2022.8.2   おかげさまで25週年

開業初日の朝は今も記憶に新しい院長です。

8月1日まぶしい快晴の朝。

おかげさまで、25周年を迎えることが出来ました。

あの日以来ずっと地域の開業医として走り続けています。

 

異郷地で、小さな子供たちを抱えながら仕事を続けるのに、開業を選択しました。

開業の翌年に三男を出産。

自営業(開業医)は、産休・育休は保証されておらず、出産日と産後7日休んだ後復帰しました。

地域の開業医としての勝手な自負と責任感、若さゆえの体力が可能にしました(いつ寝ていたのか?)。

保育園の預かり18時に診療終了時間を設定したものの、お迎えはいつも遅刻。

我が家の子供たちはいつもお残り組でした。

 

眼科専門医の資格は取得したにもかかわらず、開業してみると、知識や経験の足らなさを自覚しました。

育児も中途半端で、女医がフルに働くことはなんて難しいんだろう!と嘆いたものです。

 

眼科医としての充実か、母親として育児の充実か?

優先したのは、医師としてのキャリア形成でした(もちろん悩みました)。

 

長男が小学校入学を機会に、自身も大学院入学。

しばらく遠ざかっていた大学病院の緑内障外来や研究。

開業医+育児家事に加え更に厳しい状況になりました。

子供たちがプールで泳いでいるのを見ながらのママ友の雑談から離れて、必死に論文を読んでいました(絶対的に時間が足りないので)。

台所にはパソコンを置き、4時起床が日課となりました。

子どもたちは、平日母とは遊べなくなりました。

 

あの時、今でなくても…と言う声もありました(家人ではない)。

もっと子供が大きくなってから…とか。

でも、あの時しかなかったし、あの時だからこそ出来たのだと思います。

医学博士は、最後のご褒美であって、その過程こそが大きな自信となっています。

 

緑内障の失明症例などを経験していくうちに、視覚障害者補装具適合医師の研修を受け、ロービジョンにも関心を持つようになりました。

パラスポーツを知って、まずは健常者のスポーツ医学を学ぼうと、日本医師会認定健康スポーツ医を取得。

ロービジョンとスポーツ医の次は身体障害者スポーツ医も取得しました。

患者さんの就労環境や健康管理の話から、産業医も取得しました。

また、高齢の患者さんも多いため、名古屋市もの忘れ相談医としてもの忘れ検診を実施しています。

開業以来拝命している学校医も、自身の資格や経験を活かして活動出来ていると思っています。

 

思い立った時はチャンス!

一歩踏み出すことで、その時はたくさん苦労もしょい込むことになりました。

でも、もっと先の未来(現在)に立てば、全てがつながっていると感じます。

眼科医が根幹を占めている院長ですが、色々関心のあることに枝葉を伸ばしたことで、幹も太くなってきたと思います。

 

当院は、オーナーシェフ1人でやっている小さなレストランだと思っています。

シェフの味と人柄を求めてお客様が来てくださるのが、生きがいです。

シェフは、お客様ひとりひとりが大好きです。

同じ気持ちを持ったスタッフも頑張ってくれます。

お客様の期待に応えるべく、気持ちよい空間(屋内外とも)つくりと、味の仕込みを続けています。

『来てよかった~また来るわ~』と言ってもらえる一皿をお出ししたいです。

 

知識も経験も年月を経て蓄えられます。

量ることは出来ませんが、院長の眼科医人生の中で、当院の患者様からの得た経験は大きなウエイトを占めています。

経験を診療で還元できるよう、これからも日々研鑽を積んでまいります。

地域のかかりつけ医として、今後ともよろしくお願いいたします。

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2022.7.26 ミレニアム

取引先の担当者が、同行者を連れてきました。

年に1~2回、どのメーカーでもあることです。

新人か上司か。

今回Aメーカーの担当Bさん(20代女性)に同行してきたのは、すらりと背の高い男性。

マスク越しなので、上司?新人?どっち?

『今日は新人同行で~す』

『Bさんも成長したわね~』

『公センセイ、驚きますよ!さあ、自己紹介して』

『Cと申します。2000年生まれの新入社員です。よろしくお願いします』

2000年生まれ!が、もう社会人だなんて!

うちの息子たちより後から生まれた人たちが、もう社会人なんて!

院長の思いを見透かしたかのように『ミレニアム生まれなんて、驚きですよね~』とBさん。

『びっくりしたわ~ミレニアム生まれが社会人なんて、時が経つのも早いわね~』と、オバサンらしい相槌。

 

2000年と言うと…

その前年から、新しいミレニアムに沸いていました。

 

せっかくの記念だからと、1999/2000/2001の絵皿をシリーズで手に入れたのも今は昔。

結局、騒々しい小さな息子たちのいる家では割れる恐れありと、食器棚にしまったまま現在に至ります。

もう、食事用の皿として使ったほうがよさそうです。

 

最近では見ることのない2000円札が発行されたのもこの年。

沖縄サミットを記念して、表には首里城の守礼門が。

数年後、首里城を見たくて降りた那覇空港には『2000円札を使いましょう!』のポスターが何枚も貼ってあったことを思い出します。

手元に2000円札を得ると真っ先に使うお札でした(間違えやすいので)。

もう発行してない現在に至っては、懐かしさも。

 

社会的現象としてのY2K問題は忘れられません。

日付の年部分を2桁の数字で管理しているシステムにおいて、コンピューターの誤解釈・誤作動が起これば、重要なシステムが停止する恐れがあるという問題です。

2000年という年代にコンピューターが対応できるか、各メディアがこぞって話題にしていました。

当院も、当時、電子カルテではないにしろ、コンピューターは導入されており、ドキドキしながら2000年1月1日を迎えたものです。

Y2K問題に備えて、年末年始の外出も控えていました。

結局、何も起こらないまま(少なくとも自身の周辺は)今に至るのですが、そのY2K問題も知らない世代がもう社会人とは…

 

Bさんがいつも以上のプレゼンをしてくれます。

さすが、先輩!

新人の前で気合が入っているようです。

前任者のDさんもずっと新人の時から4年担当してくれましたが、その成長ぶりは目を見張るほど。

新天地への赴任は、院長お墨付きで送り出したものです。

 

若い人の成長は、見ていて楽しいし、嬉しい。

もちろん彼彼女らが真摯に仕事に取り組んでいるからです。

だからオバサン(院長)も老婆心ながらアドバイスをします。

 

ミレニアムから22年。

BさんもCくんもDくんもうちの息子たちも子供から成人に心身ともに著しく成長。

オバサン(院長)とクリニックは、どれだけ成長したのかな~?

開業して2年ちょっとのミレニアムの年。

”まだ未来が霧の中~(ユーミンの歌詞)”でした。

ミレニアム青年を機に、振り返る良い機会に。

 

2000年の始まり、何をしていましたか?

 

 

 

 

 

 

 

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2022.7.12  桃のスープ

桃が店頭に並ぶようになりました。

桃はそのまま食べるのがとても美味しいのですが、院長の好きな一品に『桃のスープ』があります。

 

30年ほど前に家人が連れて行ってくれたレストラン。

そこで初めて桃のスープなるものを食べました。

桃は生に限る!もしくは桃の缶詰しか知らない地方(岐阜)出身者にとっては驚きの味!うっとりするような味でした。

 

以来、桃の出回る季節には必ず足が向きます。

 

『桃のスープ出てますか?』の確認をして、今年も出かけました。

『お待ちかねの桃のスープです』とサーブ。

この季節のお楽しみを口にすると、幸福度アップの院長です。

今年も、この味に出会えて満足。

しかも、この何年かは、家人は自分のスープを院長にくれるつもりで桃のスープを注文してくれます。

本人曰く、『それほど桃のスープに固執していないから、そんなに好きならもう一皿どうぞ』

長いお付き合いの賜物?です。

相手が好きなものは、譲るとか少し多めに分けるとか…

息子たちは、母(院長)に対しては、配慮するより配慮してもらう方。

将来のパートナーとは、譲り合いしないとね~

と言うわけで、二皿も楽しみ、大満足。

 

桃のスープで検索すれば、色々なレシピが出てきますが、自分では作る気にはなりません。

院長にとって、桃のスープは、そのレストランでしか食べられない特別なスープです。

こういう特別感が、日々の生活の活力になっているのかもしれません。

 

さて、新型コロナの流行が始まり、外出もままならない頃。

一人でこのレストランに出かけました。

サイクリング気分で、感染予防?のため自転車で。

カジュアルだけどレストランにはOKくらいの格好で。

閉塞感の毎日の中、あの日の桃のスープも美味しかったです。

その帰り。

信号のない、三叉路。

左折しようと停車の車に対して、左方向から自転車の院長。

右方向を確認して、左方向(院長方向)も見ているよね~と思いながら進行。

すると、車が左折しようと直進し、自転車の前輪と衝突。

相手のスピードも遅く、院長の踏ん張りも効いて、転倒はしませんでしたが、前輪のゆがみ。

幸い、自身の身体は大したことがなく、自転車の前輪のみ交換で済みました。

下肢の踏ん張りは筋トレの賜物?

踏ん張れなかったら転倒して大変なことになっていたかも。

桃のスープとリンクする痛い思い出です。

 

恐らく、視力・視野は問題ない運転者だったと思いたいですが、何回も曲がる方向の両方向を確認する重要性を改めて認識。

院長も日々診療で、視野欠損の患者さんの運転・生活指導(助言)をしています。

片眼が見えない場合、その目の外側はよほど首を大きく回すなどしないと、見落としにつながります。

上方が見えない場合は、信号機や標識を見落とすことがあり、注意です。

下方が見えない場合は、足元やカーナビ操作に注意です。

両眼の視野が周囲から狭まって、狭い中心しか見えない場合は、その周辺の変化がわからないので注意です。

周囲は見えるけれど、見たい中心が見えない病気もあります。

意外に、自覚せず、運転しておられます。

自分の特性(視力・視野)を知っていたほうが、より安全・安心に運転できます。

 

そして、事故防止には、運転者も、自転車・歩行者もそれぞれが注意を払うことが大事です(自戒を込めて)。

 

 

 

 

 

 

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2022.7.5 プラン75

『来週、免許返納するの』

『え~!?』

『後期高齢者(75歳)になったら、返納するって決めてたから。ちょうど、誕生日が来るから』

ある日の医師会の会合にて、A先生(女性)。

もうそんな年齢とは思えないほどのお元気さです。

『仕事はどうされるのですか?』

『車はやめても、仕事は続けるわよ』

あっぱれ!

隣で『僕は、前期高齢者(65歳)になりました』とB先生(男性)。

『A先生、すごいですね~。僕は後期高齢者になったら引退しようかな~』

B先生は多趣味。

毎日、趣味だけで予定が埋まりそうです。

『やっぱり、仕事が好きなのよ。患者さんと向き合って仕事することが。ストレスの元凶でもあるけどね』

敬老パスの使用頻度、高齢者受給者証の制度、自身の健康など…内容は多岐にわたり、テーブル最年少とはいえ、しっかりオバサンの院長はふむふむと(老後の)参考になることばかり。

 

先日、今話題の映画『プラン75(倍賞千恵子主演)』を見てきたばかりの院長。

そのことを話すと、みなさん『どうだった?見たいと思っている』との声声。

 

『プラン75』は、75歳(以上)になったら、生死を選択できるという国の政策。

まだ人生を送りたいという人には無理強いはされませんが、先の人生プランを描けなくなった時の選択肢として用意されています。

プラン75を選択すると、現金10万円をすぐ支給され、好きなように使うことが出来、死ぬ前日まで相談員が毎日電話でサポートしてくれます。

死ぬ前にある程度安らかな(あきらめの?)境地を作り死にいざなう。

もちろん心変わりも可能です。

この政策のお陰で、国も高齢者を支える若者負担も減る画期的な策とのこと(映画では…)。

このシチュエーションの中で、ホテルの清掃員を解雇された一人暮らしの主人公がどうなっていくか…

院長は一人で鑑賞したのですが、劇場はほぼ60代、70代の観客で埋まっていました。

 

老後なんて遠い未来だと思っていた頃。

開業当時、かなり年配の現役の女性医師と話す機会があり、年齢を聞いたところ、当時の院長の倍以上!

自分の人生の倍以上の人が、まだ現役で仕事をされている事実に驚きでした。

今や、親子ほどの年齢差の若い医師が誕生。

彼らから見れば、私たちの年代の医師は、遠い存在のオジサンオバサン医師。

きっと医師人生30年と聞いてもピンとこないと思います。

しかし、医師会や学会で院長より更に年長の諸先輩の話を聞くと、老後は近づいているけれど、それなりに明るそうです。

オバサン院長ですが、久しぶりに『若いわね~』の言葉を浴びた一夜でした。

 

『過去に戻れたら○○歳と言う人がいるけれど、私は、今が一番いいと思ってるの』

A先生の力強い言葉。

院長も、まだまだ若輩者ですが、オバサンの今が一番ベスト(更新中)と思っています。

 

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2022.6.28 納得いかない

学校検診の受診のお勧め用紙持参の患者さんの中には、毎年、眼科的にはどこも悪くないのに視力が出ない『心因性視力障害』があります。

何かしらのストレスで視力が出にくい状態になっています。

ストレス(家庭・学校・友人・習い事関係が多いように思います)の心当たりがあれば、軽減。

眼鏡をかけたい眼鏡願望の場合もあります。

患者さん(子供)へ寄り添い、

保護者からのヒアリング。

必ず視力が出てくるので焦らないことをお話しして、今まで以上に愛情を注いで関わってほしい旨を伝えます。

結構時間のかかることですが、励まし、経過を見ていくことで結論が出てきます。

ただし、1年近く変化がない場合は、心の専門科へ紹介することもあります。

 

先日はWEBで『心療眼科研究会』に参加しました。

この研究会に参加しようとしたきっかけは、既述の『心因性視力障害』です。

20年以上前のある学会での『心因性視力障害』の発表が非常に印象強く残りました。

心療眼科研究会は、今年で第15回ですが、以後テーマは変わりつつも、眼と心(精神)がテーマです。

 

さて、今回のキーワードは『白内障術後不適応』

白内障手術は、今や、スタンダードな安全な手術として確立しつつあります。

もちろん、患者さん個々にリスクファクターの有無・程度は違いますが、眼科医が一番先に習得する内眼手術です。

ですが、客観的には成功した手術(どの医師が見ても)なのに、予想外の見えずらさ・違和感・疼痛・羞明を長期に訴え、心身の不調に悩まされる患者さんがいることが分かってきました。

全白内障手術の数%ほどだそうですが。

実際には起こっていないことが原因と考えたり…

(眼内レンズが傾いているのでは?)

(眼内レンズの度が合っていないのでは?)

(手術中に痛みを感じたせいでは?)などなど疑惑と不安の嵐です。

 

手術後の過剰な期待(軽度白内障や軽度視力障害で施行)や、患者さんの認知のゆがみなどが可能性としては上げられますが、スパッとこれが原因でこの治療で…と単純には行かないようです。

このような患者さんは『心体症状症』という病名で、精神科的な治療も必要になる場合もあります。

しかし、その前に、眼科医は、患者さんに寄り添い、納得いくようにするようなアプローチに努める必要はあります。

 

他院で、白内障に限らず、手術後、色々と訴えの多い(自分で納得かない)患者さんは来院されます。

手術の出来(問題なし)と、患者さんの自覚は違うことも多々あることを実感します。

客観と主観の一致なら、とてもハッピーなのですが、現実は難しいです。

 

今回の特別講演は何と大学の同級生Kさん。

10年以上前に上京したのは知っていましたが、こんな所で遭遇するとは!

研究会の案内の演者を見て、Kさんだと確信。

卒業以来のズームでの再会(向こうからは見えてないけれど)。

KさんはT大病院で精神科医として活躍中。

ちょっとだけ年を取ったけれど(お互いさま)、変わらないわ~

 

偶然の繋がりに感謝し、同級生の活躍を誇りに思い、久々に便りを出した院長です。

 

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見えるのに見えない

もはやお母さんではない

 

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2022.6.21 ちゃんと珈琲

アフタヌーンティー人気の昨今。

インスタ映えするらしく、ヌン活と言う言葉もあるそうです。

 

20年くらい前に、紅茶ブームがあり、院長も紅茶にはまった一人。

紅茶○○という資格(と言っていいものか?)が取れると言う、通信講座を受けたことがあります。

茶葉の種類、大きさや産地、香り、テスティングなど課題をこなすと一通り紅茶通?になれました。

茶葉にこだわり、水にこだわり、茶器やポットにこだわり…

当時は、名古屋(緑区)にさえ、茶葉や産地に特化したお店はありませんでした。

また、ジャンピング(お湯の中で茶葉が舞う)効率の良いポットも見つかりませんでした。

東京の学会の時に、紅茶専門店を探し、ポットや茶葉を買って帰ったこともありました。

 

しかし、いつの間にか気が付くとコーヒー派に。

院長にとっては、落ち着くよりも、気合を入れる朝の飲み物です。

 

先日、とあるコーヒー教室に参加しました。

某コーヒー豆(焙煎)店のオーナーが講師です。

 

ざっと話を聞いた後に、3種類の飲み比べをします。

ごくっと飲むのではなく、軽く一口飲んで、鼻孔に来る香りを感じながら味わいます(と助言)。

No1.酸味弱く苦み強く香ばしい

No2.酸味強く柑橘系の香り

No3.酸味と苦みのバランス良し

3種類を飲み比べると、明らかに違いが分かります。

どれが普段飲んでいるのに近いか、好みかも。

 

コーヒーは、産地と焙煎具合(浅入り・深入り)で味が違うそうですが、焙煎のほうがより味に違いが出るそうです。

普段愛飲しているコーヒー粉は、スーパーで手に入るものですが、コクや苦みの強めのものなので、焙煎も深いのかもしれません。

紙フィルターを通して入れた場合と、フレンチプレス(紅茶を頼むと出てくる筒形ポット)の場合では、コーヒーの油脂が混じるか否かで味が違うそう(院長も味わって実感)。

 

ハンドドリップで入れるお手本も見せてもらいました。

ミルで豆が挽かれていくと、辺り一面に芳しい香りが漂います。

美味しく入れるのに、ペーパーフィルターの紙質はポイントとのこと。

注ぎ口の首が長く細いケトルから、周囲にお湯をかけ、豆を膨らませ、その後中心部を楕円を描くよう湯を少しずつ注いでいきます。

 

コーヒー粉が、ふくふくと盛り上がっては沈んでいくのを見ているのは楽しい。

煎り立て、挽き立て、淹れ立てのコーヒーは最高!

プロがやると、会議室でも、ちゃんとしたコーヒーが出来るなんて!

 

ちょっとプロから話を聞くだけでも『へ~』の連発(知識増)。

 

コーヒーメーカー任せですが、ふだん飲んでいるコーヒーも、それはそれで美味しく飲んでいた院長。

コーヒー教室の翌日、いつもの手順で淹れたコーヒーなのに何か違う。

『いつもと同じ』と家人。

う~ん!?

香りです。

嗅覚の記憶も侮れません。

以前往診に行った障がい者施設では、入居者が当番でおやつ時のコーヒーを挽いていました。

芳しいコーヒーに包まれて診察をしたのを思い出します。

 

やはり豆を挽くところから…(煎りはプロに)

ミル単独を買うか、ミル搭載全自動にするか…考える時間が楽しい。

 

1日3杯コーヒーを飲んだ健常人は、飲まない群に比べて眼圧が優位に低かったという結果があります(対象約1万人)。

これが緑内障予防になるかは、まだまだ不明です。

しかし、気合付けに飲むモーニングコーヒーの習慣は継続していきます。

 

 

 

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2022.6.14 暗いところで

学校検診後の『受診のお勧め用紙』を持って受診される患者さんが多い毎日です。

ほとんどは、視力低下です。

眼科で視力検査をすると、1.2ずつ出て、近視も遠視もなく、問題のない子もいます。

『学校では何で悪かったのですか?』

『おそらく、緊張とか他の様々な要因でたまたまだったのでは?眼科できちんと検査して問題ないから安心してください』と伝えます。

お勧め用紙をもらって受診、何もなくて何よりです。

対して、B(1.0未満)でお勧め用紙をもらっても、けっこう近視度が強いこともあります。

子どもは、ピント合わせの力が強いので、少し頑張れば見かけの裸眼視力はアップします。

 

学童の視力低下で多いのは、近視です。

近視は、遠くのものが見えにくくなります。

もっとも低学年では、見えにくいという意識が低いため、成人よりも近視が進行していても気が付かないことが多いです。

 

光は水晶体(茶目)を通して、眼球の底(網膜)にピントを合わせます。

網膜上に焦点がきちんと合っていると、物がはっきり見えます(脳が認識)。

近視の場合は、網膜の手前に焦点が合います。

このため、遠くのものが見えにくくなります。

遠視は、網膜の後方にしか焦点が合わないので、遠くも近くも見えにくくなります。

近視・遠視とも、眼鏡によって、焦点を網膜上に合わせることで、物をはっきり見ることが出来ます。

水晶体は、遠くを見るときは薄くなり、近くを見るときは厚くなります。

この調節をするのは、水晶体を支えている毛様体筋です。

この働きが鈍ると、ピント合わせがしにくくなります。

また、一般に、近視は眼軸長(目の奥行)が長く、遠視は短い傾向にあります。

 

近視の進行抑制には、外遊びや、20/20/20ルール(20分PCなどを見たら20秒20フィート(6M)先を見よう)が推奨されています。

『暗いところで本を読んだりゲームをしないほうがいいですよね!?』

院長も子供時代に言われていました。

その頃は、なぜかはわからず、言い伝えみたいなものかと聞いていましたが。

 

暗所で物を見ると、瞳孔(黒目)が開いて光を取り込もうとします。

瞳孔が開き続けると、目に入る光の量は増えますが、ピントがぼやけやすくなります。

これが刺激となり、眼軸長が伸びる(=近視化)報告もあります。

若いと、瞳孔の開きの調節がスムーズなので、暗所でも平気で字が読めますが、注意です。

 

ちなみに、加齢により、暗所の作業はしんどくなります。

薄暗いムーディーなお店では、目を凝らしてもメニューが読みづらいこと。

暗めのカフェで読書する気にもなれません。

同様のことを訴えて来院される患者さんも多々。

院長も経験済みです。

加齢により、瞳孔は小さくなり、暗所で瞳孔を調節することも困難になります。

だから、オバサン(院長)は明所を好むようになります。

ムードは関係なしに。

 

往診で老人ホームなどの施設に行くと、暖色系の灯りで統一されています。

暖かさや落ち着きをアピールするにはいいと思います。

しかし、この照度では、入居者は美味しくご飯を食べたり、読書が出来ているのかしら?

テーブルにLEDスタンドでも置いたら、コントラストがはっきりするのにな~(ムードはこの際なし)と思います。

 

ムーディーな暗所も時と場合によっては必要です。

でも、何かをしっかり見るときは、明るくしたほうが良いです。

見なくて済むものも見えるかもしれませんが。

 

 

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2022.6.7 ちむどんどん

大学で同級生だったAさんにメール。

『5月〇日~〇日、そちらに行きます。

もし、都合がつくようなら再会しましょう』

『嬉しい!でも、こちらは梅雨です。例年の3倍。梅雨明けのほうがいいよ』と返事。

 

ふと思い出して、日帰りで再会したのは3年前。

今回は、学会のため、日時は決まっています。

 

沖縄に梅雨…今更ながら、沖縄にも梅雨あり。

沖縄へは何回も行ったけれど、梅雨の時期は未体験。

いつも太陽サンサンと輝く明るい沖縄の気候しか知りませんでした。

台風はイメージできても、梅雨は…想像もしていませんでした。

 

沖縄で開催される学会は、非常に珍しいのですが、Aさんに再会できるかも?の期待もあって、決行。

観光やリゾートでなく、勉強に行くのですが、気分はハイになります。

到着した那覇空港。

亜熱帯の独特の湿気と気温。

案の定、やはり雨でした。

 

学会場は、スーツ姿のドクターばかり。

しかし、会場を出ると、かりゆしやリゾート客が目立ち、オキナワというアウェイを実感します。

今回は、初めて新型コロナウイルス関連のセッションがあり、何題か発表されました。

今後も症例が色々集められ、傾向と対策として後世に伝達されていくのだと思います。

病気にかかった患者さん一人一人が、次世代への医学の貢献に関わっているのです(日々の診療でも、患者さんの病気から学び、成長している院長です)。

 

また、長く教授職に就かれ、今も現役の医学研究者K先生の招待講演。

冒頭で、そんな偉大な先生のことを、学会場の研修医クラスは知らなかった…と言うエピソードを笑って話されました。

若い医師から見たら、随分高齢な医師…くらいにしか見えないかもしれません。

自分たちも、若い頃、高齢の医師を見て、実は眼科学の発展に大変寄与した先生だとは想像できなかったことがあります。

経験を重ねるにつれ、先人・先輩は如何に素晴らしい(素晴らしかったか)、そしていつまでも自分の目標の人たちなのだと認識します。

『現在の不可能を未来に可能にする』

その言葉の通り、若いころからK先生の講演でずいぶん勉強させていただきました。

どんな仕事もそうですが、長年積み上げてきた知識・経験・技術は何事にも代えがたいものだと思います。

幅も深さも広がっていく。

成長は緩やかになりますが、成長し続ける医師でありたいと改めて決意した次第。

 

毎日の大量の雨。

出かける気にもならず、ホテルで、地方紙を読みます。

自分たちの知らない沖縄のニュースがたくさん。

基地絡みのニュースもほぼ毎日です。

お悔やみ欄が大きいのも沖縄の特徴。

喪主欄には、妻や長男・次男…その嫁、長女・次女…その婿、孫や義兄弟姉妹など一族総出の名前が出ています。

色々発見?するのも楽しいです。

 

最後の夜はAさんに再会。

はるばる中部(沖縄県の真ん中あたり)から出てきてくれました。

中古の軽で。

『小道に停めておいたら、急に大雨になって浸水しちゃった。15分くらい降っただけなんだけど。だから代車』

滞在中も、急に激しい雨(スコールみたいな?)が短時間何回か降りました。

沖縄あるある、らしい。

Aさんは、生粋の沖縄人。

『ねえねえ、今、ちむどんどん(朝ドラ)やってるけど、どういう意味?』

『公ちゃん来るさ~、嬉しくてちむどんどん。楽しくてちむどんどん。って使うさ~』

激しい雨でも、優しくなれる沖縄でした。

 

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2019.3.5  約30年ぶり

 

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2022.5.31 眼科で隔離

眼科の場合、新型コロナウイルスやインフルエンザウイルスのように、患者さんを別エリアに誘導・隔離することは滅多にありません。

しかし、眼科で唯一、別場所に移動・(準)隔離する病気があります。

流行性角結膜炎、通称『はやり目』です。

受付時点で、充血・めやにの患者さんで『はやり目』を疑う場合は、念のため、他場所で待ってもらいます。

院長がさっと患者さんを診察しに行きます。

問診(いつから、どんな症状か、熱はないか、周りに似たような症状の人がいないかなどなど)と、眼の状態を診て、疑わしい場合は迅速診断キットで確定診断をします。

まぶたの裏側を綿棒でこすり、アデノウイルの抗原を確認します。

キットの診断時間も短くなり、5~7分くらいで検出されます。

出たら100%陽性(特異度100%)ですが、出なかったから100%陰性ではなく(感度100%ではない)、診察上怪しい場合は、はやり目に準じた説明・治療を行います。

 

流行性角結膜炎は、『はやり目』という通り、非常に伝染性が強い結膜炎です。

家族内や、保育園・学校などで集団感染することもあります。

学校保健安全法では、出席停止になる病気です。

潜伏期間は8~14日です。

子どもから兄弟姉妹へ、そこから親に…と、時期をずらして全員感染の一家も珍しいことではありません。

研修医の頃、はやり目の患者さんから『‘○○眼科では持ち物全部燃やしなさい‘と言われました』と言うエピソードを聞いたことがあります。

当時の感染症に対する恐れもわかりますが、今は、そこまで過激に言う眼科医はいないと思います。

 

アデノウイルスのいくつかの型が流行性角結膜炎を起こすと言われています。

典型的な型以外にも、新しい型が見つかっています。

 

主な症状は、目やに(どちらかと言うと水っぽい)・充血です。

ショボショボしたり、時に発熱や耳介リンパ節を伴います。

片眼から始まることが多いですが、1~数日で両眼に発症します。

初めに発症した眼のほうが、症状が重いことが多いです。

 

アデノウイルスによる特効薬はありません。

しかし、炎症を落ち着かせるためのステロイド点眼と2次感染予防の抗菌剤を処方します。

順調に行けば、治癒するまでに7~14日です。

しかし、充血がなかなか引かない、角膜に傷が出来た、偽膜(ぎまく)が出来た…などの場合は、もう少し長引きます。

また、治癒した後も、1~2週間後してから、黒目(角膜)に濁りが出ることがあります。

小さな濁りだと自分では気が付きませんが、多くの点状の濁りが出ると視力低下を生じます。

治癒しても、念のため2週間くらいしてから、再度受診をお勧めしています。

実際、15年以上前のはやり目の後遺症(角膜の濁り)で、今も治療中の患者さんもいます。

消えたり、出たり…長いお付き合いです。

 

新型コロナウイルスもあって、手洗いが励行されていますが、アデノウイルスもとにかく手洗いです。

眼科医にコンタクトレンズではなく眼鏡が多い理由の一つに、出来るだけ自分の眼を触らない状況を作ることがあります。

院長も、新型コロナウイルス流行と自身の老化(老眼)に併せて、眼鏡にシフトしました。

眼を触る癖のある人は、特に気を付けてください。

夏の風物詩?と言われた『はやり目』ですが、今はどの季節でも起こっています。

 

 

 

 

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2022.5.24  3つのお約束

今年度の学校医の仕事が始まりました。

春の眼科検診・秋の就学時健診・学校保健委員会が3大活動です。

そのほか、学校医として随時求められれば相談や助言をしたり、全国学校医会に参加したり…などなど。

院長は、小中学校併せて4校(一時は5校)受け持っています。

 

学校医の良いことは、生徒たちの成長(若い息吹)を感じられることです。

20年以上同じ学校3校を受け持っていますので、小学1年生に上がる前(就学時健診)から中学3年生までに検診に携わる生徒たちもいます。

また、親子2代にわたり、検診をするという機会も出てきました。

嬉しいことであり、有り難いことです。

 

さて、眼科検診では、3つのお約束があります。

1.(養護教諭に)名前を呼ばれたら、『はい』と返事をする。

2.整列のテープに沿ってきちんと並ぶ。

3.眼鏡をはめている生徒は、外して検診を受ける。

この3つを、検診を始める前に、養護教諭・担任・学校医(院長)が連呼します。

生徒の数は以前より少なくなりましたが、700名くらいの規模(ピーク時は1000人超)の学校ばかりなので、スムーズに行うためにはお約束(ルール)が欠かせません。

たった3つのお約束のはずですが…

これがなかなか…です。

 

『はい』と普通に答える子。

『ハイ!』元気よく大きな声の子(とても気持ちいい返事です。すかさず、先生が褒めます)。

『はい』耳をそばだてないと聞こえない小さな声の子。

何も言わずに立っている子(○○さんだったら返事しようね、と先生)

呼ばれる前に返事をする子。

なかには、呼ばれた子を差し置いて、学校医の前に立つ子も。

『自分の名前を呼ばれて返事をするのは、その人かどうかの確認をするために大事なことです。違う人を診たら大変だからね』と、学校医、連呼です。

 

整列のラインもジグザグになりがちです。

検診をどうやってやっているのか興味津々で、順番を超えて見に来たり、記入している養護教諭の机にウエイブのように流れて行ったり…

我が家の長男も小学1年生の時、学校検診で母(院長)を見つけ、『うちの母さんだー!』と大興奮。

並んでいる最中に、飛び跳ねて、机に頭を打ち付け、騒然となった一件があります。

入学式の日も通常診療をし、式に出席しなかった母。

公務で初めて来校したのは、長男にとってはすごく嬉しかったのだと思います(母の胸キュンの思い出)。

低学年の生徒は、学校検診でさえイベントになってしまい、興奮してしまうのかもしれません。

 

眼鏡を外しておくのも然り。

連呼の声を聞いていないのか、他の人の動作を見ていないのか、眼鏡をはめたまま立つ生徒も多々。

 

これらはさすがに高学年になると少なくなります(ここでも成長を感じます)。

ただ、個人差は否めません。

円滑に物事を運ぶには、ルールを守ること。

もちろん、検診の場合、特性を考慮して、全員に3つのお約束をさせるわけではありませんが。

 

検診後には、受診のお勧め用紙が出されます。

受取った保護者は、速やかに、医療機関を受診してください。

大したことがなければラッキーだし、何か病気が見つかってもラッキー(早期発見早期治療)です。

学校医を拝命したばかりの頃、ベテラン小児科医に『お勧め用紙をもらって、親が受診させないのは、子供の健全な成長を阻む一種の虐待ともいえる』と聞きました。

学校医は生徒の成長を見守っています。

それが楽しみで学校医を務めています。

 

願わくば定年まで(学校医も定年あり)!の気合の院長です。

 

 

 

 

 

 

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