2023.6.13 近視進まないで~
オルソケラトロジーの近視抑制効果が証明されてきた近年。
医学は進歩し、医師の頭も上書き保存の連続。
親が近視なら、子も近視になるのは仕方がない。
親と同程度の近視になるのは仕方がない。
眼科医(院長)でもそう思っていました。
成人になった息子たちには申し訳ないが、当時はわかってなかったんだもん!
当院もオルソケラトロジーを導入しました。
今回は、よく尋ねられるQ&Aを。
Q1:近視抑制治療は何歳から始めて何歳までくらい続けますか?
A1:近視になった時が一番のタイミングと考えられます(学校検診で初めて用紙をもらった時など)。
ただし、自覚がないことが多いので、ためらうことも多いと思います。
次は、視力が低下(近視進行)して、眼鏡を処方しようかどうかの段階。
眼鏡をかけて経過を見たいか、オルソケラトロジーを始めるかを考えましょう。
治療を早く始めるほど、最終的な近視度数を抑えられると考えられています。
眼軸長(眼の奥行)の伸びと身長の伸びはある程度相関すると言われています。
一般には、眼軸長の伸びが落ち着く15歳(中学卒業)くらいが目安です。
もちろん、高校生以降も続けることに問題はありません。
Q2:30センチ以上離して、正しい姿勢で読んだり見たりすると目に良いのは本当ですか?
A2: 文部科学省の『児童生徒の環境に留意してICTを活用するためのガイドブック』から。
視距離は30センチ以上
背中を伸ばす
目線は画面に直行する角度に近づける など。
シドニーの研究では、30センチより短い距離で読書すると、近視化を促進すると報告されています。
また、スマホなどの20センチの近業は、両眼で融像(左右の目でひとつに見る)できるギリギリの距離なので、視覚負荷が大きいことが分かっています。
ですので、近用時最低30センチは必要な距離です。
Q3:明るい部屋で読書をすると目に良いのは本当ですか?
A3:紙媒体の本を読むときは、室内光が明るい方が、読書速度の低下や眼精疲労の惹起を軽減します。
また、スマホやパソコンの場合、外の輝度と画面の輝度に違いがありすぎると、視線を移動したときに、順応の切り替えが必要になり、眼精疲労を起こしやすくなります。
ですので、室内照度は画面の輝度と同程度にすると疲れにくいと考えられます。
Q4:30分ごとに休憩すると目に良いのは本当ですか?
A4:労働衛生学的には、デジタルデバイスを用いた近業時に、眼精疲労を軽減するために、20-20-20ルール(20分近業作業→20秒作業中断→20フィート(6M)より遠方視)が推奨されています。
さらに、子供は1日2時間の屋外活動も推奨されています。
オーストラリアの研究では、30分程度の近業後休息を入れることで、近視抑制効果があることが示唆されています。
Q5:スマホ、テレビ、ゲームは目に悪いのは本当ですか?
A5:最近では、単なる近業時間の長さではなく、一定以下の視距離で行われる近業時間の長さが、近視発症の原因として重要視されています。
スマホや携帯型ゲーム機では十分な視距離を取ることが難しいのです。
中国のスタディでは、両親の近視の有無に関連なく、すべての生後1歳以内の乳児はスクリーンタイムを避ける必要があると結論づけられています(遺伝だけでなく環境も重要)。
生後8か月までは眼軸長は劇的に伸長するため、3歳まで屈折値の変動が非常に大きいので、視機能に大きな影響を与えます。
これから成長する小さな患者さんのために近視進行抑制のお手伝いします。
学校健診の紙をもらったら早めの受診を。
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