2024.3.19   念ずれば見える!?

伝統工芸品が気になる院長です。

子どもが社会科で習い、たまたま伝統工芸品の展示会に出かけときのこと。

『塗りは一生もの』その言葉と、干支の絵と名前を描いてもらえると聞き、思い切って家族分のお椀を揃えました。

子育て中は毎朝使用していましたが、食洗機導入でいつの間にかお蔵入りに。

数年前、ふと思い出して取り出してみると、随分使用したせいか、塗りは剝げ絵文字も薄れています。

『塗りは一生もの』の言葉は思い出しましたが、何塗りなのかは思い出せません。

アナログ人間の院長は、早速漆器に関する本を購入しました。

全国各地には、様々な漆塗りの産地があり、それぞれ特徴があります。

思わぬことで購入した本ですが、漆器についての知識が深まりました(これをきっかけに漆器巡りの旅が始まります)。

本にある漆器の特徴と、目の前のお椀と、自身の記憶と…あたりを付けて、数か所の漆器組合に問い合わせてみました。

 

待つこと数週間。

なんと、そのうちの一か所が該当漆器を扱っていたと判明。

正解が見つかり嬉しさもひとしお。

ただし、塗り直しは新品とほぼ同様の価格になるとのこと。

新品を注文しました。

しかも絵文字を描いた職人さんはまだ現役で、もう一度描いてもらえるとのこと。

 

ピカピカの艶のあるお椀が届きました。

食洗機に慣れてしまっていますが、このお椀は手洗いし大切に使っています。

丁寧に扱う…やっとその余裕も出てきました。

 

さて漆器は、蒔絵や沈金・螺鈿という加飾があると更に値打ちが上がります。

先日、デパートでの伝統工芸展。

いつものように、漆器をメインに見て回ります。

一角に某地方の蒔絵展示が。

棗(なつめ)や文箱など、およそ自分には縁がない物ばかり。

繊細な品だけにため息がつくようなお値段。

『ゆっくり見ていってください』とご主人。

お客が一人なのもあって、ショーケースから色々取り出して見せてくださいます。

ふたの裏には、更に素晴らしい蒔絵が。

作品の説明を聞きながらも、お見受けするにかなりの御高齢。

『失礼ですが、おいくつですか?』

『来年90歳です』

この道70年の軌跡を話してくださいます。

 

50歳頃、左眼の眼底出血を起こし、更に右眼も眼底出血を起こしたそう。

『見えなくなってしまって。先生にもレーザーするけど、だめかもしれんて言われて。でも、廃業するのはどうしても出来んと思って、見えないけれど毎日描いていた。

他のものは見えないのに、不思議と蒔絵を描くときはだんだんと見えるようになって。お陰様で、こうして続けさせてもらっています』

 

眼底出血は網膜の血管が切れて起こります。

恐らく左の網膜静脈分枝閉塞症(網膜の太い静脈の一部が切れる)により、黄斑(物を見る中心)は浮腫(むくみ)が起こったと考えられます。

40年くらい前の治療はレーザーが主流(今は硝子体注射)でした。

網膜分枝閉塞症は一般には片眼発症なので、両眼は稀。

恐らく両眼とも黄斑浮腫が上手く引いて視力が回復したと思われます。

 

蒔絵の話から、なぜか目の話になってしまいました。

 

信念が病気を治す一助になる事はあります。

(科学者(医師)でありながら、目の神様を拝む院長)

 

『あんたもまだまだ若いから頑張りなさいね』

棗や文箱には手が届かないので、小さなスプーンをひとつ購入。

先っぽに手書きで熊さんが描いてあります。

 

その後、あちこちで漆器の作品を見る中で、あのご主人の作品がよく陳列されていることに気づきました。

実はとてもご高名。

 

くまさんスプーンも大切に使います。

 

カテゴリー:公センセの日常の出来事 眼に関すること
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