2024.7.9 何歳でもめでたい
『90歳。何がめでたい』
作家・佐藤愛子さんのエッセイ。
本書が出たのは2016年。
自分用だけでなく、参考になるかも…とおこがましくも、80代目前の母と、母の友人Nさん(母と同年齢)に贈りました。
母がどう思ったかは不明ですが、Nさんは感想を知らせてくれました。
Nさんは鬼籍に入りましたが、時代の先端を行く生き方や私との交流(私の年上の友人でもあった)を今でも思い出します。
そして、その本が映画化されました。
主役の草笛光子さんは憧れの人。
年齢を重ねて益々素敵になられる姿をメディアや雑誌で見ては、将来目指したいと思う女性のひとり。
90歳の草笛さんが、90歳等身大の役を演じられます。
日々の生活にアンテナを張り、感じたことを文章に。
そのエッセイを基に映像化されています。
自身の老化による体の変化を嘆きつつも、時代の進歩や日々の変化に大きく反応。
若い人に対し、怒りも含めてはっきりした物言いも、実は期待と鼓舞が含まれているのを感じます。
良い人でいるのはつまらない。
日々の小さな事に怒ったり笑ったり。
世の中に反応することが生きる力。
大いに笑い、スカッとし、頷くこと多しの映画でした。
Aさんが久しぶりに来院されました。
白内障の定期検査。
御年90歳。
『お変わりないですか?』
『息子(と言っても院長より年上)と北海道に行ってきたんですが、その時…』
いつもは『変わりございません』のAさんですが。
『どうされました?』
『北海道で車に乗っているとき、息子が指さすものを見ようとしたのですが、その時にはもう見えなかったんです…何回もそんなことがあって…』
視力も良好、白内障も年齢の割に軽く、他に病気はありません。
『動体視力といって、物を追う力が弱くなっただけです。車のスピードに目が追い付いて行かなかったのでしょう。加齢とともに、若い人(と言っても息子も高齢者?)より動体視力は劣ってきますから。病気ではないので心配いらないですよ』
『あら、そうでしたの。安心しました。』
Aさんは、袋から北海道のお土産を取り出し、
『お陰様で90歳のお祝いに北海道に行けました。お福分けです』
『おめでとうございます!』
『ありがとうございます』
有り難く頂戴。
Aさんも院長にとって目指すべき人生モデルの一人。
『私もAさんのような年齢の重ね方をお手本にしていますから、お元気でいてください』
『励みになるお言葉、ありがとうございます』
その後、スタッフと福を分け合いました。
院長にとって、人生のモデルは多々。
実在で年上の知人たち。
鬼籍に入ってしまった年上の知人たち。
実在で同業の女医さんたち。
医学界の高名な先輩たち。
演劇、美容、芸術など、会ったことも話したこともないけれど勝手に自分のモデル(前述の草笛光子さんなど)と認定している人たち。
そしてAさんのみならず、多くの患者さんたち。
みんなそれぞれ人生のエピソード・モットーがあります。
先達たちのそれぞれ100分の1でも真似できたらいいな、近づけたらいいなと、来る老後の目標にしています。
人にいいことが起これば『おめでとう』
自分にいいことが起これば『ありがとう』
祝福と感謝の言の葉から生まれるエネルギーは絶対なるパワーを持つ。
某新聞にあったエッセーから。
院長も何歳になってもめでたいし、ありがとう!と言いたいです。
*7月16日の公センセの部屋はお休みです。