2019.2.12 駅で落ちない噺
『駅で落ちない噺』からの障害理解と称した市民講演会(名古屋市・名古屋市障害者差別センター主催)に参加してきました。
演者は、上方落語協会会員の『桂福点(かつらふくてん)』さん。
先天性緑内障のため弱視。
手術をするものの、中学生の頃には全盲に。
大学を経て、落語家に。
また、音楽療法士としても活躍。
NHK Eテレ『バリバラ』にも出演。
といったプロフィール。
落語の前にトークが始まります。
受付で渡されたビニール袋を目の前にして、見るように言われます。
ビニールで、少々視界が悪くなります。
二つに折って、目の前に置いてまた見る。
さっきより、もっとかすんで見えます。
『更に四つに折って前に置いて見てみて~』
『八つ折にして見てみて~』
体験する私達聴衆。
八つ折では、明るさだけで、あとはぼんやり。
『これが、だんだん見えなくなるってことです。色々、程度はありますが』と福点さん。
当院には、眼科用に緑内障視野欠損などのモデル視野体験ツールはありますが、一般の人に、見えなくなっていくことを体験してもらうには、簡便でインパクトのある方法だと納得しました。
視覚障碍者の移動手段としては、白杖・盲導犬・ガイドヘルパーがあります。
白杖は、自分だけで行動する分、危険も多いのだそうです。
触覚・嗅覚・聴覚などをフルに使って、行動するものの、不意によそ見(スマホ)の人がぶつかってきたり、路面の点字ブロック部分に物が置かれていたり、途切れたりすると、危険度がかなり高まります。
ホームからの転落は、酔客が一番多いそうですが、視覚障碍者の転落事故はよく話題になります。
『駅で落ちない噺』も、盲学校の後輩が、転落事故の当事者になったことで、後輩を取り巻いていた環境・落下の現状など掘り下げて検証。
ユーモアも入った創作落語になっておりました。
名古屋市地下鉄は、ホーム柵があります。
ホーム柵がないと、白杖で、間違って車両間の接続部分を探ってしまい落下することもあるそうです。
気分が悪くなって落下ということも避けられます。
障害のある人、無い人にとっても安全のための予防策として、とても評価できると思います。
点字ブロックも階段から降りてきて、一番近くの車両に乗り込めるよう誘導されています。
また、線路に近づくにつれて、点字ブロックの大きさ・形が変わっていきます。
遅まきながら、気づく院長です。
先日『ヘレンケラー』の伝記を久しぶりに再読したところ。
ヘレンケラーの時代よりはずっと障碍理解も浸透しているものの、まだまだかもしれません。
『こんな夜更けにバナナかよ』映画もいいですが、原作(ノンフィクション)は、また考えさせられる本です。
院長も微力ながらお手伝いが出来るように、出来ること(まずは医療)頑張ります。