近鉄三昧・阿呆列車

旅行会社の広告を見るのが大好きな院長です。

行けはしないのに、気になるツアーは日程を確認し、あれこれ思いを馳せています。

 

先日の広告。

近鉄名阪特急『ひのとり』で大阪まで。

大阪から観光特急『青の交響曲(シンフォニー)』で吉野まで。

その後バスで移動し奈良泊。

翌日伊勢神宮参拝。

観光特急『しまかぜ』で名古屋に戻る。

1泊2日のプラン。

そもそも連休なんてなかなかないのに、日程を確認して『行けないよね~』とつぶやく院長。

 

持っている自由時間(休診かつ他の仕事がない日)で楽しむのが、今のところベストな選択です。

『青のシンフォニー』は未だ乗車体験なし。

乗ってみたい、乗ってみたい、乗る!

旅行会社の企画プランから、自分の優先順位を決めて、1日で収まるように考えます。

『青のシンフォニー』だけは何としても。

 

自宅で朝食後出発、夕食には戻るという約12時間以内の日帰りで無理のない?プランが前提です。

翌日の仕事のコンディションを保つため、プライベートもやや控えめになる50代。

 

近鉄の予約は1か月前の10時半から。

15分前には窓口(辺り)に。

今回は、近鉄三昧・阿呆列車の旅。

開始時刻とともに、旅程分の切符を購入します。

今回乗る特急は『アーバンライナー』『青のシンフォニー』『ひのとり』

1日に3本の特急乗車なので、駅員さんに指定の優先順位を聞かれました(人気車両なので)。

もちろん『青のシンフォニー』→『ひのとり』→『アーバンライナー』

 

名古屋発『アーバンライナー』で大和八木(奈良県)まで。

乗り換えて吉野まで。

吉野発『青のシンフォニー』で阿部野橋(大阪)

難波発『ひのとり』で名古屋へ。

 

駅員さんの尽力で、全行程計画通り切符が取れました。

切符を買った時点で大興奮。

 

当日、名古屋から『アーバンライナー』に乗り込みます。

お馴染みのオレンジのライン。

大和八木駅で降り吉野を目指します。

途中の橿原(かしはら)神宮駅で乗り換えの間に、日本初代天皇・神武天皇が創建されたという橿原神宮を大急ぎで参拝し、再乗車、吉野へ。

奈良県を南に下ると駅名からも古の時代を感じます。

 

吉野駅に着くと、もう『青のシンフォニー』が停車中。

濃紺色のボディカラーにゴールドのライン。

一度下車して、吉野の空気を吸い、駅前の売店で柿の葉寿司諸々を購入。

吉野は観光で有名ですが、残念ながら今回は時間なくカット。

今回の最大の目的は『青のシンフォニー』に乗車することです。

車内はレトロなホテルのラウンジを縮小した感じ。

床は絨毯、壁は間接照明、落ち着く内装です。

今回はテーブル席に。

テーブルランプもあるところ、まさに昭和のティールーム。

他にも軽食喫茶ができるラウンジ車両があり、オリジナルの飲食物やグッズなどが販売されています。

相当混雑していたので、先に座席で食事をし、後からラウンジへ。

山深い吉野から飛鳥を通り、だんだん都会になっていく道中1時間半。

移動手段としてより、ちょっと優雅な時間を味わうための電車。

 

大阪阿部野橋に着くとデパ地下へダッシュ。

『ひのとり』車内持込用にあれこれ。

今回はなんと最前列ゲット出来ました。

広々としたバックシェル型シートがグリーン席以上。

運転席は、座席より下方にあるので、最前列は前面開放で景色が飛び込んできます。

やはり最前列の迫力は凄いです(前回は2列目)

『青のシンフォニー』で買った飲食物とデパ地下フード。

テーブルに広げ、飲みながら食べながらワイドビューな景色を見れば本日最後の極楽。

 

 

約9時間の近鉄三昧。

欲張りと言えば欲張り。

阿呆と言えば阿呆。

気になることは出来る範囲で実行。

一つ気になることが解消しました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

カテゴリー:公センセの日常の出来事

2022.1.18   コンタクト内部に薬効成分

名古屋も先日雪が降り、寒い1月です。

とはいえ、2月上旬にはスギ花粉の飛散が始まります。

 

2022年春の花粉飛散予測第2報では…

スギ花粉の飛び始めは全国的に例年並み

飛散量は九州から関東甲信で例年並みに少ないが、東北と北海道は例年より多い

東海から北海道は前シーズン(2021年春)と比べると飛散量が多い

とのこと。

 

東海では、例年比では少ない(70%)が、前シーズン比ではやや多い(130%)という予想です。

ちなみに例年とは過去10年の平均値です。

 

一般的には、一番近い過去の花粉症の症状を記憶しているので、昨年よりは早めに治療開始をしたほうが良いです。

飛散開始の2週間くらい前から、アレルギーに対して点眼薬や内服を使い始めることを勧めています。

これを初期療法と言います。

早めに使うことで、花粉が飛び始めてもアレルギー反応が出なかったり、軽症で済みます。

毎年繰り返して初期療法についてお話しするので、心得た患者さんは、そろそろ点眼薬や内服薬を開始するために来院されます。

他のことで受診している患者さんも、スギ花粉アレルギーがあれば、初期療法を開始します。

 

さて、コンタクトレンズ装用患者さんでアレルギーのある場合。

コンタクトレンズの上から点眼可能な薬液にしたり、一日使い捨てタイプにしたり。

ただ、アレルギー結膜炎の所見がひどければ、コンタクトレンズは中止することになります。

昨年末、抗アレルギー剤を配合した一日使い捨てコンタクトレンズが発売されました。

 

アレルギー症状を緩和する点眼剤と同じ成分が、コンタクトレンズ内に取り込まれています。

コンタクトレンズを装用すると、抗アレルギー成分が涙液層に拡散し、効果が発現します。

治療ではなく、アレルギーの症状緩和なので、眼科医による適応基準があります。

気になる方は、院長にお尋ねください。

詳細はこちらをご覧ください

 

コンタクトレンズと治療を結びつける試みは今後も研究されていくと思います。

装用することで一日の眼圧測定(関連値)ができる検査用ハードコンタクトレンズはすでに発売されています。

今回は、アレルギー症状緩和のソフトコンタクトレンズ。

 

新型コロナウイルス流行以来、マスク着用が習慣になり、意外と鼻炎症状は起こしにくくなっているようです。

しかし、眼は覆うことが出来ないので、直接花粉が飛入します。

かなりかゆくなり、眼もひどい状態になってから来院する患者さん。

飛散が始まる前から毎年来院され初期療法を開始する患者さん。

日頃の診療でもそうですが、こと、花粉症の時期には、患者さん個々の性格を再確認してしまう院長です。

 

初期療法はとても有効ですよ!

 

こちらもご覧ください

ドライアイとアレルギー

2週間前

花粉と初期療法

花粉症ゴホゴホ

そろそろ花粉症

 

 

カテゴリー:眼に関すること

2022.1.11  仕事は生きがい

本年もよろしくお願いいたします。

 

どんな一年になるのやら?

 

師事していたA先生は、退官後、新天地で緑内障診療。

昨年末、話をする機会がありました。

手術数もどんどん増え、『今が一番手術上手いかも。70歳までは手術できそうだね』

社会的に、既に頂点と認められている立場でも、前向きな姿勢。

『何歳になられましたか?』

『67歳』

『え~先生、そんなお歳になられたんですか?』

『はせこう先生だって、もう○○歳(内緒)でしょ。入局してから30年なんだから』

確かに。

 

 

医師会のあいさつで最年長の元医師会長B先生が登壇。

ずいぶん前に診療所の仕事は譲られたものの、未だ公の場に出られてお元気。

かなり減らしてはいるものの、医師として仕事をされている88歳。

開業時の挨拶に伺った時は、すごく怖かったけれど、今は好好爺です。

 

休日診療所の当番表を見て、『私、半日のはずなのに』と訂正を求めたC先生。

75歳以上は、午前午後1日でなく半日勤務になります。

『先生、一体おいくつですか?』

『もう、とっくに75超えているわよ』

全然変わらない、はつらつとしたC先生は、まだまだ自身のクリニックで診療をされています。

 

素晴らしい先輩たちに、敬意を払い、勇気をもらいます。

 

『人生(仕事)の上り坂は、歳と共にきつくなりますよね』

これは、大手企業の役員だった旧友からの新年の言葉。

同じ机を並べた彼女は、進路は違いますが、大きな世界で戦ってきた尊敬できる人。

今も新しい仕事に挑戦しています。

 

先輩たちを見れば、いくつになっても仕事が好き。

趣味を超えるやりがい・張り合い・生きがいなのだと思います。

 

若いころは、エンジン全開!加速しっ放しでした。

やることだらけで、ゆっくりする暇もなければその気にもならない。

つらい時もたくさんあったけれど、若さゆえに乗り切れました。

休まず続けてきたことで、少し減速してもゆっくりでも上っていける予測は立ってきました。

それでも、仕事を続ける限り、上っていく(知識・技術など)責任があります。

 

『健康第一だね~』

その通り。

この言葉も、合言葉になりつつあるオバサン院長世代です。

 

早速、今年は元旦からパーソナルトレーナーと筋トレ。

身体も鍛え、その後のメンテナンスも忘れずに。

 

 

 

 

 

 

 

 

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2021.12.21 目薬コロコロ

『キャー!何やってるの!?』

オバサンの大きな声。

院長は、とある地方都市のホームに停車中の本駅発列車の横シート座席に座って本を広げたところ。

昼下がりの午後の車内は乗客もまばらです。

 

『何やってるの!』

みんなが一斉に向けた視線の先には…

オジサンのが太ももがホームと列車の隙間にスッポリ。

目が点…あっけにとられている間もなく、すぐに、男性数人がオジサンを引っ張り上げ始めました。

発車まで数分。

事なきを得、救助した男性たちも、取り囲む人たちもサーっとそれぞれの方向へ。

 

70代前後のオバサンは、大声で『この人(同年代オジサン)、バスで疲れちゃったんですよ~。どこか、席座らせてもらわないと』と、アピール。

乗降口付近の乗客は、さっと別の席へ。

オバサンが先に座り、オジサンが後に続きます。

二人は、それぞれ4泊5日分くらいのキャリーケースを持っていました。

どこかの旅行の帰り?

飛行機+バス旅行?

だとしたら、あの空港から?

オジサンは、左太ももをさすっています。

『何やってるの?』(と言われても…)大声で繰り返すオバサン。

()は院長のつぶやき

『痛いの?』(そりゃ、痛いでしょ)

『骨折したの?』(まさか、それはない。おそらく挫創)

無言で太ももをさするオジサン。

対面の席で、大きな声で詰問するオバサンに、院長も怒られている気分に。

 

恐らく、加齢により、足を上げる力、踏み込む力が弱くなり、歩幅が狭くなってはまってしまったのでは。

大事に至らなくて本当に良かったです。

 

オジサン普段から、つまづき易かったり、転びやすかったりするのかな…

 

点眼薬も転がります。

先日、ある患者さんから『出してもらった目薬が、すぐ転がってしまう』との声。

後発品(ジェネリック)の場合は、医師がメーカーを選択することは出来ないので、薬局に在庫がある薬を受け取ります。

見せてもらったのは、ジェネリック品。

確かに、円柱形なので、キャップもボトルも、転がりやすそうです。

 

先発品新製品が出るたび、院長はあらかじめ点眼してみます。

 

・透明か濁りか

・しみるか否か

・さらりかどろり(粘度)か

・点した後の充血ありか

・点した後のかすみありか

など、特徴ある点眼薬を処方する場合は、予め、伝えるようにしています。

自分の体験談も。

 

先発品が優れていると一概には言えませんが、各社、点眼薬のボトルにも患者さん目線で考えています。

 

キャップの形で採用されているのは、10角形のねじれ。

12角形だと円柱型と同じように転がってしまうそうです。

8角形以下のねじれだとバランスが悪くなるそうです。

 

また、点眼瓶の先に穴が開いているだけのように見えますが、メーカーによっては、開栓しやすい様に、らせんのねじれになっています。

 

ボトルの形も様々です。

市販の点眼薬は、おしゃれなデザインで、医師が処方する点眼薬に比べて固いものが多いです。

処方点眼薬は、患者さんが使用するという前提で設計されています。

3本の指で、持ちやすいよう、指との接着面が広く安定するようになっています。

扁平型だったり、胴体がくぼんだ型だったり。

そして、少ない力で正確に1滴点眼できるよう設計されています。

 

容器も機能と見た目を兼ね備えているデザインになっています。

 

人は老化し、機能も見た目も低下してきます。

自身で努力できることはし、デザインの低下を少しでも抑えていきたいと思うある日の出来事でした。

オジサンの挟まった太ももを案じつつ…

 

 

来週12/28は『公センセの部屋』はお休みします。

今年もありがとうございました。

 

 

 

 

 

 

 

 

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2021.12.14  転ばぬ先の…

先日12月12日の中日新聞社会面は『ホームドア』について。

 

ホームドアとは、転落防止のためにホームに設けた壁や柵のことです。

車両扉と連動して開閉します。

1981年に開業した神戸新交通ポートアイランド線が初めてとのこと。

そういえば、院長も神戸のポートアイランドが学会会場だった時に、初めてホームドアを見て、ひどく驚いたものでした。

『都会だわ~近未来だわ~』などと。

当時は、岐阜県在住で、路面電車が走っていた頃。

ホームドアどころか、電車が来ると道路に入り乗車していました。

 

国土交通省によると、2019年現在、全国9465駅のホーム19951か所のうち、858駅の1953か所にホームドアが設置されているそうです。

国の目標、2025年までに3000か所設置。

しかし、一駅当たり数億から十数億のコストがかかる。

そのため、東京・大阪・名古屋の3大都市圏を対象に、乗車運賃に1回あたり上乗せ10円以下を想定、可能にするとのこと。

 

確かに、新幹線でさえ、主要駅には設置されていますが、こだまクラスの駅だとほとんど設置されていません。

名鉄や近鉄も昔と変わらず。

地下鉄桜通線・東山線・名城線や、あおなみ線は全駅完備。

大都市のように乗降客が多い駅ほど、より早急なホームドアの設置を望みます。

 

ホームドアがなくても、健常者が落下することは稀ですが、視覚障害者にとっては、危険にさらされる確率が高くなります。

視覚障害者のホームからの転落事故を耳にするたびに、胸が痛みます。

今期の記事にも、転落した女性のインタビュー記事がついていました。

階段を昇りながら、駅のアナウンスで、電車が来ていると勘違い。

西日でまぶしく、電車に乗ろうとホームから足を踏み外し転落。

その後に来た電車に衝突。

この女性は『網膜色素変性症』

視野は周辺からどんどん狭くなり、最後は、ほんの中心部分だけの視野になります。

視力も徐々に低下し、ぼんやりと見えるくらいから、失明に至る人まで様々です。

まぶしさを感じやすいこと、暗いととても見にくい(見えない)ことも特徴です。

 

当院の網膜色素変性症の患者さんたちとのお付き合い(診療)も長くなってきました。

お話を聞くと、やはり、通勤が一番大変のようです。

ラッシュ時の階段の昇降、電車やバスの乗降。

人の多さや駅の明るさなどなど。

フレックスタイムの適応是非や白杖(せめて通勤時だけ)携行などを考えています。

 

テレビドラマ『恋です!』を患者さんたちが見ているわけではないけれど、以前よりも白杖のお話をしやすくなったように思います。

先日、地下鉄で隣席の白杖の青年。

さっと、リュックから、スマホを出して、画面見ず(見えない)に操作。

音楽を聴いていたのか、SNSをしていたのか、楽しそうでした。

 

日本臨床眼科学会は、今年は会場とWEBで。

『会場の福岡行きたかったな~』の思い叶わず、WEBで視聴中。

視覚障害・ロービジョンに関わるコースももちろん視聴。

 

『視覚障害』とアプリで検索すると、色々あります。

試して知ることも有意義です。

 

『一般の人にも関心を!』

地域かかりつけ医として、『小さな草の根運動!』(自称)です。

 

 

 

カテゴリー:眼に関すること

2022.12.7  押したり引いたり

担当の職場(スーパー)に近づくと、頭の中でテーマソングが流れるようになった産業医(院長)です。

 

1年に一度は健康診断結果の判定をします。

該当職場で労働は可能か、否か。

制限付き(時間・配置転換など)で労働は可能か、否か。

あとは、健診結果から、『要受診』対象者をピックアップします。

昨年、『要受診』と指摘した人が、今は『治療中』になっていると、ほっとします。

高血圧・糖尿病は特に自覚ないまま見過ごされやすいので、早期発見早期治療が大事です。

眼科健診項目は、視力・眼圧までがほとんどで、眼底検査まで健診で受けている人は少ないです。

眼科医としては、40歳過ぎたら、自覚症状がなくても眼科受診を!と言いたいところ(実際啓発しています)。

 

 

労災事故は、発生防止に努めていますが、担当する店舗でも一件発生しました。

50代女性スタッフが、飲料を積んだ台車を引いている際、誤って台車の車輪に足の小指を巻き込み骨折。

普段、台車(スーパーやホームセンターのカートではない)を使用したことのない院長は、早速、職場巡視で確認。

バックヤードに台車は多数。

荷物が載っているのも、空のも。

『これで小指骨折するんですか?』

カートを前後に動かしながら店長さんに尋ねます。

別のカートの場所に連れて行ってくれます。

2リットルペットボトル6本1箱が12箱。

上下2段に乗っています。

合計144キロ。

該当女性に近い院長(体系は不明)。

かなり重いながらも、車輪がついているので、押す方向にも引く方向にも動きます。

 

『引いていた時の事故でしたよね?』

普段、台車やカートは押すイメージの院長。

スーパーでは、品物の量(かさ)も重量も多くなります。

押して動かすと、前方不注意や、重量で走行の制御が効かず、お客様に被害を及ぼす恐れもあるそうです。

だから、自分のほうへ引きながら商品を運ぶのだそう。

しかし、重量のある台車だと、引いた時の重さで、すぐに静止しない場合があり、今回もこれに該当(かつ、バックヤード通路がやや暗かった)したとのこと。

自分も144キロ荷重の台車をやや勢いをつけて引いてみます。

結構なパワーの台車を受け止めないといけません。

小指が下敷きになったら折れるかも!?

その後、念のため、安全シューズの支給もすることになりました。

 

台車を引きながら浮かんだのは、視覚障害者を誘導する体勢。

クリニックでは、眼の悪い患者さんが多く来院されます(眼科なので当たり前)。

中でも、視力や視野がひどく悪く、院内を歩くにも、介助が必要な方がいます。

もちろん付き添いの方がおられますが、誘導の仕方は色々。

目が見えないから…と、患者さんの手を引っ張って進行方向に後ずさりしていく介助者が多々。

これは、介助者も進行方向が見えないので危険ですが、患者さんにとっても引っ張られる行為は不安です。

見えていないのに、どんどん前に行く不安。

視覚障害の方を介助するには、原則、横に立つことです。

肩もしくは腰に手を添えて、声をかけてゆっくり進む。

白杖で介助者付きの場合は、介助者の肩に手をかけて後ろを歩くことが多いです。

その際も、介助者は、歩行のペースや障害物などを知らせる必要があります。

 

明日から、スーパーで台車を見かけたら、運搬方法と荷重を見てみようと思います。

今回も、新しいことを知った産業医業務でした。

 

 

 

 

 

カテゴリー:健康 公センセの日常の出来事 産業医 眼に関すること

2021.11.30  オバサンのおかげで…

先日、地下鉄で街へ。

途中まで文庫本を読み、スマホに切り替え…

知らぬ間にウトウトしていたようです。

停車駅の駅名表示にハッとして、『あれっ!?もう丸の内?』と、隣に話しかけます。

院長の顔をまじまじと見たのは、眼鏡をかけた60代と思われる年上オバサン。

誰?

当然向こうも、このオバサン(院長)どうしたの?と驚いた顔。

日曜日の夫との外出モードになっていたよう。

『失礼しました!家族と一緒に出掛けていたと勘違いしまして…(そんなことある?)』冷や汗。

『そうでしたか。それより、乗り過ごされなかったですか?』

『名古屋なので大丈夫です』

2駅の間、なぜか話が盛り上がってしまったオバサン同士でした。

年上オバサンは、桑名集合のウオーキングに行くそうで、お勧めのコースを教えてくれました。

楽しいエピソードになったのは、隣がお姉さんオバサンだったおかげ。

もし、隣が○○だったら違う展開が…また妄想で遊べそうですが、失態には注意です。

 

寝過ごした一件で、忘れられないのは、三男のハプニング。

当時小学1年生の三男。

スイミングクラブの送迎バスは、大人で徒歩15分の学区外停留所まで。

しかも、時間は、当院の診療時間開始後です。

1年生になったばかりの子供一人でお迎え場所まで行かせることは、当時、心配で出来ませんでした。

仕事をしているために、送迎バスの停留所まで連れて行って乗せるだけの時間が取れない歯がゆさ。

わずかな隙間時間を助けてほしいと思っているワーキングママは今も多いはずと思います。

 

対応策として、自院の傍の停留所から市バスに乗せることにしました。

送迎バスより早く出ることになりますが、診療前にバス停に一緒に行き、乗車を確認することが出来ます。

乗車時、運転手さんに行き先を告げる

運転手さんのすぐ後ろの席(最前列)に座る

2つの決め事です。

走り去るバスに手を振って、午後の診療に臨む院長でした。

 

ある日の診療中、受付から電話の取次ぎがありました。

出てみると、オバサン(恐らく60代~70代)。

『○○(息子)君のお母さんですか?』

『はい、何か?』

『今○○君に代わりますね』

『○○ちゃん!?どうしたの!?』

『うんとね~新瑞橋まで来ちゃった~』

 

オバサンの話によると…

その日は遠足の日だったので、疲れてバスの中で眠ってしまったそう。

降りるべき停留所はとっくに過ぎて、終点で降りるオバサンに気づかれたという始末。

息子は、思わぬ展開に泣きべそ。

家の電話番号は覚えていなかったけれど、クリニックの名前は言えた息子。

オバサンが公衆電話から当院に電話をかけてくれました。

かくかくしかじか…

『では、折り返しのバスに乗せますね。○○(乗車場所)のバス停で降ろしてもらうよう、さっきの運転手さんに言っておきますね』

『お手数おかけしました。よろしくお願いいたします』

 

ドキドキ…

無事に息子は戻ってきました。

オバサンのおかげ。

母は安堵と自責の念。

 

あの時の出来事は、息子にとっては大事件。

今もしっかり覚えています。

もちろん母もしっかり覚えていてますが、思い出すたびに胸が痛むエピソードです。

『あの時は~』と笑い話にしてくれる息子に、働き続けてきた母は救われます。

今日30日は三男の誕生日。

大人になっても、母にとっては小さいままの息子が心の中にいます。

 

オバサンのおかげで…

そんな日常の一コマに登場する、名もなきオバサンになれたら…と思います。

 

 

 

 

 

 

 

 

カテゴリー:公センセの家族・恩師・友人など 公センセの日常の出来事

2021.11.16 目が黄色い!?

日常診療で結構多い訴えのひとつは、『眼が黄色い』

医学生の時は、眼が黄色い=黄疸=肝機能障害と覚えたものですが、医療も発達し早期発見早期治療の現在、少なくとも日常診療で黄疸を見つけることはありません。

しかし、患者さんの中には、『黄疸では?』と問診に付け加えている場合も。

 

気にして来院される患者さんの多くは女性です。

茶目(角膜)の3時、9時方向の白目(結膜)が黄色っぽくなっています。

やや隆起している場合もあります。

『瞼裂斑(けんれつはん)』と言います。

結膜に限局し、角膜には及ばないのが特徴です。

病気ではないので、治療の必要はありません。

例えて言うなら『眼のしみ』

紫外線の曝露が要因とされています。

加齢により、紫外線の曝露量が蓄積され多くなるので、30代くらいから見られることも。

 

ただし、瞼裂斑に炎症が起こり、充血や痛みが出れば、瞼裂斑炎(けんれつはんえん)となり、炎症を抑える治療をします。

また、瞼裂斑は時として、ドライアイの症状を悪化させます。

瞼裂斑が大きめのドライアイの人は、涙が瞼裂斑方向(3時、9時)に流れていきやすい(盗涙とも言われます)ので、ドライアイ症状が悪化しやすくなります。

治療の必要がない旨を伝えると、安心される一方、長年(多くは加齢)の紫外線曝露と知りショックを受ける患者さんも。

院長自身は、意外にも、瞼裂斑を認めません。

眼科医30年、専ら暗室での仕事が奏功しているのかも?

 

実際、中学生を対象に、石川県の内灘町と沖縄県の西表島で瞼裂斑の出現を比べたスタディがあるのですが、より紫外線の強い西表島では中学生でも瞼裂斑が認められた報告があります。

さらに、アフリカでは、出現率が高くなっています。

 

さて、茶目(角膜)に白っぽい出来物が…と来院されるのが『翼状片(よくじょうへん)』です。

瞼裂斑と同じ位置(多くは鼻側)に出来ますが、白目(結膜)の一部が、角膜に侵入してきます。

自覚がないことがほとんどですが、大きく侵入してくると、充血や異物感を伴います。

さらに、角膜中央に向かって進行すると、乱視が強くなってきます。

翼状片は何年、何十年もかかって進行します。

しかし、乱視が強くなってきたり、黒目(瞳孔)と茶目(角膜)外側との真ん中くらいまで侵入したら、手術を勧めます。

翼状片の原因も、紫外線の曝露と考えられています。

 

 

病院時代には、瞼裂斑が主訴の患者さんを診ることはありませんでした。

重症疾患や、希少疾患が多くを占めます。

開業して、地域のお医者さんになると、ちょっとしたことでも相談に来院されます。

治療の必要がないものについては、心配ないとお伝えしますが、共感と安心を提供することも大事だと思っています。

 

オバサン(院長)になって、眼科医経験・人生経験を積んだ分、共感できることは多くなりました。

年を重ねるのも悪くないと思うこの頃。

オバサンだけどオバサンじゃない!のモットーで。

(このニュアンスわかってもらえますか?)

 

こちらもご覧ください

サングラスどう?

 

 

 

カテゴリー:公センセの想い 眼に関すること

2021.11.9  もはやお母さんではない

就学時健診の時期です。

近隣の小学校3校を受け持っているので、自転車で出かけます。

 

毎度のことながら、校門には、習い事のチラシ配りの人が。

数年前までは『お母さんですか?』と聞かれたものの、今は声もかけられません(当たり前ですが)。

 

この秋から読み始めた源氏物語(現代語訳)で、主人公・光源氏は40歳で孫を抱くシーンがあります。

65歳くらいの尼君(明石の御方の母)に至っては、十分品よくふるまっているようだが、もうろくして耳もよく聞こえない様子(と書かれています)。

はるかかなた、平安時代は、寿命も短い分、人生の営みも早かったのでしょう。

現代は、結婚出産も遅くなったとはいえ、院長の年齢なら『おばあさんですか?』と聞かれて『そうです』と答える人もいます。

健診の介助に付く若い先生は、息子たちと同世代。

早い家系なら、おばあさんです。

 

担当する小学校は全て視力検査をしてから、眼科の健診になります。

教室に自分で入ってこられる子、母親と手をつながないと医師の前に立てない子、入り口で泣いて入ってこられない子、診察の前で急に泣き叫ぶ子などなど色々です。

しかし、入学後の学校検診では、ほとんどの子は問題なく健診を受けられます。

ほんの半年ほどですが、1年生になり心にも成長が見られます。

ルールに従うことも、多くの子供ができるようになります。

1年生と2年生、2年生と3年生など、学年による心身の成長差はいつも感じることです。

 

今回視力が出なかった子(B/C/D)には、近日中に眼科での再検査を勧めます。

また、気になる眼の症状(斜視や眼の病気)がある子も、眼科の受診を勧めます。

『はい、わかりました』という保護者。

『ホントに見えなかったの!?』と子供に詰問する保護者。

『ふ~ん』と全然気にしていない様子の保護者。

保護者も色々です。

 

視力は、本人の見え方なので、再検査したときに異常はないかもしれません。

しかし、遠視や近視・乱視や何かの眼の病気がある場合もあります。

異常がなければ『良かったね』

異常があれば『早めにわかって良かったね』

 

就学時健診で視力D/Dだった患者さんが来られました。

少し遠い地域からの来院です。

強めの近視がありましたが、どんな度数を入れても矯正視力が出ません。

本当に近視なのか(子供は、見かけ上の近視ということがあります)、眼の奥に異常はないのか、精密検査をしました。

すると、見かけ上の近視で、実際には近視ではありませんでした。

また、眼の病気は何もありませんでした。

視力は出るはずなのに…

トリックを使って視力検査をすると、ちゃんと1.0まで出ました。

急を要する眼の病気はないこと、心因的な要因があること、視力は出ることをお母さんにお話しして経過を見ています。

『大丈夫!』

『安心して!』

お母さんによくかける言葉です。

 

先日81歳で校医をしておられる先生とお話しする機会がありました。

いまだに、自院の診療も。

81歳から見たら、まだまだ自分(院長)は若造ですが『お母さんですか?』と聞かれる年でもなし。

定年が来るまで、学校医頑張ります。

 

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2021.11.2 身代わりどじょう

信心の浅い院長ながら、寺社仏閣も訪ねるのは好きなミーハーです。

しかし、眼科医ゆえ『目』に関するご利益処には、一番関心があります。

学会先でたまたま見つけたお寺。

スタッフが見つけてくれたお寺。

患者さんが教えてくれたお寺。

その度に、当院の患者さんの眼病平癒を願い、お守りをいただき、院内に。

もちろん、眼科医(院長)が診断治療の道筋を示し、患者さんが点眼・通院順守の前提あってのプラスαですが。

現代医学が発展しても、治らない病気も多々。

しかし、現代医学だからこそ、少しでも進行を遅くしたり、不自由さを最低限に出来る治療を、医学的根拠を持って提示できます。

 

久しぶりに、見つけた『目』のご利益処。

しかも、縁日が開催される日が、たまたまの休診日。

この日を逃したらいつ行けるか…

決行すべし!

 

目的地は、富田林(大阪府)の瀧谷不動明王寺。

 

新幹線・近鉄経由で。

駅からは徒歩15分とのこと。

グーグルマップを用意するも、人の大きな流れが。

付いていけば間違いなさそうです。

お参りに向かう人は、平均年齢70歳超。

ウォーキングではないので、緩い服装、足取り。

縁日なので、出店も多く、のぞきながら歩いて行けます。

関西弁の話し声が良いBGMです。

豆・寿司・炊き込みご飯・野菜果物・こんにゃくなど食べ物。

洋服・帽子・靴下・タオル・靴・食器などなど。

全部合わせると、よろづや(雑貨屋)が開けそう。

 

目的の『瀧谷不動明王寺』に到着しました。

「日本三不動の一つ」といわれ、目の病気にご利益があるとされています。

いつものように、患者さんの病気平癒を願い、「晴眼守」のお守りを。

 

ここには、本堂に参る他に、色々な建物があります。

 

今回の目玉?は、『身代わりどじょう』

お不動様に目を助けてもらおうとお願いする際には、どじょうを持って参り、それを瀧谷の川に放してお願いすれば、このどじょうの眼が自分の眼の身代わりとなり、眼病から助けてもらえると伝えられています。

言い伝えでは、この川に放たれたどじょうは、すべて片眼は失明して白くなっているそうです。

お不動様がどじょうの姿となって、自らの片目を捨てて身代わりになってくれるからだそうです。

昭和の初めに、お坊さんが調べたところ、川には片眼の白いどじょうばかりだったそうな。

 

眼科医としては、どじょうが、遺伝性の角膜混濁をきたす病気に罹っていたのではないか…とも思うのですが(罰当たり)。

ヒトだったら、○○、○○などなど…と、角膜混濁をきたす病気とその原因を考えてしまうのも、職業柄。

 

信心が足りないながらも、どじょう流しをしてみます。

缶に入ったどじょうの稚魚が並べられています。

一つ選んで購入します。

お願いを込めて、樋からどじょうを優しく放流します。

そこから、下の川に下っていきます。

小さな浅瀬ですが。

 

お願いを背負って大きくなってね。

 

神聖な場で、浅草のどぜう鍋、安来のどじょうのから揚げ…浮かぶ院長は、本当、信心より煩悩(反省)。

 

眼病以外に『芽の出るお不動様』と言われ、勉学、スポーツ、芸事、商売などにも御利益が。

また、縁日の日、経木は当日の護摩行で唱えてもらえます。

そのため、多くの人で賑わうお不動さんのようです。

 

『晴眼守』で患者さんの顔が少しでもほころんでもらえたら幸いです。

院内におまつりしてあります。                           

 

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