2020.11.24 加齢と色覚
先月東京で開催予定の臨床眼科学会はWEBで開催。
約1か月にわたり、14会場4日分の講演を視聴することができます。
最近は、高齢化に伴い、人生100年時代に備えるべくの眼科的話題も。
一般に『色覚異常』(今は、色の特性ともいう)は、生まれつき網膜(もうまく・目の奥)の視細胞の錐体(すいたい)3種類のうち、どれかがうまく機能していない状態を言います。
世間一般では、赤と緑の区別がつかない、わからないという俗説ですが、実際には、そのような重症型はほとんどありません。
院長も医学を学ぶまで、色覚異常とはそういうものだと思っていました。
小学生の頃に読んだ少女漫画で、ヒロインの好きになった相手が色覚異常(赤と緑を間違う)で結婚をゆるされない…子供に遺伝してしまうから産めない…という悲しい恋のお話を読んだ記憶があります。
その時、初めて色覚異常という言葉を知ったのでした。
医学の勉強をしなければ、いまだに、先入観があるかもしれません。
先天性の色覚異常のほとんどの人は、自覚がないまま、支障なく生活しています。
生まれつきで、進行することはありません。
学校の色覚検査をで見つかっても、色の見分け方による注意事項を説明すれば、別段困ることはありません。
また、学校では、誤認識しやすい色の配慮をしてくれます。
ただし、少ないのですが進学制限や職業制限もありますので、自分の特性を知っておくことも大事です。
さて、色覚異常は、先天性なので、自分には関係ない…と思う人がほとんどですが、後天的(後から起こる)色覚異常もあります。
網膜や視神経の病気、脳の病気・心因性など、原因は様々です。
病気により起こり、左右眼で程度が違うこと(先天性は両眼同じ)や、自覚があることが後天性の特徴です。
白内障も後天性の色覚異常を起こすとして話題になってきています。
加齢性白内障(俗にいう白内障)は特別な病気ではなく、しわと同じように加齢で発症する病気です。
白内障が進行してくると、少し黄色味がかったサングラスをかけているように感じます(程度により違いあり)。
また、加齢により、瞳孔が小さくなり、光が入りにくくなるので、若年者より暗く感じます。
スマホの画面の明るさを、院長と息子たちのを比べると歴然。
よくこんな暗い画面で見えるね~と驚き、自身の加齢を感じます。
逆に、息子たちからは、まぶしくないの?と聞かれます。
まだ白内障発症とまではいかないまでも、水晶体(すいしょうたい)の濁りは少しずつですが進んでいることを実感します。
気が付かずに、日常生活に支障をきたすようになると要注意です。
例えば、紺と黒の靴下を間違える。
シャツの黄ばみに気付かない。
階段の一番下の境目が(暗くて)分からず、踏み外して転倒。
予防法としては、明るいところで確認する癖を。
階段は、電気を明るくしたり、一番下の段に、目立つテープを貼ると予防になります。
また、ガスの炎の一番先の高熱の部分の青色が見にくくなり、思ったより炎の高さを短く感じ、着火事故につながることもあります。
後天性の色覚異常(色の見え方の変化)は、進行します。
原因は様々ですので、色の見え方に変化を感じたら、眼科医にご相談ください。
最近、内側が黒布地のバッグは避けるようにしている院長。
狭く暗い空間では、取り出したいものをすぐ出せず、ぐずぐずしてしまいがち。
暗い環境・小さな対象物・くすんだ色は間違いを起こしやすくなります。
すべての色覚異常に気を付けるポイントです。
が、せっかちなオバサン(院長)も気を付けないといけません。