2020.12.8 再び1年生

昨年、日本医師会認定産業医を取得した院長。

 

眼科では、パソコン業務の患者さんが多く来院。

ドライアイだったり、近くのピントが合わなかったり、眼痛だけでなく頭痛や肩こりもあったり…

眼科としての原因、治療はもちろんですが、話を聞いていくとその要因は様々です。

職場環境の問題だったり、運動不足だったり…

眼科以外の興味は広がるばかり…

スポーツ医も産業医も眼科医療を基に、その派生で取得することに。

 

さて、本業ではなくとも、資格は持っているだけでは宝の持ち腐れ。

アウトプットしてこそ。

昨年暮れから、産業医の就職活動を始めました。

産業医の関わる産業保健の目指すところは、ひと(従業員)の作業の適応とその仕事へのそれぞれのひとの適応です。

誰を適切な作業につかせ、どんな作業を誰につかせるか。

 

事業所の規模によって専属産業医か嘱託産業医かが決まっています。

院長は、もちろん嘱託産業医。

 

実は、就職活動は初めての院長です。

大学卒業後、そのまま医局へ。

あとは医局人事で動き、開業。

なので、初めて顔写真付きの履歴書を作成。

動機・アピール欄もしっかり記入。

 

当初、すぐに採用されるでしょうと思いながら応募するも撃沈。

遠いところは…

この職種は聞いたことない…

なんて言っていたら、いつの間にか夏も終わりそう…

自分は、産業医1年生、謙虚に。

ただし眼科臨床医としての実績はあり、人生経験もあり。

これをアピールして?採用が決定しました。

 

担当するのは、スーパーマーケットの系列2店舗です。

どちらも、県内とはいえ、自宅から片道1時間半弱。

勤務日は、当院休診日です。

産業医1年生。

イメージがわく職種に、採用されるだけラッキー。

小旅行と思えば、通勤時間もまた楽し。

 

当日は、約束の約40分前に到着。

スーパーマーケットなので、院長(主婦)には馴染み深いお店です。

職場巡視は職務として行う予定ですが、まずはお客として視察。

広くてきれいなスーパーです。

鮮度もいいし、種類も多いし、名古屋よりいくらか安い。

が、仕事前に買い物はいけません。

ぐるぐるとカートを押しながらも、買うのは、小さくて軽いお菓子くらいに。

出入り口には、お客様の声と店長からの回答が貼ってあります。

店長の顔写真もあり、『この人が、これからお付き合いする方ね~』

 

時間になり、先ほどの店長と本社の総務に初対面。

どんな職種があり、どのような人たちが働いているかを聞きます。

今回のメインは、健康診断結果の事後措置の決定です。

健康診断結果を見て、精密検査をしたほうがいいとか、勤務に差し支えがあるかどうかなどを、判定していきます。

最後に、判定の責任者として『産業医・長谷川公』の判を押印したときは、産業医初日の感慨が…

 

その後は、職場巡視をします。

スーパーのバックヤードを見て歩きます。

興味津々。

良好な点や、改善推奨点などを記載し、報告書を提出します。

安全衛生委員会の議事録も確認します。

あっと言う間の初出勤日でした。

 

『うちの寿司は、鮮魚コーナーで握っているから自信を持ってお勧めします』

店長さんの言葉に、勤務終了後、堂々と?お客として買い物。

夕食はお寿司に決定!

 

初出勤、うまく仕事できたのかな~?

 

後日、聞くところによると、なかなか手際も良かったとのこと。

 

企業(と従業員)のお役に立てられるよう、再び1年生から頑張ります!

 

カテゴリー:健康 公センセの日常の出来事 産業医 眼に関すること

2020.12.1 女医なんですけど…

糖尿病の3大合併症は、『神経』『眼』『腎臓』の障害です。

眼科医は、糖尿病の患者さんに眼合併症が出ていないか、出たらどうするかを考えながら診療をしています。

『HbA1C(ヘモグロビンAワンC)はいくつでした?』(糖尿病のコントロールの指標になる値です)

毎回、尋ねます。

即答する人、血液検査の結果や糖尿病手帳を提示する人、『まあまあだね~』『いいんじゃない』『忘れた』『最近採血していない』など色々です。

眼の合併症では、一番は、網膜出血です。

点状の小さな出血が数個から多数に。

白い点状の斑点が数個から多数に、ベターっとしたものに。

悪い血管が生えてきて、破れて出血を繰り返したり、前方にも出血したり…

軽症の場合は、糖尿病のコントロールをしながら、経過観察です。

進行すると、レーザーで網膜を焼いたり、目の中に注射をしたり、大掛かりな手術をすることになります。

重症化すると、悪い血管が茶目にも生えてくるので、眼圧が上がって、緑内障を引き起こします。

また、白内障も進行しやすいです。

 

数年前から通院中の糖尿病のAさん(70代男性)。

院長:『HbA1Cいかがですか?』

Aさん:『○○(値)上がってしまって、薬が追加になりました』

院長:『あれま~!おやつとか結構食べてます?』

Aさん:『おやつは食べないです。ご飯も1日2食だし…』

院長:『アルコールはいかがです?』

Aさん:『まあ、それは毎晩ですね~焼酎をね。内科の先生には、やめろって言われるけど、これが楽しみで生きているからね~』

院長:『そうですか…1日のお楽しみですもんね~どのくらい飲まれますか?』

Aさん:『いつも3杯かな。水割りかお湯割りだけどね』

院長:『いつもより少し薄目に割るとか、たまに1杯減らすとか…は出来そうですかね?』

Aさん:『そうだね~…』

眼の合併症もなく、視力良好なことも確認。

 

Aさん:『ちょっと聞きたいことがあるんですけど…』

院長:『何でしょう?』

Aさんが話し始めたのは、下半身のお話。

ふむふむ。はい、はい。

Aさん:『糖尿病と関係ありますか?』

院長:『糖尿病による神経障害の影響が大だと思いますよ。加えて、加齢も。糖尿病のコントロールをしっかりして。それから泌尿器科かな…。Aさん、こういう話は内科の担当の先生に話したほうがいいですよ。眼科医より』

Aさん:『そうだけど…(病院の)担当医は女医さんなんで、こういう話は…』

院長:『(目が点!)Aさん、私も女医なんですけど…知ってました?顔、見えてますよね?』

Aさん:『…そうなんだよね~こう先生も女医さんなんだけど…違うんだわ。とりあえず、糖尿病治療頑張るわ。聞いてよかった』

Aさん、すっきりした顔で診察室を退出されました。

 

『女医なんだけど…』の後は?

オバサン(内科担当医は若き女医?)だから?

ちゃきちゃき・サバサバしているから?

医師として、かかりつけ医としての経験と信頼がそうさせたなら大変うれしいことです。

 

名前では男性に間違われますが、見た目で間違われたことはありません。

オバサン院長は、性差を超えて頼りにされる、チャーミングな医師を目指しています。

カテゴリー:公センセの日常の出来事 眼に関すること

2020.11.24 加齢と色覚

先月東京で開催予定の臨床眼科学会はWEBで開催。

約1か月にわたり、14会場4日分の講演を視聴することができます。

 

最近は、高齢化に伴い、人生100年時代に備えるべくの眼科的話題も。

 

一般に『色覚異常』(今は、色の特性ともいう)は、生まれつき網膜(もうまく・目の奥)の視細胞の錐体(すいたい)3種類のうち、どれかがうまく機能していない状態を言います。

世間一般では、赤と緑の区別がつかない、わからないという俗説ですが、実際には、そのような重症型はほとんどありません。

院長も医学を学ぶまで、色覚異常とはそういうものだと思っていました。

小学生の頃に読んだ少女漫画で、ヒロインの好きになった相手が色覚異常(赤と緑を間違う)で結婚をゆるされない…子供に遺伝してしまうから産めない…という悲しい恋のお話を読んだ記憶があります。

その時、初めて色覚異常という言葉を知ったのでした。

医学の勉強をしなければ、いまだに、先入観があるかもしれません。

 

先天性の色覚異常のほとんどの人は、自覚がないまま、支障なく生活しています。

生まれつきで、進行することはありません。

学校の色覚検査をで見つかっても、色の見分け方による注意事項を説明すれば、別段困ることはありません。

また、学校では、誤認識しやすい色の配慮をしてくれます。

ただし、少ないのですが進学制限や職業制限もありますので、自分の特性を知っておくことも大事です。

 

さて、色覚異常は、先天性なので、自分には関係ない…と思う人がほとんどですが、後天的(後から起こる)色覚異常もあります。

網膜や視神経の病気、脳の病気・心因性など、原因は様々です。

病気により起こり、左右眼で程度が違うこと(先天性は両眼同じ)や、自覚があることが後天性の特徴です。

 

白内障も後天性の色覚異常を起こすとして話題になってきています。

加齢性白内障(俗にいう白内障)は特別な病気ではなく、しわと同じように加齢で発症する病気です。

 

白内障が進行してくると、少し黄色味がかったサングラスをかけているように感じます(程度により違いあり)。

また、加齢により、瞳孔が小さくなり、光が入りにくくなるので、若年者より暗く感じます。

スマホの画面の明るさを、院長と息子たちのを比べると歴然。

よくこんな暗い画面で見えるね~と驚き、自身の加齢を感じます。

逆に、息子たちからは、まぶしくないの?と聞かれます。

まだ白内障発症とまではいかないまでも、水晶体(すいしょうたい)の濁りは少しずつですが進んでいることを実感します。

 

気が付かずに、日常生活に支障をきたすようになると要注意です。

例えば、紺と黒の靴下を間違える。

シャツの黄ばみに気付かない。

階段の一番下の境目が(暗くて)分からず、踏み外して転倒。

予防法としては、明るいところで確認する癖を。

階段は、電気を明るくしたり、一番下の段に、目立つテープを貼ると予防になります。

また、ガスの炎の一番先の高熱の部分の青色が見にくくなり、思ったより炎の高さを短く感じ、着火事故につながることもあります。

 

後天性の色覚異常(色の見え方の変化)は、進行します。

原因は様々ですので、色の見え方に変化を感じたら、眼科医にご相談ください。

 

最近、内側が黒布地のバッグは避けるようにしている院長。

狭く暗い空間では、取り出したいものをすぐ出せず、ぐずぐずしてしまいがち。

 

暗い環境・小さな対象物・くすんだ色は間違いを起こしやすくなります。

すべての色覚異常に気を付けるポイントです。

 

が、せっかちなオバサン(院長)も気を付けないといけません。

カテゴリー:眼に関すること

2020.11.17  今更!?今から⁉

『アイシャドウ、変えました?』とスタッフ。

マスクをしていても、院長の顔色だけでなく、お化粧具合にもよく気が付くスタッフです。

『わかる?色は変えてないんだけどね~メイク方法を変えてみたの』

 

眼を診る仕事上、患者さんの目の周りの化粧も当然目に入ってきます。

アイシャドウの入れ方、アイラインの描き方、マスカラのつき具合、まつエクの接着具合など…

きれいなアイメイク(顕微鏡下です)を見ると、心の中で『すごい~』

 

最近では、大学生ならず、高校生でもメイクをしている子が多くなりました。

かくいう院長は、大学時代もほぼすっぴん。

学部自体が、おしゃれを極める感じでなかった気がします。

美容雑誌は読まなかったし、大学生・OL向きの雑誌のモデルも遠い都会の人だと思っていました。

医師になって、身だしなみ程度で始めた化粧です。

習うこともなく、見よう見真似の自己流。

デパートのコスメコーナーで、商品を買う時は、部分的にメイクしてもらうのですが、家で再現ならず…

勧められて買ったのに、面倒で使わなくなった(使いこなせなかった)商品も多々あります。

 

ところが、最近になって『お化粧できれいになりたい!』

 

今まで、デパートのコスメコーナーでパーツごとに買っていたけれど、うまくいかなかったのは、基本を知らないからだ!

基礎からのメイク法を学びたい!

 

何を今更?

モテたい!彼氏見つけたい!ちやほやされたい⁉

20代にメイクに目覚めていたら、そう思ったかも。

しかし、モテ期もないまま現在に至るオバサンです。

今から習ってまで、お化粧上手になる意味ある?

自分の中で、この葛藤がしばらく続いた院長です。

 

『きれいになりたい!』

自分のために。

お化粧を始めてからの期間を上回るであろう今後の年月。

今、習わないでいつやる?

ついに美に目覚めたのに!

 

今どきの人ならYouTubeでなんでも学べるのでしょうが、院長は一昔前の人間。

直接、その道のプロに学ぶに限る!の信条。

メイクレッスンを受けることにしました。

 

まずは、化粧水と乳液を付けるところから。

間隔は1分は空けるように言われ、点眼薬の5分間ルール(2種類以上の点眼をする場合は、5分以上空けて)が浮かぶ院長。

ベース・ファンデーション・おしろいなど、一つ一つの行為が新鮮。

それぞれのメイクに対して、理由があるのも納得。

いかに自己流だったかも反省。

メモ、メモ。

自分でやってみて、不明点を聞いたり、お手本を確認しながら、反復練習。

毎回、少しずつステップアップです。

眉の描き方、アイシャドウの塗り方なども『なるほど、なるほど』

『眉マスカラを塗ると抜け感が出ますので、ぜひ付けてくださいね』

抜け感…なんて、お洒落さんの言葉だと思っていた…

 

『モデルさんみたいにきれいになれますかね~?』(愚問)

『モデルさんは、顔が商品ですから、素もいいし、日頃のお手入れもすごいですよ。撮影の時は、プロがメイクしますし』

『そっか~商品ね~』(それなら私は顔でなくて、眼科医としての腕が売りだわ)

『頬紅は、こうやってブラシでふわっと。口紅は唇のここを強調して…』

やってもらうと、少し違う自分になっていくようで嬉しい。

『美魔女みたいには?』(またまた愚問)

『どんな風にもお化粧できるようになりますが、まずは、基本です。教わったベースメイクをしっかりマスターしてくださいね』

『はい…』(何事も基本から)

 

そういうわけで、マスクで誰にも顔を見せないにも関わらず、毎朝フルメイクをしている院長です。

あと30年くらい毎日やっていれば、メイク上手になれるでしょう。

 

診察室の暗室で、見えない努力をしている院長です。

カテゴリー:公センセの日常の出来事

2020.11.10 時にはバスボム

スタッフも今年はWEBで勉強会です。

先月の勉強会の後、院長の誕生会を兼ねてお茶会を開いてくれました。

この勉強会は、スタッフ向けだったので、院長は終了後にクリニックの一室へ。

コロナ流行の中、院長のお気に入りをスタッフに用意しました。

 

さて、スタッフルームの即席のテーブルにケーキの箱が。

『一番先に好きなケーキ選んでください!』

色とりどりのケーキ。

『久しぶりにモンブランにする!』

『それ、お勧めなんですよ~』

全員にケーキと紅茶が行き渡ったところで

『少し遅れましたが、誕生日おめでとうございます!』一斉にスタッフ。

『ありがとう!』感謝です。

毎年、この時期に、スタッフがお出かけ(ドライブ&温泉)を計画してくれるのですが、今年はさすがに…ね。

『ほんの気持ちですが、プレゼントです』

『ありがとう!私も、ほんの気持ちだけど、どうぞ!』と、スタッフにラッピング袋を。

同時に開けてみると『あれ?』

プレゼントしてもらったのは、バスボム(球体の入浴剤)のフィギュア入り。

プレゼントしたのも同様のバスボム。

院長セレクトは、愛用のアンパンマン&ディズニーもの。

スタッフからのは、愛用シリーズ以外に、おさるのジョージやお菓子シリーズ。

 

院長の好きなものをちゃんと知っているスタッフ、自分の好きなものをスタッフに使ってもらいたい院長。

偶然、同じものを思いついた結果。

 

コロナ禍でどこにも行けない院長の楽しみの一つが、以前にもまして自宅風呂になりました。

色々な種類の入浴剤をその日の気分で入れて楽しんでいます。

炭酸の多いもの、発汗の強いもの、自然の香りのものなど、1日の終わりの最後の楽しみです。

ある日、アンパンマンのバスボムを見つけ、使ってみました。

球体だけのカラフルなバスボムは、女性受けがいいのですが、今回のはフィギュア入りの子供向け。

それが、すごく楽しいのです。

球体のバスボムが、炭酸ガスを出しながら、小さくなり、最後にぷくぷく、ひょっこりと湯面に浮かび上がるアンパンマン。

なぜか、元気が出てきました。

以来、『すごく疲れたけど元気を出したいとき』または『すごく頑張りました!』日の出番です。

ただし、1個当たり結構高いので、厳選した日に使用します。

何が出てくるかは、その時のお楽しみです。

そのフィギュアが、スタッフ用トイレの飾り棚に並びだしたので、誰がどうして飾りだしたか…ということになり、院長のバスボム愛?も露呈したというわけです。

 

さて、入浴は、血液の巡りを良くし、体も温まります。

そのため副交感神経優位になり、リラックス効果もあります。

涙腺からの涙の分泌は、副交感神経刺激により促進されます。

また、湿度が十分なため、環境的にも目が潤い楽になります。

さらに、温かいタオルを目の上に当てれば、まぶたの縁にあるマイボーム腺が開きやすくなり、脂が出ることで、涙の安定(蒸発しにくくなる)につながります。

 

院長は、生涯、自宅のお風呂に入るのが目標です。

温泉みたいに、床に埋め込む浴槽ならまたがなくてもいいのに…もっと年とったら、リフォームしよう。

知り合いの建築家に話したところ…

一般家庭で埋め込む浴槽は作れなくもないが、洗い場と浴槽が隣接するので、体を洗った湯やシャンプーなどが入りやすく不向きとのこと。

大浴場くらい広ければいいのだけれど。

なるほど~断念。

それより、生涯、浴槽をまたげる筋力をつけたほうが賢明です。

 

トイレの飾り棚にフィギュアが増えてきました。

みんな、バスタイムを楽しめたかしら?

カテゴリー:クリニックに関すること

2020.10.27  しゃがんでます?

『今日は、違うスクワットもやってみましょう』

パーソナルトレーニング継続中の院長です。

ルーティンでやっているのは、ブルガリアンスクワット。

片足で立って、もう片方の足先を後ろのベンチにかけます。

片方の足でスクワット(上体を下げ、太ももを水平まで落とす。またもとの位置に戻す。繰り返し)。

初めて指導を受けたときは、自重でも、翌日の筋肉痛は半端ないものでした。

ですが、今では、両手にかなりの重量のダンベルを持ち、スクワット。

毎回限界まで追い込まれます。

 

さて、今回の『ゴブレットスクワット』は、胸あたりでダンベルを両手ですくうように持ち、下半身を下ろしていきます。

太ももと床が平行になるまでしゃがみます。

何回もしゃがんでは立ち…15回3セット。

『そういえば、最近しゃがむことがないですね。トイレも洋式だし…学校のトイレも洋式化しているし…』しばし、雑談。

『僕たちの頃は、まだ、和式トイレだったんですけどね』とトレーナー(30代)。

『しゃがまないと、特に下肢の運動機能が落ちてしまいますね。日本の和式トイレは、知らないうちにトレーニングになっていたんですよ~』もう一度お手本を見せるトレーナー。

 

そんな折、しゃがみ込み動作が運動指導で獲得できるという整形外科学会での報告が、スポーツ医(院長です)の目に留まりました。

しゃがみ込み(和式トイレ姿勢を想像)が困難な健常成人に1か月間運動指導をすると、しゃがみ込み可能になった報告の続報のようです。

閉脚しゃがみ込みが出来なかった小中学生に、医療機関で運動指導を行なった結果、最終継続率24%、成功率50%だったそうです。

運動は、前屈や片足立ちなどから、股関節可動域訓練、タオルギャザーやスクワットなど全然難しいことではありません。

しゃがみ込み動作は、上肢外傷歴(転倒によるもの多い)と関与が大きいので、転倒リスクにも大きく関与しています。

しゃがみ込めるということは、多彩な運動機能が良好であるということです。

 

就学児健診が始まりました。

今どきの5~6歳児は、和式トイレを見たこともない子もかなりいることでしょう。

しゃがみ込みトイレの最初で最後は『アヒルのおまる』?

しゃがみ込み動作の運動指導が必要な時代に??

昭和生まれの院長は、ため息です。

昔、店先でしゃがんでいた不良?たちも、知らず知らずのうちに筋トレになっていたのね~(最近見ませんね)

 

便利な世の中になって、無意識に筋トレになっている動作・作業も少なくなりました。

意識して、豊かな老後のためには、筋トレを。

転倒予防に『貯筋』(なかなか貯まりにくい…)に励む院長です。

 

公衆トイレに和式があったら、健常者は率先して使いましょう。

ちょっぴりですが、筋トレです。

カテゴリー:公センセの日常の出来事

2020.10.20 抗がん剤と眼

『まつげを抜いてほしい』患者さんは、よく来院されます。

多くは、高齢の方で、まぶたの脂肪の減少などにより、まぶたの肉付きが変わり、まつ毛が内に向き、角膜に当たりゴロゴロしてきます。

傷が出来たり、当たる刺激で涙が出ます。

内側から外側まで全体に内に向いている場合は、手術適応もありますが、部分的な場合は抜去することになります。

 

Aさんもまつげを抜いてもらうために来院されました。

初めて診察した時のAさんの逆まつげにはびっくりしました。

1本1本が太くて、いろいろな向きにカールしているのです。

ビューラーの同方向へのカールではなく、明日・明後日・明々後日方向へ『くりくり』

眼科医人生の中で初めて見るまつ毛の形態でした。

しかも、攝子(せっし)でつまむと、根元からはらはらと抜けていきます。

『驚かれたでしょ!?』

『はい、眼科医を割と長くやっていますが、初めてです』

『これ、抗がん剤の副作用なの。しばらく、定期的に抜いてくださいね』

 

眼科では、初診時、眼以外にも、内科的な病気がないか申告してもらいます。

高血圧や糖尿病は目にも大きく影響します。

しかし、癌までは、眼科医に打ち明ける方はほとんどありません。

 

診療後、調べてみると、Aさんの抗がん剤は『分子標的型』

がん細胞に存在する特殊な物質をピンポイントで攻撃する抗がん剤です。

目に関する副作用として、まつ毛が長くなる長生化やバラバラの向きに生える睫毛乱生がありました。

 

何ヵ月か、まつ毛を抜きに来られていたAさんですが、ある日の診察で…

いつものくりくりのまつ毛がなくなっています。

以前より細く短く、しかし、しっかりした本来のまつ毛に戻っています。

『まつ毛、元通りになったでしょ。抗がん剤、変わったの』

抗がん剤の中止・変更でこんなに変わるとは!?またまた、大きな発見でした。

 

緑内障の点眼では、時に、角膜の傷を引き起こすことがあります。

Bさんは、右眼の緑内障のため、眼圧を下げる点眼薬を右眼だけにさしていました。

眼圧下降効果もあり、順調でしたが、ある日、角膜に傷が。

点眼している右眼だけでなく、もう片眼の目も。

点眼薬による副作用ではなさそう…

様子を見ていたところ、次の受診時は『見えなくなってきた』

角膜の表面の傷だけでなく、濁りまで出てきていました。

眼科的に検査しても説明が付きません。

またまた眼科医人生初。

もう一度Bさんに他科の病気を尋ねました。

『そうそう、今、がんの治療してるんだよね』

 

約1か月後、来院されたBさん『前みたいに、見えるようになった!』

診察すると、1か月前の、角膜の傷や濁りはほとんど治っています。

先の抗がん剤が中止になったそうです。

Bさんの抗がん剤は、殺細胞性。

細胞が分裂して増える過程に作用し、細胞増殖の盛んな細胞を傷害します。

 

この手の抗がん剤は、眼科医の中では、鼻涙管(涙が鼻へ流れていく道)が狭くなったり詰まったりして起こる流涙は周知になっています。

そのための手術なども報告されています。

 

院長が医師になってからの抗がん剤の開発・発展は著しいですが、眼科開業医との関わりはほとんどありません。

抗がん剤による眼への副作用(すべての患者さんにではない)を、今回、しっかり勉強しました。

貴重な症例を与えたくださったAさん、Bさんに感謝と引き続きの治療にエールを送ります。

医師何年経っても、学ぶこと多しです。

カテゴリー:クリニックに関すること 眼に関すること

2020.10.6  大手まんぢゅうと緑内障

デパ地下には、地方の銘菓を集めたコーナーがあり、現地へ行かなくても手に入れることができます。

先日、ふらっと立ち寄ると、目につくところに『大手まんぢゅう』が。

よく行くコーナーなのに初めて。

備前岡山の老舗のお饅頭です。

懐かしい~

『大手まんぢゅう』はYさんを思い出させます。

(今でも条件反射で高校時代の remind A of B 構文が出てしまいます…)

 

Yさんは、院長(私)が研修医1年目で担当した緑内障の患者さんです。

もちろん主治医は上にいて、その下に副主治医がいて、その下が研修医という構図です。

当然、主治医がベテランで、以下…となります。

当時、所属眼科は、緑内障で全国的に知られており(今も)、各地から患者さんが診察に来られていました。

Yさんも、その一人。

緑内障を長く患い、かなり進行しており、岡山から治療法(手術)を求めて来院されました。

70代の元美術教師。

絵をたくさん描いておられ受賞歴も何度か。

 

研修医は、担当するといっても、患者さんから勉強させてもらうことがほとんどです。

既往歴や現病歴、今の診断・治療法に至るまで、話を聞きます。

先輩医師のカルテ所見を見ながら、自分でもきちんとした所見がとれるよう、患者さんの目を借りて観察させてもらいます。

ベテランが、さっと診られる所見・病気を、研修医は見つけられないことがほとんどです。

長く診察に時間をかけているから、正確な所見・診断・治療ができるかと言われれば、そうではありません。

患者さんの協力、自身の研鑽・経験があってこそ、診療能力をアップし、やがて時間も短くなります。

診療のポイントが明確にわからない研修医の身では、世間話が途方もなく広がるものの、実は肝心なところが抜けていたりします。

朝の回診前や昼休み、夜など空いた時、土日ももちろん患者さんを訪ね、話をし、診察(の練習)をする研修医です。

そういうわけで、研修医は、患者さんと長い時間を過ごすことになります。

 

『先生、お腹空いてるでしょうから、どうぞ』と病室で差し出されたのが『大手まんぢゅう』

直径3センチくらいの、薄皮に包まれた漉し餡が上品なお饅頭です。

仕事中なので、慌てて二口で食べ終えましたが、小腹が満たされ元気が出ました。

Yさんは、予定通り、手術となりました。

その後、何回か通院されましたが、視力・視野とも、非常に厳しい状態となりました。

 

開業の報告をしたところ、贈られたのが、待合室に飾ってある薔薇の絵です。

『もう自分では描けないし、見えないから、先生の元においてもらえば光栄です』

鬼籍に入られてしまいましたが、待合室の絵は、院長の緑内障の原点の一つでもあります。

 

某大学某科の教授(院長と同年代)と話していた時。

今は主治医が3人制なのだそうです。

経験年数が違っていても、全員が主治医で、連帯責任制とのこと。

昔は、担当は3人でしたが、明らかに立場が違うので、患者さんもそれを踏まえて、話す内容を変えていたのだと思います。

その分、研修医の時に、世間話から必要なことを聞き出す術や、本筋に戻す術、患者さんとの距離の取り方などを学べたのだと思います。

医師の労働時間も大事なことですが、研修医の時にしか出来ないこともたくさんあった…とオバサン院長は思います。

 

お茶を入れ、黒文字を添えて大手まんぢゅう。

上品なお菓子をゆっくり味わえるようになった院長。

研修医からのドタバタも遠い過去のことです。

 

本来なら、今頃は、緑内障学会で九州に出張中の院長。

大手まんぢゅうを傍らに、ZOOMでライブ講演視聴。

WEBだからこそ許されます。

カテゴリー:公センセの想い 眼に関すること

2020.9.29 色・明るさと交通事故

少し前まで、診療終了直後も『まだ明るいね~』と話していたのに、すっかり日が暮れるのが早くなりました。

 

眼科の患者さんは、視力低下の方や高齢者も多いので、『気を付けて帰ってくださいね~』と願いながら、診療終了です。

 

眼科専門誌の『眼科と自動車運転』の特集から…

 

運転には、様々な要素が絡み合いますが、視力(見え方)というのは、大変重要な要素です。

運転者からは、『歩行者や自転車・標識を見落とさないこと、ナビなどの情報を素早く視認できる』ことが大事です。

歩行者や自転車運転者からは、『自動車運転者から見られるようにする工夫、事故につながりそうな予測のできる視覚情報を素早く得ること』が大事です。

 

まずは、明るさです。

どんな色でも、明るい条件下では視認しやすくなります。

昼間ははっきり見えている標識も、夕方にはかなり見にくくなるのは自明です。

ただ、物理的明るさと、心理的な明るさとは単純に比例しません。

感覚の強さは刺激強度の対数に比例して増大するという法則があります。

例えば、真っ暗な部屋で、灯りをつけたら、すごく明るいという感覚がありますが、その明るさをどんどん上げても「明るくなった!」という感じはだんだん緩やかになるということです。

 

さらに、明るさの感覚は、脳で補正されてしまうこともあります。

例えば、薄暮で周りがかなり暗くなっていても、自分が暗いと感じない(思わない)ことがあります(個人差あり)。

この場合、運転者は「はっきり見えている」と思い込み、歩行者や自転車を見落とす危険が高まります。

 

交通事故は、夕方4時から6時が多く、月別では9月から12月が多くなります。

『人(自転車)は思ったより見えていないし、見られていない』

 

では、工夫できることは?

実験解析結果では、早期ライト点灯・明るい服装で注意が高まることがわかっています。

また、別の画像分析結果では、早期ライト点灯や反射材が有効でした。

目立つ服の色としては、蛍光オレンジや蛍光イエローが見やすく、白と黄色のストライプ、白と赤のストライプとなりました。

洋服の色を蛍光色にするのは、なかなか難しいですが、反射板を利用したり、夕方以降外に出る場合は、白や黄色など明るめの服を着たほうがより安全です。

 

『あと1秒早く視認できれば9割の交通事故を減らすことができる』

 

色やコントラスト(対比)以外には、焦点の合いづらさも関係しています。

度の合ったメガネやコンタクトレンズ装用での運転は、もちろん必須です。

(更新のためだけに眼鏡処方希望の人が、時に来院されます!?裸眼や度の弱い眼鏡で見えていると思い込んで運転しているのは、本人だけです!)

また、白内障やドライアイがあっても、光の散乱などが強くなります。

 

誰でも、夕方~夜間視力は低下するので、出来るだけ、夕方・夜の運転は避けることが賢明です。

眼科医としては、患者さんが交通事故に巻き込んだり巻き込まれないよう啓発・注意もしていきます。

 

高齢者・ロービジョン(低視力・狭視野)患者さんの運転も、今後の大きな課題です。

 

かくいう院長も、夜ランニング中に交通事故に遭った経験あり。

信号のない横断歩道を走って横断中、対向右折車に跳ねられました(運転は高齢者)。

額に小さなLEDライト(ちょうちんアンコウみたいな)を点けていたのに~

跳ねられたのに、『搬送先の病院に知り合いがいたら恥ずかしい…』などと、どうでもいいことを考え『大丈夫です!大丈夫です!』を繰り返した院長です。

幸い下半身の打撲で済みましたが、夜ランニングは、以後きっぱりやめました。

 

『人(自転車)は思ったより見えていないし、見られていない』

気を付けましょう。

カテゴリー:公センセの日常の出来事 眼に関すること

2020.9.15  経年劣化

自分では、カレーをもう10年ほど作っていない院長です。

フルで働く母であっても、子供達には栄養のあるものを手作りしたい!のモットーで、あれこれ毎日料理をしていたのですが…

ある日『よく、こんなに美味しくないカレー作れるね』と長男。

材料は、一通りのものですが、野菜不足にならないようにたっぷりの野菜(時には変わり種も)、早く煮えるように薄切り肉。

すごく美味しいわけではないが、まずくもない…程度。

三男には、最後まで持て余すカレーではありましたが…

 

『超忙しい中、母さん頑張っているんだからね!そんなこと言うなら〇〇(長男)が自分で作ったらどう?』

 

『僕が作ろうか』と夫。

材料を自分で調達して、圧力鍋で作ってくれました。

『美味しい~何、これ!?』

『お店のみたい』

『どうやって作ったの?』

牛ブロック肉、玉ねぎ、にんじん、マッシュルーム。

圧力鍋で30分。

調味料・隠し味は秘密!?

『父さんが作ったほうがいいわ~』子供たち絶賛。

 

以後、カレー担当の家人は、カレー作りに情熱を注いでいます。

家庭料理を超えた材料と時間のかけ方。

調理中は『話しかけないで~』と集中!

家族と話しながら、わいわい料理するのも好きな女性(院長)とは対照的。

 

ある時『圧力鍋欲しいな~』

『2個もあるよ』

『でも、取っ手が…。共用だし…』

長年愛用の圧力鍋は、院長のうっかりが重なり、度々コンロの真ん中に置くので、取っ手がガス火で溶けて変形しています(機能に問題なし)。

『自分用のがあるといいよね~買おう』(カレーのためだけに!?と思いつつ)

圧力鍋を色々探したようですが、結局、今ある鍋と同じメーカーのものを注文。

同じ圧力鍋が3個になりました。

 

ピカピカの鍋で、早速カレー作り。

『新品の鍋だから、スペシャルにする!』

お任せします。

お皿に盛りつけられたカレーを、一口食べると、いつも以上に美味しい!

 

『鼻紋付の牛なんだよ!名前も付いていた』

『…』(びっくり)

『隠し味に、ちょっといい赤ワイン入れてみた。深みが出てるでしょ』

『…』(再びびっくり)

食前、とっておきのワインがなくなっていたので、もしや息子が飲んだ?と疑っていたら、答えはここに。

原価どんだけ~?

『最高!』

でない、はずがない。

家人のカレー作りは、趣味。

試食はお披露目会。

そう認識した妻(院長)でした。

 

それでも、家人にお任せの仕事(専任)を作ってしまうと、働く妻は楽になります。

趣味の料理(カレー)以外にも、家にある材料での料理も任せると、一週間に何回かは食事作りから解放されます(一任がポイント)。

 

『新しい鍋で作ったら、水分が今までより減らなかったんだ』

『へー。なんで?』

『前の2つの鍋は、パッキンが緩んでいて、水蒸気が漏れているんだと思う』

院長は、毎日古い圧力鍋を使っていますが、加圧が数分なので、気になったことがありませんでした。

『鍋も人も、古くなると漏れるんだね』

加齢により、男性は前立腺肥大、女性は骨盤底筋の緩みで尿漏れが起こりやすくなります。

『男性も女性も尿漏れの認知度が高まってきたから、患者さんが相談しやすくなったね』

『いろいろケア用品が出てるしね』

そこからは、食事中ながら、夫婦でパッキンと尿漏れの話。

絶品カレーを食べながら、同業者だから許される『あるある』。

 

それ以来、圧力鍋の『しゅんしゅん』おもりの回る音を聞くと、『漏れ』が気になる院長です。

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