2025.3.11 こすってますか?
この季節、受験生の患者さんたちの嬉しい報告が。
『おめでとう!』
『良かったね!』
『もうそんなに大きくなったのね~』
隣のオバサン(院長)です。
コンタクトレンズデビューも多くなる時期です。
衛生第1で選ぶなら、1dayタイプのSCL(ソフトコンタクトレンズ)をお勧めします。
もちろん1dayでも使い方が悪ければ、感染など病気になることもありますが。
実際には、2週間タイプ(もしくは1か月タイプ)のSCLユーザーが半数以上を占めています。
当院では、必ず院長が目に異常がないか確認、また度数は適正かを把握しています。
過去の使用歴・病歴はAI並みに院長の頭に入っています。
アレルギーが出ていれば、CL装用時間や洗浄方法などを聞いたり、中止して点眼処方をしたり。
『こすってますか?』
かゆい訴えの患者さんは、目をこすっています。
かゆいからこする→こするからかゆいの負のループです。
また別の意味での『こすっていますか?』
CLの洗浄の仕方です。
1990年代は、日本ではHCL(ハードコンタクトレンズ)が主流。
SCLは特別な人が装用するもの。
当時白内障手術は、眼内レンズの挿入がやっと始まった頃。
それ以前は、濁った水晶体のみ除去し眼内レンズは入れない(まだ未開発)手術だったので、白内障手術を受けた人がSCLで視力を矯正していました。
当時は煮沸消毒。
その後、海外から使い捨てSCLが導入され、今では日本でもSCLが主流です。
それに伴い、MPS(マルチパーパスソリューション)という、1本で洗浄・保存・すすぎ・消毒が出来るケア用品が発売され、SCLユーザーはほとんどMPSを使用しています。
『こすってますか?』
1日はめた後のSCLには約100万個!の菌が付着しています。
両面30回こすり洗いをすると1万~10万個(1/100~1/10)へ減少。
すすぎをすると10~1000個へ。
MPS保存前は10~1000個と報告されています。
両面とも30回、こすっていますか?
外して液に浸けるだけで翌朝装用…
気持ち悪くないですか?(100万個の細菌がまた目に入る)
怖くないですか?
角膜に傷があったりすれば、確実に角膜炎の引き金になります。
『しっかりこすって~』
『保存液は毎日交換して~』
4時間は浸けないと消毒になりません。
MPSの不適切なケアによる合併症が増加している中、注目されているのが過酸化水素によるレンズケアです。
過酸化水素は強い消毒効果があります。
ただし、過酸化水素そのものを目に入れると大変なことになるので、液が中和した後SCLを使用することになります。
6時間、確実に消毒すれば(時間を守る)こすり洗いをしなくてもOK。
また洗浄力が高いので、アレルギーでSCLが汚れやすい目の人には最適です。
過酸化水素は、洗浄消毒に2ステップかかるため、MPSが主流でした。
しかし、遂に1ステップタイプが登場。
1本を専用ケースに入れるだけで終了です。
誤使用防止にノズルを押し込まない限り液が出ない仕様(安全ロックノズル)になっています。
眼科医は、どちらかというと過酸化水素での消毒洗浄を勧めます(当院取り扱いあり)。
毎日両面30回こすっていると答えられる人はMPSで続行OKですが。
コンタクトレンズもケア用品も時代により変化します。
患者さんの眼の状態、コンタクトの使用状態、ライフスタイルなどから、いつも最新の情報を提供したいと思っています。