2024.6.4 生きてるで~
産業医の日。
事務所に入る時は『こんにちわ~!』
いつもは『センセ、こんにちわ~』(関西弁で)の店長さんの声が小さい。
『センセ、僕、今日元気ないんですわ~』(以後関西弁です)
『どうされました?』
『いや~脚立から落ちまして…』
は~!?
『大丈夫でしたか?』
『生きてるで~』
(関西人はこういうリアクションなんですね!?吉本新喜劇だけかと思っていたら…)
『だけど、痛い。かなり痛いですわ~』
先月は、会社自体で労災がいつもより多く発生。
切創、打撲・捻挫、骨折が内訳です。
店長の労災発生状況をまとめると…
天井からぶら下がっている看板を外そうとした。
直下でなく、少し離れたところに脚立を設置。
上って手を伸ばしたところ、バランスを崩し落下。
頭部背部腰部打撲。
救急車にて病院に搬送。
頭部MRI異常なし。たんこぶ有。
腰部圧迫骨折。全治3か月。
どうしたら防げた?
目標物の直下に脚立を設置すべきだった。
店長自ら労災申請書を書く羽目になり、とほほ顔。
『巡視大丈夫ですか?』
『何とか歩けます』
痛みをこらえてゆっくりゆっくり。
今日は口数も少なめです。
事故現場も写真に撮っておきます。
バックヤード随所随所、売り場でも先々で
『店長大丈夫でしたか?』の声。
確かに日中、救急車がスーパーに横付けされ、しかも店長が搬送となれば大騒動。
全員が知るところとなります。
その度に『生きとるで~』と返す店長。
これは、関西人全般のリアクション?
名古屋人だったら…
『ん~まあ…』とお茶を濁すか…
『大丈夫じゃないに決まってるでしょ(見たらわかるやろ)』って言い放つか…
『生きとるで~』の返しを何回も聞いていると、店長さんがみんなに慕われているのが伝わってきます。
会社からの労災ニュースには、転倒予防体操も紹介されていました。
物の配置や環境には気を付けなければいけませんが、自身の身体の強化も。
転倒しない・転倒しにくいための身体作りです。
労働災害だけでなく、加齢により転倒事故は増えるので、特に下半身を鍛えることは大切です。
転びかけて、とっさに手を着けないと、顔面打撲をしてしまいます。
外来でも往診でも、転んで顔を打ってひどい皮下出血になった患者さんがおられます。
さらに骨折すると治癒するまで相当の時間がかかります。
そのままフレイルになってしまうことも。
院長も、もう転べない年齢(50代)になっています。
下半身強化は一生の課題です。
さて、今日はゆっくり巡視。
店への投書欄にも目を通します。
『この店は、パンの宣伝の放送が大きすぎるし、回数も多すぎる!そこまで店長がパンにこだわるのは何かあるのですか?』の声。
『他競合店との差別化を図るために、店長はパンに注力、執着しております。ご理解お願いいたします』と返事。
紙カードのやり取りに、くすり(笑)。
他にも、店員の態度とか、割引の時間とか、商品希望とか…一つ一つに回答を付けて貼りだしてあります。
時代錯誤かもしれませんが、匿名と言えども、ネットより紙に自筆と言うのが、親密さ(怒りや要望にしても。もちろんお褒めの言葉もある)を感じます。
店長さんもまさか自分が労災に遇うとは、思ってもなかったことでしょう。
天災どころか労災も忘れた頃にやってくる。
今日の教訓。
産業医としても気を引き締めねばなりません。
早く良くなってくださいね。