2020.5.26 ステイホームで見すぎちゃう

院長のスマホは、週の始めに、先週のスマホ総視聴時間を知らせてくれます(元々そういう設定?)。

ステイホームになってから、スマホだけでなく、タブレットやPCを見る時間の増えたこと、増えたこと。

 

さて、しばらくぶりに来院される子供の患者さん。

『家でゲームしかすることなかった』『外で遊ぶの禁止だったから』『課題より、ゲームの方に行ってしまう』『ステイホームだと見すぎちゃう』

『そうよね~家の中じゃ、ゲームくらいだもんね~。でも、前回より少し近視進んでいますね』と院長。

『やっぱりそうですか。学校休校を良いことに、一日中ゲームでした』とお母さん。

 

生まれたての赤ちゃんは、ほとんど見えません。

しかし、1歳で約0.2に、2歳で約0.4に視力が発達します。

3歳になるまでに急速に視力は発達し、3歳時健診前後では約1.0になります(月齢個人差有り)。

就学前には約1.0~1.2に発達します。

視力だけでなく、眼球運動やピント合わせも急速に発達していきます。

何気なくしている『見たいものにきちんとピントを合わせる(調節)』『見たい方向に目を動かす』『見続ける(固視)』『細かい字を追って読む(追視)』も、目の発達過程で獲得するもの。

更に『たくさんの刺激の中から自分の見たいものを選択して見る(音もそうですね)』『微妙な、物の立体感がわかる』などもそうです。

身体を動かすことで、目との協調運動も高まります。

例えば、屋外で鬼ごっこをしたら、遠くの広い範囲を確認したり、鬼との距離を確認したりと、視覚と身体全体を使います。

 

ところが、スマホ・タブレット・PCなどを操作している時は、ほとんど身体を動かしません。

画面との距離も、一般の読書距離(30センチ)より短く、20~25センチ(もっと短い距離の人も)に固定されています。

ピント合わせも常に同じ距離のままです。

眼球運動も、小さな画面の範囲のみ。

 

近視の人は、多くが遺伝的要素によります。

しかし、最近では、近視人口が世界的に急増化していて、環境の関りも大きいとされています。

姿勢が悪く、対象物との距離が30センチ未満だと、近視が進行することが報告されています。

小さいうちから近くの物だけを見る習慣になると、姿勢も悪くなり、何でも近づけて作業をするようになってしまいます。

また、長時間の近くを見続けることは、近視進行を早めることも報告されています。

最近では、太陽に含まれるバイオレット光が近視進行を抑えることがわかってきました。

1日2時間以上、屋外で遊ぶと、親が近視でも近視発症率が抑制されたという報告もあります。

散歩でも、公園でのんびり(その間、スマホなどは禁です)でも、バイオレット光は十分に浴びられます。

 

早く学校が始まって、外で思い切り遊べるといいね!

 

今年度の学校健診はコロナの影響で、例年よりも実施時期がずれます。

担当の眼科健診は、学校再開後、出来るだけ早い時期に行う予定でいますが、もし、それまでにご心配なことがあれば、ぜひご相談ください。

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2020.5.19 ひょっとこ顔に!?

ある晩、右眼が『すーすー』

角膜に傷でも付いたかな?

最近は、飛沫感染予防にコンタクトでなく眼鏡にしているけど…

角膜保護剤の点眼をしておこう(眼科医ならでは自己診断治療)。

翌日も『すーすー』が続きます。

まぁ、若い人より回復力は遅いから…

 

と、その日の夕食時、唇の内側右寄りを2回噛んでしまいました。

『加齢で口の中の肉がたるんできた?』

 

翌朝、相変わらず右目は『すーすー』

洗面所でうがいをしようと、水を含んだら唇の右側から漏れます。

食後のコーヒーも気を付けて飲まないと漏れてしまいます。

唇の裏を確認し、腫れが原因?

 

診療後、長年連れ添うスタッフから『先生、右目、腫れてません?』

マスク姿なのに、よく気が付くわね~。

ものもらいや結膜炎はありません。

細隙灯顕微鏡で写真を撮ってもらうと、角膜に横方向の細かい傷が。

 

仕事終了後、鏡の前で自分の顔をしっかり観察。

このところ、マスク姿を良いことに、目元だけの簡単メイクだったので、顔をじっくり観察することも少なくなっていました。

もしや…と思い『あ・い・う・え・お』と大きく鏡の前で声に出して言ってみます。

やはり…

顔の動きが明らかに左右違います。

右の口角が上がらないので、『う・お』は顕著に左右差が。

右目は腫れているのではなく。右眉毛が上がらない(下がっている)ので相対的に右瞼も下がり腫れぼったく見えます。

両眼をつむってみると、右眼はしっかり閉じず隙間が出来ます。

この隙間に一致しての角膜の傷でした。

いずれの症状も、顔面神経支配の顔面の筋肉が上手く動かないからです。

 

『大変!顔面神経麻痺になっちゃた!』

『どれ、どれ~』と家人。

顔面神経麻痺の患者さんを診断するときのルーティンを妻(私)にもして、『確かに、顔面神経麻痺だね~』

『耳痛くない?』発疹はなし。

『ヘルペスは出ていないみたいだね。もう一度、あいうえお、やってみて』

『あ・い・う・え・お』

『ホントに、ひょっとこ顔だね~』

同業者ならではの言葉に、納得。

『ひょっとこ』は火吹き竹で火を吹く顔が、顔面神経麻痺のようだと言われています。

 

声を聞きつけて、息子が。

『すごい!実物、初めて見たわ!もう一回やって。すげぇ、すげぇ。もう一回!』

『あ・い・う・え・お』

赤ちゃんを喜ばすように、何回もやってみせる愚母(私)。

『一生忘れんわ』と、息子。

 

顔面神経は脳から発し、側頭骨の中の顔面神経管を通り、顔面に分布しています。

多いのは顔面神経管の炎症(ヘルペス感染のほか、疲労・ストレスなど)による、『ベル麻痺』と言われるものです。

他に、骨折などの外傷・脳腫瘍や耳下腺腫瘍が原因となることもあります。

 

幸い頭蓋内は異常なし。

ヘルペスの所見もなく、ステロイドと神経賦活剤の内服となりました。

『日本酒飲みますか?』と受診先の先生。

繊細な味を舌先で味わう日本酒を嗜む場合、舌先も顔面神経支配なので、違いに気づくそうです。

『3か月で8割は治癒しますから』

常識的なことを言われても、『ということは、2割は治らない?このままだったら、どうしよう?』と、急に患者サイドでまだ起こりえないことを考えてしまします。

顔面神経麻痺でしっかり閉瞼できず、角膜障害のひどい患者さんを多く見てきました。

『どうしよう?』

 

しっかり服薬。

激しい運動を休んで、ゆっくりとした生活を。

鏡の前で『あ・い・う・え・お』リピート。

1週間単位で徐々に改善。

 

マスクのお陰で人には気付かれず、約1か月で完治。

完治したからこそですが、良い体験でした。

今も毎日『あ・い・う・え・お』確認の院長です。

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2020.5.12 WEBで学会

3月初め、4月の日本眼科学会総会は会場開催中止、WEB開催に変更となりました。

その後、5月、6月、7月の他の学会も全てWEB開催となり、現地の会場へ足を運ぶ必要はなくなりました。

参加登録費は必要ですが。

 

さて、初めてのWEB学会。

日本眼科学会総会は、秋の臨床眼科学会と並ぶ2大眼科学会です。

今回は東京で開催予定でした。

 

厚みのあるプログラムはいつものように送られてきます。

その後、開催間近になると、ログインIDとパスワードが送られてきます。

 

当初の学会開催時期より約2週間遅れで配信開始となりました。

 

パソコンの前に座り、ログインして、視聴ページに到着します。

日付、会場、演目などで検索すると、該当するプログラムが出てくるので、そこをクリックすれば視聴できます。

スライドを次へ次へとめくっていくのですが、音声付きのもあります。

演者の顔は見えません。

質疑応答もありません。

しかし、自分のペースで、スライドを進めたり、戻すこともできます。

集中力が続かなくなると、一旦休止することもできます。

また、リアル学会では、同時刻に一つの会場でしか聞くことが出来ないのですが、WEBでは同時刻の他の演目も視聴することが出来ます。

視聴期間は2週間(先日もう1週間延期決定)。

特別講演、指名講演、シンポジウム、教育セミナー、日曜日特別講演、外国人招聘講演に加え、一般演題が513題。

GWは、自宅でWEB学会→集中力低下し休憩→WEB学会。

休憩の方が長くなってしまいがちでしたが、かなりの演目を視聴することが出来ました。

 

勉強できたのは良い、見返しも可能、時間とお金の節約(休診・代診・交通費・宿泊費など)。

 

でも…いつものような高揚感がありません。

 

大きな学会は、『行くぞ!』と気合の入るイベントです。

限られた時間の中で、いかに自分にとって聴きたい題目に集中し、多くの知識を得るか。

少しだけ合間にお楽しみを入れるのもコツです(今回はホテルで朝ごはん女子会の予定でした)。

大いに勉強し、興奮し、リフレッシュし帰名。

が、いつものパターン。

 

WEB学会で通常より多くの演題を視聴出来ました。

でも、自宅で…ということからか、緊張感ゼロ。

服も普段着以下だし…(学会へは気合を入れて装います)。

誰もいないので、飲食物持ち込み自由だし…(会場では禁止です)。

臨場感ゼロ…が一番の欠点。

 

今後どっちに向かうのかしら???

 

WEB学会とは別に、先日、病診連携先の病院の勉強会がZoomを通して開催されました。

ビデオ会議システムは初の院長(私)。

病院の会議室、東京の演者の部屋、別の演者の部屋と3会場からの中継でした。

参加者は、自分の映像を付けても切ってもOK。

開始は20時過ぎだったので、院長は普段着に。

敢えて?間違えて?自分の映像を映している参加者は、視聴者に映るので『〇先生ってああいうTシャツ好みなのね』とか『〇先生の居間なのかな~』なんて思ったり。

『あくびしてる』とか、『何かお疲れモードみたい』とか表情の観察をしたり。

それでも、質疑応答も出来、リアルタイムで、会場に行かずして講演を聞けたことは有意義でした。

1時間半くらいならZoom歓迎です(院長私見)。

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