2015.7.21 色覚検査見直し
院長は5小中学校の校医(神の倉小・熊の前小・徳重小・神の倉中・扇台中)です。
学校保健委員会には毎回出席して、保護者の疑問質問に答える他、眼科関連のお話をします。
今回は色覚検査の改正のお話。
色覚検査といえば「迷路みたいな色をなぞったり、数字を答えるやつね」と、すぐに思い出せるのは、ちょっと古い人(院長も含めて)。
「差別化につながる」「色覚異常(色に対する感覚が正常とは違う)を知らない権利もある」などと議論され、平成15年度からは、学校での色覚検査は任意となりました。
色覚検査が任意になって以降、「子供がタオルの色の微妙な色分けが出来ないみたい」「クレヨンの色を良く間違える」などと、当院に相談に来られる保護者。
眼科では、色覚検査をし、結果を報告します。
さらに精密検査の必要な子には紹介を。
その場で生活指導ができる子には、自身の注意すべき点や代替の方法、学校生活を始め日常での対応策を話します。
色覚検査が必須項目から外された約10年の間に、色覚検査を受けなかったがゆえ、色覚異常と知らないまま、進学や就職で色覚の壁にぶつかる児童(家族も)が多くいることが明らかになりました。
色覚による進学・就職制限はかなり緩和されたものの、まだ一部残っています。
自身の異常(それは個性でもありますが)を早く知ることで、現実に進路選択に迫られることもありますが、代償能力を発達させ、無用のトラブルを避けることもできます。
生物では、遺伝のところで色覚異常の家系が出てきます。
しかし、色覚異常だけが遺伝疾患ではなく、現代の医学では、多種多様な遺伝性の病気が発見されています。
そして、誰でも多少の遺伝子異常を持っています。
もし、自分は?家族は?と思い当たる場合は、眼科を受診ください。
知らないために偏見を持ってしまうということ、医師になって実感しています。