクを漕ぎました。

ヘトヘト…

しかし、3日は続けるぞ!という気合で1週間続けました。

そして、1か月続きました。

やがて習慣化し、約1年になります。

負荷も少しずつアップし、距離で約10キロ走っています。

 

テレビを付けたり、少し暗めにしてジャズをかけてみたり。

夏の朝は窓を全開にして涼感を味わったりしながら。

バイクを漕ぎ始め10分過ぎると、汗がじわじわ吹き出してきて、ややつらいけれど気持ちの良い状態に入って行きます。

更に、アドレナリン放出のせいか、ランナーズハイ(未だ経験なし)?に近いような…?

そして30分経ち、終了と同時に汗が滴ります。

シャワーを浴び爽快に一日が始まります。

 

我が家で一番良い場所に置いて正解でした。

子育てにもう少し余裕が出来たら、腹筋マシンも欲しいな…

 

自慢できるほどの運動ではありませんが、毎日のライフスタイルに組み込まれ、エアロバイク無しでは物足りない生活になっています。

もっとも、本格的に運動している人からは『なんだ、それくらい』と言われそうですが。

あと30年は続けたいと思っています。

 

Let’s exercise!

 

:2001.11保険医協会新聞に寄稿:

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三男が2歳になった頃から、始めたエアロバイク。

あれから20年、運動はますますエスカレートして継続中です。

現在の院長は、当時より脚力・腕力・筋力全体に増加。

体内年齢は31歳。

その変遷は、別の機会に。

 

こちらもぜひ、ご覧ください

どっぷり、がっつり 

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2020.4.21  鮟鱇とアンコウ

冬の鍋の中でも、特に美味しいのは鮟鱇鍋です。

グロテスクで地味な深海魚でありながら、ほとんど捨てるところのない身は『あんこうの七つ道具』と呼ばれ、鍋に味と深みを持たせます。

食べてみなければわからない魅力があります。

 

私のニックネームは鮟鱇ならぬ『アンコウ』でした。

旧姓名を『あんどうこう』といいます。

これが縮まって『アンコウ』となっただけなのですが、小学生の頃からなので結構長いのです。

医師になってからも、安藤姓が重なったのもあって『アンコウ先生』で通ってきました。

それ故、鮟鱇には愛着があり、我がクリニックのロゴマークも『アンコウ』にしました。

20年以上フリーハンドで描いているのでお手の物です。

 

ところで『公(こう)』という名前は、当時は個性的かつ男性的。

女の子は『○○子』『○○み』が主流だったので、ひどく同級生の名前がうらやましかったものです。

名前だけでは男性と判断されるので、今でも、診察時に顔を合わせて初めて『女性院長』だと知る患者さんもあり、受け取りのサインの時など本人かどうか聞かれることもあります。

しかし、一度覚えてもらえれば忘れられにくい、という利点はあります。

今は、この名前が大好きだし、姓が変わっても『アンコウ』のニックネームは捨て難いのです。

 

今冬は、ぜひ夫と美味しい鮟鱇鍋を食べに行き、『鮟鱇』と『アンコウ』の魅力を再認識させたいものです。

とは言っても、4歳を頭に3人の子持ちの身としては、ゆっくりと鍋もつつけないのが現状ですが。

2001.1保険医協会新聞に寄稿

 

:参考:鮟鱇の七つ道具とは…
鮟鱇の可食部分
肉・肝・水袋(胃)・ぬの(卵巣)・えら・ひれ・皮
鮟鱇は骨以外、捨てるところがない無駄のない魚と言われている

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整理整頓の時間が出来、引き出しの奥から当時の切り抜きが出てきました。

20年前にタイムスリップです。

20年後にもう一度読むとは想定外でした…

 

30年以上前、家人が研修医の時に、指導医に連れて行ってもらった鮟鱇鍋のお店は『絶品だった』と今でも言います。

1年先の予約をする常連さんのお店だったそうですが、『納屋橋』あたり?場所も店名も不明。

2人で探したのですが、結局見つけることが出来ませんでした。

 

我が家では、冬になると、自宅で鮟鱇鍋が定番です。

『美味しいけど、食べにくいわ~』と息子たち。

『食べにくいから美味しいのよ~』

鮟鱇&アンコウの深い魅力です。

その魅力は、この20年で‛より’味わい深くなっていると信じたい『アンコウ』先生(院長)です。

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2020.4.14 『あいうえお』から

ここのところ、スマホ・PC・読書・テレビの時間が増えています。

 

リアルタイムのテレビ視聴は、3月までの朝の連続ドラマのみでしたが、最近はNHKニュースは欠かさず。

最近の重大会見では、同時手話通訳も行われています。

 

あちこちチャンネルを替えてみたり、番組欄をよく見るようになると、NHKのEテレも興味深い番組が多々。

『見つかる、見つかる、見つかるEテレ♪♪』というフレーズを口ずさんでしまう院長。

 

ある日、手話の番組を目にしました。

手話にマスクは困るよね…

 

ふと、思い出したのは、国立リハビリセンターでの『障がい者スポーツ医』講習会。

新型コロナの話題が出始めた頃。

聴覚障害スポーツ担当講師(耳鼻科医)から、聴覚障がい者はマスクがあるとコミュニケーションが取りづらい話を聞きました。

だから、平時の診察時はマスクはしない。

手話が、単に手の動きだけではなく、顔の表情も大きく関わってくるからです。

なるほど~

 

当院には、4人の先天性聴覚障害の患者さんが、今までに来院されています。

意味として聞き取りが出来る発語の方も、そうでない方もみえます。

言葉を知らない外国の人と意思疎通するような、大きな身振り手振り、表情を駆使しコミュニケーションを図ろうとする院長ですが、細かなことは筆談です。

短い時間で会話のすべてを文章で書くのは難しいので、単語か、短文になります。

『困っている』とか『嬉しい』『安心した』という表現は、患者さんの表情や身振りからも推定。

患者さんも、院長の身振りと顔の表情、口の動きで理解しようとしてくれます。

 

Aさんは、20年以上お付き合いのある患者さんです。

ほぼ1~2か月おきに来院されます。

身振り手振りと表情で大まかにコミュニケーションを取り、その後、筆談で診察の結果や薬の確認をします。

Aさんが院長の白衣から覗く服を褒めてくれたり、Aさんの新しいカバンに気づいたり…など診療以外のコミュニケーションもあるのですが、手話の使えない院長は、見た(見えた)感じで判断しています。

発語の際は、手話も伴うことが多いのですが、表情を読み取るのに精いっぱい。

 

そんな経緯もあって、早速テキストを購入。

 

『手話』は手の動きなどを使ってメッセージを伝えあう『視覚言語』です。

目を合わせて会話し、眉の上げ下げや目の見開き・細かい首振りも重要な役割をします。

手話にも単語と文法があり、それをまず覚えないといけません。

ふだん使っていない指の動きは、なかなか難しいものです。

 

まずは『あいうえお かきくけこ』まで。

繰り返し、指を曲げたり伸ばしたり。

家人に『あいうえお かきくけこ の中から何か単語言って!』

『こう』(手話の単語で表現する院長)

『いけ』(同上)

『かき』(同上)

『おかき』(ちょっと待って~と、テキストで確認する院長)などなど。

子供がひらがなを習い始めた時のようです。

今から覚えられるかしら?

 

『久しぶり』

『元気』

『さようなら』

『お願い』

『〇歳です』出来る挨拶は、まだこれだけ。

 

手話の道は始まったばかりですが、道のり険しそう…

 

まずは、手話でAさんに挨拶(だけ)してみます。

 

こちらもご覧ください

障がい者スポーツ医

GW10連休前半

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2020.4.7 ラーメンとノスタルジー(郷愁)

テレビで袋インスタントラーメンの特集をやっていました。

『どうしても食べたい』その気にさせる番組、恐るべし。

独身時代以来の購入。

選んだのは5種類。

 

まずは、一人のお昼ご飯に。

インスタントラーメンだけでは、何か栄養バランスが悪い気がして、ゆで卵と野菜を添えます。

『出前一丁』

最後にごまラー油を回しかけると、しょうゆとごまラー油の混ざった香りが、小学生の私(院長)を呼び起こします。

当時、土曜日は午前授業でした。

土曜のお昼は、仕事で不在の母に代わって祖母が用意してくれたのですが、『出前一丁(具は思い出せない)&ご飯』が定番。

『小学生・祖母・土曜日昼ご飯』と脳内を検索すれば『出前一丁』の懐かしい味と思い出です。

 

次に用意したのは、『チキンラーメン』

丼ぶりに熱湯を注いで3分。

まだ固まっている麺をほぐすと、麺にしみこんでいるスープがお湯と混ざっていきます。

『出前一丁』に比べ、やや塩辛くって、ジャンクフード的な味が、今度は別の私を呼び起こします。

まだ保育園か小学低学年の頃、剪定に来る庭師さんは、お昼になると、よく丼ぶりとお湯を祖母から借りていました。

丼の中には、ラーメン(持参と思われる)が入っており、祖母がお湯を入れて蓋をして渡します。

数分待ってから食べている様子が、とても美味しそうでしたが、家では絶対出ませんでした。

味を知らないまま、祖母が亡くなってずいぶん経ってから、ふと、チキンラーメンを思い出し、買ってみました。

期待ほどでなかった(個人的感想)…

今回も、やはり同様な感想。

やっぱり、鍋で調理する手間がいるインスタントラーメンの方が美味しく感じました。

 

カップラーメンを始めて食べた時の衝撃も思い出しました。

小学3年生の時、5,6人で担任のY先生(おそらく50代)のお宅に遊びに行った時のこと。

お昼になり、子供たちの前に並べられたのは、『カップヌードル』

先生は、紙のフタをめくると、やかんから熱湯を注ぎます。

『何だろう、何だろう?』鍋で作るインスタントラーメンしか知らない田舎の子供たちです。

カップ麺の前に鎮座。

タイマーが鳴ると『食べて良いですよ』

カップの中には出来立てのラーメンが。

しかも、初めて見る具が。

『すごい、すごい!』大興奮して食べた初カップラーメンの感激は、今も覚えています。

Y先生、お元気でしょうか。

 

別の日に、食卓に出したのは『サッポロ一番』シリーズ。

『珍しいね!どうしたの?』

スーパーの生麺のラーメン・ご当地ラーメンは作りますが、インスタントラーメンを食卓に出すのは初めて。

家人・子供たちは、一人の時や友達とインスタントラーメンは結構食べているはずですが。

ゆで卵・ニラ・ネギ・ニンジン・キノコ・豚肉などをトッピングして、一応手を加えます。

『味噌』『しょうゆ』『塩』

 

『小さい頃、どれ食べてた?』

『しょうゆ』

『うちも、しょうゆ味だけだった』

東海地方では、当時(しょうゆ1966年、味噌1968年、塩1971年発売)はまだ、しょうゆがスタンダードだったのかもしれません。

親世代がたまたま味に保守的だっただけかもしれませんが。

 

しょうゆは、ごく一般的な味。

味噌は、芳醇な香りとコク。

大学生の時、北海道で初めて現地の味噌ラーメンを食べて感激したことから、味噌も自分にとって馴染みが出たのでと思います。

塩は、白く洋風も思わせるコク。

別添のゴマをかけると更に風味が増します。

思い切ってバターを固まりで投入。

カロリーを気にせず更なるコクを楽しみます。

もちろんスープは全部飲み干さずに(オバサンは健康に気を付けます)。

 

何でもない、インスタントラーメンが、遥か彼方にあった記憶を呼び起こしてくれました。

ノスタルジーに浸るオバサン(院長)。

一袋98円のラーメンで、これだけ回想出来る幸せなオバサンです。

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2020.3.31 ハリネズミかイノシシか

食器の展示や売り場を見るのが好きな院長です。

子供たちが小さい頃は、童話や戦闘物のキャラクター柄もありましたが、子供の成長とリフォームを機に処分。

今は、大部分が白の洋食器、オープンストック(いつでも単品から買足しが出来るロングセラーシリーズ)で統一されています。

美的センスに乏しいので、白は何にでも合って、盛り付けに手間取りません。

食洗器にかけられることも、時短家事の最優先事項。

和食器・漆器の出番は、手洗いを考えると、心に余裕のある時に…となります。

 

先日、近くのお店の食器売り場を散策。

目に付いたのは、横向きのイノシシ柄の小皿と小鉢。

白地に紺の線で小さなイノシシが3種類、柄になって描かれています。

紺の線で描かれたイノシシ、紺で塗られて中に白抜きのあるイノシシ、輪郭の中全て紺の縦線で塗りつぶされているイノシシ。

院長は、好きな動物(飼いたいとは思わない)が数種類あり、そのうちの一つがイノシシです。

すぐ隣にブタがあったのですが、全く心惹かれず。

 

食器を買う時は、慎重になる院長ですが、値段がとても手頃だったのと、サイズが小さく(直径10センチほど)スペースを取らないと判断。

チョコやクッキーを入れるおやつ用にぴったりだわ、と購入。

 

さて、家に帰って、小皿と小鉢を洗おうとして、裏を見ると『ハリネズミ』と書いた小さなシールが。

『?』

財布からレシートを出してみると、『プレート(ハリネズミ)』『ボウル(ハリネズミ)』の印字が。

『これって、ハリネズミだったの!?』

 

家人に買ってきた小皿と小鉢を見せます。

『この動物、何だと思う?』

『イノシシでしょ?何で?』

かくかくしかじか…

『まあいいじゃん!イノシシに見えるんだし…』

 

後日、もう一度、そのお店に行って、店員さんに尋ねます。

『これって、何の動物でしょうか?』

『少々お待ちください。(皿をひっくり返して)ハリネズミですね』

『そうですか…』(それはずるい~)

 

家人のみならず、もう少し広げて確認します。

『何に見える?』

『イノシシ』

『違うの。ハリネズミなんだって』

『え~!?そうなんですか!?』

 

院長周囲は、イノシシ派が圧倒的(10人中8人)。

ハリネズミと答えた2人にびっくりです。

今回購入したハリネズミがイノシシに見えるのを院長独断検証。

イラストのハリネズミの針が楔形で針を連想しにくい(イノシシの毛並みに見える)。

白地に描かれたハリネズミは、針部分(胴体)と頭部分の境がなかった(よくよく見ると、紺地の方は境目があるようにも見えるが)。

前足・後ろ足の幅が広く描かれ、走っているように見えるので、ハリネズミのちょこちょこした感じより猪突猛進のイノシシをイメージしてしまう。

 

いずれにしろ、食器のイラストレーターはハリネズミを描き、購入者(院長)はイノシシと信じて購入。

気付かなければイノシシのまま。

それでも、使う度に、ハリネズミVSイノシシと柄を見てしまう院長です。

 

描いた人と見る人の捉え方の違い…

 

そういえば…当院のマスコットキャラクター『あんこうちゃん』も。

看板にも診察券にも、描かれているアレです。

当初『くじら』のマークとよく言われました。

『違うんです、あんこうです。ちょうちん(イラストでは☆)が付いていますよ』

『でも、海の上に浮かんでいますよね~』

『ハイハイ、確かに』

 

院長小学6年生時の自作のイラストです。

当時、芸能人のサインを真似て、自分のサインを描くのが流行り、その一環で、自分のマスコットキャラクターを作ったような…(その後、一度もサインする機会はありませんが)。

卒業文集の裏表紙のカットに採用されました。

『あんこうちゃん』はその頃から、進化成長せず今に至ります。

突っ込みどころ満載ですが、これも見方は自由です。

ハリネズミのこと、言えません。

 

自分にとっては、イノシシの小皿と小鉢。

おやつタイムに大いに活用したいと思います。

こちらもご覧ください

カテゴリー:クリニックに関すること 公センセの日常の出来事

2020.3.24  MCIって?

先日、『名古屋市もの忘れ検診』について告知したところ、検診を受けられる方が増えています。

当院まで、ほぼ自力で通院。

受付後、視力検査をし、時には視野検査や画像検査もしてから診察。

この間、必要事項だけでなく、何気ない会話が成立している眼科の患者さんは、しっかりされている方が多いように思われます。

 

『もの忘れ検診』のパンフレットを見せると…

『うん、うん。気になってたのよね~最近、良く忘れるし』

『大丈夫だと思うけど、受けて、確認してみようかな~』

『私より、お父さん(夫)の方が心配なのよね~』などなど、様々な反応がありますが、概して検診意欲あり。

もちろん、なかには『結構です!大丈夫です!』ときっぱりと拒否、もしくは『そのうちに…』との先延ばしの返事もありです。

 

難しいことは何もなく、簡単な質問に答えていくだけです。

同居家族の方が、医療者より検診を受けられる方のことを良く知っていることが多いので、夫婦・家族などで質問に答えることも有意義です。

 

『今いるところはどこですか?』

『はせこうさん』(はせ川こうクリニックは結構短縮で呼ばれています。院長を示す場合もあり)

『緑区兵庫』(近所だと地名までわかります)

名古屋市。日本。地球。など、どれも正解です。

 

『一人で買い物出来ますか?』

『いつも嫁さんが買い物してくるから、一人で買い物なんかしたことないな』こういう答えもあります。

 

『入浴は一人で出来ますか?』

『当たり前じゃない。誰かと一緒なんて、お父さん(夫)とでも嫌だわ~』

 

想像を超えた返答が他にも多々…

 

生活に関する質問は、検者や配偶者・家族との関係も垣間見えて、更に世間話的に広がりが出ます(検診後)。

そういった一連の検査結果を集計し、判定します。

 

『認知症の低下は認めない』

『認知機能低下の可能性あり』

『認知機能低下がある』

 

いずれかの結果を伝えます。

『検診受ける前は、ドキドキだったわ~』

少しでも認知機能低下がみられれば、精密検査を推奨します。

 

積極的に検診を受けられる方、80歳近くになっても仕事を持っておられる方は『認めない』傾向にあります(当院調)。

 

『もし認知症だったら怖いから、受けない』と乗り気でない方があります。

実は、いきなり『認知症』になるのではなく、その手前には『MCI:Mild Cognitive Impariment 軽度認知障害』が存在します。

正常な状態と認知症の中間です。

 

アルツハイマー型認知症の原因物質アミロイドベータは、アルツハイマー型認知症を発症する20年位前から蓄積されていると言われています。

MCI(軽度認知障害)の段階でも、脳内にはかなりのアミロイドベータが蓄積しています。

しかし、MCI(軽度認知障害)の時点で早期発見することで、適切な対策や治療で発症を遅らせられる可能性があります。

そのためMCI(軽度認知障害)の早期発見が重要なのです。

 

これは、緑内障でも言えます。(←話は飛びますが、眼科専門医からのメッセージ)

患者さんが、見え方の異常を自覚して来院された時には、中期から末期になっていることがほとんどです。

他の理由で来院されても、リスクや怪しいサインがあれば、緑内障の精密検査を勧めます。

緑内障の前段階の『前視野緑内障』の病態も、注目されています。

40歳過ぎたら、緑内障(前視野緑内障)に注意!

 

早期発見すれば早期治療が可能です。

気軽に検診受けてみませんか。

 

こちらもご覧ください

名古屋市もの忘れ検診

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