2020.3.3 障がい者スポーツ医
今年はオリンピックの年です。
そして…パラリンピックの年!
障害を持っても、尚、各種スポーツで頂点を目指すスポーツマンの祭典です。
『健康スポーツ医』
『視覚障がい者用補装具適合判定医』を持つ院長。
この流れから、次なるものは…と、『障がい者スポーツ医』の資格取得の講習会を受けてきました。
『障がい者スポーツ医』は、障がい者のスポーツ・レクリエーション活動に必要な医学的管理・指導・支援する立場にあります。
パラリンピック競技チームの帯同に必要な資格でもあります。
また、全国障がい者スポーツ大会の帯同も。
『障がい者スポーツ』と言っても、障がいの部位によって特性も大きく違います。
全国障がい者スポーツ大会では…
身体障がい・知的障がい・精神障がいに大きく区分されています。
さらに、身体障がいは、肢体不自由・視覚障がい・聴覚障がい・内部障がい(呼吸器・心臓・消化器・腎臓など内科系)に区分されています。
各障がいごとに、その原因や病態・スポーツをするにあたっての医学的特性や留意すべき点などを、学びました。
自分の専門科目については、かなり熟知していますが、それでもスポーツ指導となると大変難しい…
専門外の科目については、はるか昔の学生時代の上書き保存。
連日ハードなカリキュラムでしたが、非常に新鮮でした。
『ゴールボール』と『車椅子バスケ』の体験実習もありました。
『ゴールボール』は視覚障がい者のスポーツです。
アイシェード(目隠しのゴーグル)をして、音の出るボールを転がし、ゴールを狙います。
1チーム3名制です。
指導してくれる選手たちの自己紹介では、『生まれつき見えなくて…』『〇歳くらいで見えなくなって…今は、視野がこんな感じです』など多様な症状。
話を聞いて、きっとこの病気なのだ…と推測できるのは眼科医ならでは。
ゴールボールは、昨年の眼科学会での体験があるので、要領はわかるものの、真っ暗の世界は不安でいっぱい。
相手への声掛け、自分がどう行動するかなど、声での意思疎通のみになります。
『車椅子バスケ』は、その名の通り、車椅子でプレイするバスケです。
通常の車椅子ではなく、バスケ用の特注です。
ハの字に車輪が傾き、非常に軽量、スピードも出ます。
ぶつかってもガードがあるので安全です。
まず車椅子で自由自在に動く練習をします。
いかに腕で上手く漕ぐかが、速さの秘訣です。
にわかチーム(受講医師たち)に2名の選手が加わり、いきなり対戦。
選手たちのスピードの速いこと、速いこと。
もたついているその他大勢は置いて行かれ、早々とボールをドリブルしてゴール下へ。
受講生たちにボールをパス、シュートするチャンスをくれるのですが、車椅子からゴールにシュートするのは、困難極まります。
チャンスは与えられても、ちっとも届かない…
車椅子バスケは、脊髄損傷の人が多いので、下肢に力が入らす、上肢・腕の力が必要になります。
女子だと、ゴールシュートできるまでに1年くらいかかるそうです。
肢体不自由になって、初めてバスケを始めた人がほとんどだと聞き、驚きでした。
パラリンピック開催の目的は
『できない』ことに着目するのではなく『どうすればできるか』の視点に立って創意工夫すれば可能性が広がることを気づかせ、社会を変えること。
車椅子陸上競技選手のハインツ・フライ選手の言葉
『健常者はスポーツをした方がよい。障害者はスポーツをしなくてはならない』
リオ2016 パラリンピック 『Yes,I can』
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きっと世界が広がります。
こうした小さなことから『障がい者スポーツ医』として働きかけていきます。
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