2016.9.27  初もの もらい

『初ものでーす。どうぞ!』
妹分のMちゃんからのいただき物は、栗。
自宅の畑で穫れたものだそう。
たくさん穫れて、今年からは、JAの朝市でも売ることにしたというから驚きです。
『たくさん、ありがとう』
『皮を剝いて、栗ご飯にすると美味しいよ。ゆでて、自家製栗きんとんも簡単に作れるから、やってみて!』

久しぶりのランチはお洒落なレストランで。
テーブルクロスが掛かった正方形のテーブルに、隣通しに着席するよう案内されました。
おしぼりが出て、お水が出て…もうおしゃべり開始。

『その目、どうしたの?』
向こうが言わんとしていることは、自分も気づいていたこと。
『う~ん、きっと麦粒腫。初めてなったんだけど。やっぱり目立つよね~?』
『まあ、近づけばわからなくもないね~』
『家族の誰も気づいてくれんかった』
『そんなもんやわ~』

2日前、左目がコロコロする異物感があり、鏡で見たところ何も入っていないようでした。
その割には、一向にコロコロ感が取れず、1日前には、ゴロゴロ感に。
これは、もしかしたら、いわゆる『ものもらい』!?

翌日の朝、左眼瞼やや目じり寄りに、赤い小さな膨らみが。
瞼を裏返して観察すると、白いマイボーム腺(脂腺)の開口部が発赤腫脹。
『麦粒腫』と診断。
自分で自分の目を見るため、患者さんの診察に使うような細隙灯顕微鏡(拡大率は7~45倍!)を使って詳細な観察をすることが出来ません。
近視眼ゆえ、鏡に顔をぐっと近づけて、肉眼に頼るしか…

原因は、マイボーム腺に細菌感染が起こること。
職業柄、自分の目は、コンタクト装脱着時しか触らないようにしているのですが。
そういえば、少し前、左下瞼の縁が痒くて、眼瞼に沿ってなぞるように掻いた気が。
きっと、そこから細菌(一般には黄色ブドウ球菌)が侵入したのでしょう。

麦粒腫と診断すれば、抗生物質の点眼開始です。
1日4回、約3時間おきに真面目に点眼。
自分のこととなると、点しては、赤みや膨らみが消退していないか確認したくなります。

点すこと3日、ものもらいは、すっかり治癒。
あの赤みと膨らみは、消えるのか?と、しきりに心配していた自分。
患者さんには『大丈夫、ちゃんと治りますよ!』と言っているくせに。

『ものもらい』はもらいたくないものですが、眼科医としては、意義ある体験でした。

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2016.9.20 光栄です

日本緑内障学会に参加してきました。
眼科と一口に言っても、各分野(例えば緑内障・白内障・角膜など)に分かれており、総合的な学会と各分野ごとの学会が、毎年行われます。

今回は緑内障に特化した学会。
そのため、かなり専門的な最新の知見を学べます。
診断方法も、治療方法(点眼・手術)もどんどん進化しています。
自分の中で、積み重ねがあってこそ、ついていける内容ばかりです。
日頃の不勉強を反省しつつ、この時とばかり集中して勉強。
インプットして、自分の頭の中で整理して、アウトプット。
患者さんに還元することが、医師の使命です。

今回の記念講演は、恩師の山本教授がされました。
緑内障診療の大家である先生の講演の概要は、若き日から今日までの緑内障診療を通して学んできたことを、いくつかのカテゴリーに分け、自験例を示しながらの講演。
講演の中で、取り上げられたスライドに、私の論文データがあり、思わずびっくり。
論文は、製薬会社の資料にも引用されていますが、教授がこのような栄えある講演で使われるとは、思ってもみませんでした。
一門の端くれではありますが、門下生として、身が引き締まる講演でした。
講演後、あいさつに出向くと「あれは、良いスタディだからね」と言ってくださいました。
開業しつつ、大学院に入学して苦しい日々もありましたが、頑張って良かったと思いました。

緑内障専門医にとって…
特に慢性緑内障の経過は長いため、長期間観察しないとわからないことも多い。
『緑内障専門医は、時の経過からも学ぶ』も、ずんと来た内容。

当院での緑内障患者さんとのお付き合いは、一番長い人だと、20年近くなります。
緑内障視野進行グラフをお見せすると、もう10年15年のお付き合いだと、お互いに驚くこともあります。
信頼関係をもって来院していただけることは、本当にありがたいことです。
学会・勉強会での机上の知識だけでなく、長い経過の患者さんからの情報を蓄積することで、経験的知識も構築でき、眼科医として成長させていただいているのだと思います。

特別講演は、医学を離れて、立命館大学の北岡教授の『錯視』(視覚における錯覚)。
色々な錯視の原理やデザインに、脳は騙されるんだな~と納得。
ホテルに戻って『北岡明佳の錯覚ページ』を検索。
『動く錯視の作品集』を開いて、見えるかどうかチャレンジ。

ホテルからの夜景は素晴らしい横浜でしたが、横浜を実感したのはそこまで。
せっかくの横浜まで来たのに…いつもと同じ規則正しい普通の夜でした。

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2016.9.13  忘れられない人

先日近くのコンビニへ。
レジには、半年ぶりに再会(こちらが勝手に)するお兄さん。
お兄さんは、ずっと夜から早朝の担当。

コンビニで、このお兄さんを見るたびに思い出します。

10年以上前の、夏の朝。
朝食の時に、何かのきっかけで父親からひどく叱られた息子。
素直に謝るどころか、火に油を注ぐような発言。
『もうご飯食べなくていい。この家が嫌なら、出ていけー!』
『出てったるわー!』
売り言葉に買い言葉。
息子はすごい勢いで外へ。
『待ちなさーい』と叫んだ時には、すでに疾走。

どうせすぐに戻ってくるわ…と信じつつ30分経っても帰ってきません。
家の周り、近くの公園などにもいません。
自転車を漕いで『〇ちゃ~ん』『〇ちゃ~ん』
歩いている人を呼び止めては『阪神タイガースの服を着た、坊主頭の子供見ませんでしたか?』

そうこうしているうちに、橋の下に見慣れた子供が。
『上がってきなさーい。帰るよー』
『帰らんわ』
またまたピューと疾走。
狭い道を曲がって見失ってしまいました。

そこらあたりを探すも限界。
仕事の時間は迫ってくるし、疲れ果てて自転車を引いて帰ることに。
最後に、もしや?と入った最寄りのコンビニ。
『阪神タイガースの服を着た、坊主頭の子供、寄りませんでしたか?』
『あそこで、マンガ読んでますよ』
『〇ちゃん!』
『母さん!』
へなへな…となった母。

『もういいから。うちへ帰ろうね』
お兄さんにお礼を言って帰路へ。
『母さんに見つかったあと、家に向かってたの?』
『家には帰れんかったで、コンビニでトイレ借りた。あのお兄さんが、「お母さんが来るまでここにいなさい」って言った』
お兄さんは、小学生の息子の来店に、ただならぬ雰囲気を感じたのでしょう。

何事もなかったように、いつも通り診療ができたのは、安堵と若さゆえ。

お兄さんは、すっかりあの出来事を忘れてしまったでしょうが、母子にとっては『忘れられない人』であり、忘れられない夏の一コマです。

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2016.9.6 引いてしまった

旅行から帰ってきた息子がくれたのは、某ホテルの期間限定『月餅』
旅行疲れなのか、だるそうな息子。
翌日にはダウン。
「夏休みだから、時間はたくさんあるから寝てたら…」
ごろんとしている息子を横目に、有り難く月餅をいただいていたら、自分ももらってしまいました…『風邪』

1年に数回風邪を引くかどうかの、『健康体』の院長。
医師の体力は、スポーツが出来るなどの『運動能力』ではなく、『病気しない丈夫な身体能力』であると、医師になってから身をもって気づきました。

まさかの風邪。

しかし、引き始めても、自分の『とっておき』の回復法があります。
いつもは、この方法で、1~2日で回復。

『食べて寝る』
古典的な方法です。
幸い、体調を崩しても、食欲は減退しない有り難い体質です。

『鍋』→『焼肉』→『カレー』のヘビーローテーション。
バリエーションはありますが、これらが、朝・昼・晩と続きます。
効くと信じている『ニンニク(出来るだけ無臭を選ぶ)』『生姜』『唐辛子&豆板醤』を、料理に加えて摂取。
目安は、自分量では、1日ニンニク1個(1かけらではない)、生姜1回1かけ×3、唐辛子は適宜。
加えて常備のはちみつレモン(レモンのはちみつ漬け)。
風邪の時は、お湯割りが効きます。

周囲にいる家族やスタッフは、ちょっと…という臭いを感じているかもしれませんが、気にならないふりをしてくれています。

それでも…今回は2日で回復せず。

喉の痛みと、鼻閉・鼻汁。

スタッフに言わせると、顔が『どよ~ん』としてきたそう。
つらい…日々。

久々の体調不良も丸5日経って、やっと回復の兆しが。

お土産の月餅は、今までに食べたことがないほど、美味しかった!
欲しくもない風邪もまた、今まで罹かったことがないほど、ひどかった!

大陸、恐るべし…

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